25km登りっぱなしの超級山岳スヴェティユレ山が登場したクロアチア3日目。ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)との一騎打ちを制したカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)が総合首位に浮上した。
世界遺産に登録されている古都トロギールを出発する (c)www.tourofcroatia.com
超級山岳スヴェティユレ山を目指すツアー・オブ・クロアチア2018第3ステージ (c)www.tourofcroatia.comこれまでスプリントステージが続いたツアー・オブ・クロアチア(UCI2.HC)は、第3ステージにして今大会最初の山岳ステージに直面。クロアチアで2番目に標高の高い超級山岳スヴェティユレ山頂上を目指す登坂フィニッシュが用意された。
106km地点からスヴェティユレ山のヒルクライムが始まると、ゴールまでの25kmは上りっぱなし。平均勾配こそ強烈ではないものの、海抜0mから一気に標高1760mまで登る過酷なコースで総合優勝争いが大きくふるいに掛けられた。
前日に総合首位に立ったエドゥアルド・グロス(ルーマニア)がピュアスプリンターであるため、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニは総合争いを他チームに委ねることに。代わりに登坂力のあるシモーネ・ポンツィ(イタリア)と西村大輝を上位に送り込む方針で挑んだ。
集団の先頭を走る内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) (c)www.tourofcroatia.com
登りの序盤で新城幸也がカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)をアシスト photo:Miwa.Iijima
アドリア海に面した3級山岳の下りをこなす (c)CorVos
レースはヤングライダー賞首位のジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル)や山岳賞2位のエミル・ディマ(ルーマニア、MSティナ・フォーカス)ら5名が逃げたものの、別府史之(トレック・セガフレード)率いるメイン集団が差を詰めた状態でスヴェティユレ山の突入。
アドリア海を一望する、急峻な山肌に据え付けられたつづら折れで主導権を握ったのはバーレーン・メリダとトレック・セガフレードだった。最後まで逃げていたニック・ヴァンデルライク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)を残り20km地点で飲み込むと、その時点で集団は15名程度にまで絞り込まれる。
美しいアドリア海を横目に登るメイン集団 (c)www.tourofcroatia.com
残り1.5km地点で合流したカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)とピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) (c)CorVos
トレック・セガフレードのエースナンバーを付ける二クラス・イーグ(デンマーク)がペースメイクを行う中、残り10km地点でカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)がアタック。この動きで集団が崩壊し、総合4位エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)とピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)、そしてラドスラフ・ロジーナ(クロアチア、アドリアモービル)という4名が他選手を置き去りにした。
誇り5km地点からはウェーニングが独走に持ち込んだものの、後ろからはギディッチとロジーナを千切ったシウトソウが50mほどの間隔で追走。登りを得意とするウェーニングと、個人TT巧者シウトソウのシーソーゲームは緩斜面が続いたことでシウトソウ有利に傾き、残り1.5kmで振り出しに戻った。
超級山岳で勝利したカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) (c)CorVos
力を使い切ったピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)がフェンスに倒れこむ (c)CorVos
49秒差の3位に入ったエフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) (c)CorVos
35歳のシウトソウと37歳のウェーニングは互いをマークしながら距離を減らし、ゴール目前にシウトソウがペースアップ。粘っていたウェーニングは最後に力尽き、シウトソウが美しく険しい難関ステージでステージ優勝とリーダージャージを射止めた。
2001年にプロ入りし、ファッサボルトロやHTCハイロード、チームスカイ、ディメンションデータとトップチームを渡り歩いてきた35歳のシウトソウにとっては、長いキャリア中でも数少ない山頂フィニッシュ制覇。「残り10km地点で2回アタックして、タイミングを待って残り5kmからウェーニングの追走に入った。それからは全力を尽くしてトライしたよ。今日は戦略と経験が上手く噛み合った1日だった」と喜びを語った。
リーダージャージを射止めたカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) (c)www.tourofcroatia.com
西村と共に登坂をこなしたチームメイトの新城は、「自分の役目は登り口でエースたちを前方の良い位置で登り始められるようにすることだったので、先頭で登り口に入りチームメイトがいることを確かめ集団から 脱落。その後、先ずは息を整えてから、長い27kmの登りトレーニングだと思い頂上を目指し、途中でニッポの西村選手を吸収して2人で走った。残り5km位のところで無線が騒がしくなり、チームメイトの優勝を知り嬉しかった!と、同時に明日も集団をコントロールして、一日中、働かなければと思ってしまった。嬉しい悲鳴です(笑)。残り3ステージ、総合リーダーを守れるように働いてきます!」と明日への意欲をコメント。
新城幸也(バーレーン・メリダ)と西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)がスヴェティユレの登りをこなす (c)CorVos
また、新城とスヴェティユレ山をこなした西村は次のようにコメントしている。「まさか自分が温存させてもらえるプランが出るとは想像もしていなかったため、嬉しい気持ちでスタートラインに立った。最後の超級山岳の前では、シモーネと僕が前で上りに突入できるようにチームが動いてくれて、前で上り始める事が出来た。 上り始めからプロトンは、とてもペースが速く、自分も粘れるだけ粘ってみたがプロトンから遅れた。 後ろのグルペットも居ない宙ぶらりん状態で走っていると、後ろからチームの役割を果たし終えた新城さんが上ってきて、ゴールまで相当な距離が有ったが、全部引いて下さった。 新城さんは全くキツそうではなく、余裕の表情で走っていたが、僕にとっては付き位置でもゴールまで維持できるギリギリの所という感じだったで、改めて新城さんの強さを痛感しながら、長く険しい超級山岳を終えた。 今日もかなり疲労したので、明日以降のステージに備えて少しでも身体を回復させたい」


106km地点からスヴェティユレ山のヒルクライムが始まると、ゴールまでの25kmは上りっぱなし。平均勾配こそ強烈ではないものの、海抜0mから一気に標高1760mまで登る過酷なコースで総合優勝争いが大きくふるいに掛けられた。
前日に総合首位に立ったエドゥアルド・グロス(ルーマニア)がピュアスプリンターであるため、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニは総合争いを他チームに委ねることに。代わりに登坂力のあるシモーネ・ポンツィ(イタリア)と西村大輝を上位に送り込む方針で挑んだ。



レースはヤングライダー賞首位のジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル)や山岳賞2位のエミル・ディマ(ルーマニア、MSティナ・フォーカス)ら5名が逃げたものの、別府史之(トレック・セガフレード)率いるメイン集団が差を詰めた状態でスヴェティユレ山の突入。
アドリア海を一望する、急峻な山肌に据え付けられたつづら折れで主導権を握ったのはバーレーン・メリダとトレック・セガフレードだった。最後まで逃げていたニック・ヴァンデルライク(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)を残り20km地点で飲み込むと、その時点で集団は15名程度にまで絞り込まれる。


トレック・セガフレードのエースナンバーを付ける二クラス・イーグ(デンマーク)がペースメイクを行う中、残り10km地点でカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ)がアタック。この動きで集団が崩壊し、総合4位エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ)とピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ)、そしてラドスラフ・ロジーナ(クロアチア、アドリアモービル)という4名が他選手を置き去りにした。
誇り5km地点からはウェーニングが独走に持ち込んだものの、後ろからはギディッチとロジーナを千切ったシウトソウが50mほどの間隔で追走。登りを得意とするウェーニングと、個人TT巧者シウトソウのシーソーゲームは緩斜面が続いたことでシウトソウ有利に傾き、残り1.5kmで振り出しに戻った。



35歳のシウトソウと37歳のウェーニングは互いをマークしながら距離を減らし、ゴール目前にシウトソウがペースアップ。粘っていたウェーニングは最後に力尽き、シウトソウが美しく険しい難関ステージでステージ優勝とリーダージャージを射止めた。
2001年にプロ入りし、ファッサボルトロやHTCハイロード、チームスカイ、ディメンションデータとトップチームを渡り歩いてきた35歳のシウトソウにとっては、長いキャリア中でも数少ない山頂フィニッシュ制覇。「残り10km地点で2回アタックして、タイミングを待って残り5kmからウェーニングの追走に入った。それからは全力を尽くしてトライしたよ。今日は戦略と経験が上手く噛み合った1日だった」と喜びを語った。

西村と共に登坂をこなしたチームメイトの新城は、「自分の役目は登り口でエースたちを前方の良い位置で登り始められるようにすることだったので、先頭で登り口に入りチームメイトがいることを確かめ集団から 脱落。その後、先ずは息を整えてから、長い27kmの登りトレーニングだと思い頂上を目指し、途中でニッポの西村選手を吸収して2人で走った。残り5km位のところで無線が騒がしくなり、チームメイトの優勝を知り嬉しかった!と、同時に明日も集団をコントロールして、一日中、働かなければと思ってしまった。嬉しい悲鳴です(笑)。残り3ステージ、総合リーダーを守れるように働いてきます!」と明日への意欲をコメント。

また、新城とスヴェティユレ山をこなした西村は次のようにコメントしている。「まさか自分が温存させてもらえるプランが出るとは想像もしていなかったため、嬉しい気持ちでスタートラインに立った。最後の超級山岳の前では、シモーネと僕が前で上りに突入できるようにチームが動いてくれて、前で上り始める事が出来た。 上り始めからプロトンは、とてもペースが速く、自分も粘れるだけ粘ってみたがプロトンから遅れた。 後ろのグルペットも居ない宙ぶらりん状態で走っていると、後ろからチームの役割を果たし終えた新城さんが上ってきて、ゴールまで相当な距離が有ったが、全部引いて下さった。 新城さんは全くキツそうではなく、余裕の表情で走っていたが、僕にとっては付き位置でもゴールまで維持できるギリギリの所という感じだったで、改めて新城さんの強さを痛感しながら、長く険しい超級山岳を終えた。 今日もかなり疲労したので、明日以降のステージに備えて少しでも身体を回復させたい」
ステージ結果
1位 | カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) | 3h51’32” |
2位 | ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) | +04” |
3位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | +49” |
4位 | ラドスラフ・ロジーナ(クロアチア、アドリアモービル) | +56” |
5位 | 二クラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード) | +1’38” |
6位 | ダニエル・ピアソン(イギリス、アクアブルースポート) | +2’01” |
7位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | +2’27” |
8位 | ダリオ・アコスタ(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) | +2’42” |
9位 | アルテム・ニッチ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | +2’51” |
10位 | ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) | +3’42” |
42位 | 新城幸也(バーレーン・メリダ) | 17’05” |
43位 | 西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | |
64位 | 吉田隼人(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | +23’45” |
70位 | 別府史之(トレック・セガフレード) | +28’04” |
106位 | 内間康平(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | +31’07” |
個人総合成績
1位 | カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) | 15h15’10” |
2位 | ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) | +08” |
3位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | +47” |
4位 | ラドスラフ・ロジーナ(クロアチア、アドリアモービル) | +1’06” |
5位 | 二クラス・イーグ(デンマーク、トレック・セガフレード) | +1’48” |
6位 | ダニエル・ピアソン(イギリス、アクアブルースポート) | +2’11” |
7位 | ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、トレック・セガフレード) | +2’33” |
8位 | ダリオ・アコスタ(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) | +2’52” |
9位 | アルテム・ニッチ(ロシア、ガスプロム・ルスヴェロ) | +3’01” |
10位 | ヨナタン・ラストラ(スペイン、カハルーラル・セグロスRGA) | +3’48” |
ポイント賞
1位 | エドゥアルド・グロス(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) | 41pts |
2位 | ジョン・ボジッチ(スロベニア、アドリアモービル) | 33pts |
3位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | 30pts |
山岳賞
1位 | カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、バーレーン・メリダ) | 20pts |
2位 | ピーター・ウェーニング(オランダ、ルームポット・ネデランセロテリ) | 15pts |
3位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | 10pts |
ヤングライダー賞
1位 | エフゲニー・ギディッチ(カザフスタン、アスタナ) | 15h15’57” |
2位 | ダリオ・アコスタ(コロンビア、ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス) | +2’05” |
3位 | タデイ・ポガカル(スロベニア、リュブリャナ・グスト) | +5’23” |
チーム総合成績
1位 | アスタナ | 46h03’45” |
2位 | バーレーン・メリダ | +50” |
3位 | ビチクレッタ・ストロングマンコロンビア・コルデポルテス | +1’31” |