イタリアに12年ぶりの「ラ・プリマヴェーラ」を呼び込んだヴィンチェンツォ・ニバリや集団スプリントの先頭をとったカレブ・ユアン、250kmにわたって逃げた初山翔ら、ミラノ〜サンレモを走った主役たちのコメントを紹介します。



1位 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)

すべてが予想外だったので、まだ勝利の実感がない。信じられない気持ち。アタックしたラトビアチャンピオンのクリスツ・ニーランズに反応して、彼が協調することを望んだので一緒に逃げを開始。好調なソニー・コルブレッリで勝負を狙う作戦だったけど、ニーランズが強力でタイム差が開いたので、そのままアタックを継続した。ポッジオの頂上に向けて勾配が増したところで再度加速して独走開始。下りを終えて、目の前に誰も走っていない光景を見ながら、今日は逃げ切れると思った。もちろん残り2kmは果てしなく長かったけど。勝利を確信したのは、フィニッシュラインが見えた残り50mで後方を振り返った時。勝利を味わいながらフィニッシュラインを切った。

サンレモ初制覇を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)サンレモ初制覇を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari / Alpozzi
今日の作戦は2パターンあった。まずチプレッサで6〜9名の逃げグループが形成された場合は飛び乗って、そこで協調せずに後ろを待つ作戦。最大の勝負どころであるポッジオでクウィアトコウスキーやヴァンアーヴェルマート、サガンを含むような動きが生まれた場合も同様に反応する作戦だった。マテイ・モホリッチにアシストされて最高のポジションで走り、予定通りアタックに反応した。

レース中、良き友人でもあるペテル・サガンに「今日はどう走るんだ?スプリントを待つの?」と聞いたけど明確な答えは返ってこなかった。今日の自分の役割はいわゆるストッパー役。コルブレッリのためにアタックを潰す役割だった。ペテルの状態がとても良いと感じたけど、自分も調子が良かったし、勝負に出た。ペテルはいつも予想不能なので、自分が勝つには独走に持ち込むほかなかった。もしアラフィリップやクウィアトコウスキー、ジルベールとの戦いになっていれば、今までのように2位になるのがオチだった。

だから冷血に(独走で勝負する)決断を下した。チームのために働きながらも、もし勝ちたいのであれば独走するしかないと。頭の中に迷いはなかったし、良いタイミングの良い動きだった。雨の中を長距離走った上でアタックし、独走するには尋常じゃない決意が必要だった。

サンレモ初制覇を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)サンレモ初制覇を果たしたヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari / Alpozzi
シーズン前に目標を立てる際、記憶に残るようなビッグレースに照準を合わすのが常。サンレモに向けての準備は遅れ気味だったけど、ティレーノ〜アドリアティコで調子が上がり、勝負にも加わることができた。ティレーノのあと一旦帰宅してしっかり休養。本当に調子が良いと感じたのはレースが始まってからだった。

イル・ロンバルディアの勝利でシーズンを締めくくり、ミラノ〜サンレモの勝利でシーズンをスタートさせた。ワンデーレースは自分にとって特別だけど、グランツールに向けた準備と並行して狙うのは本当に難しい。ミラノ〜サンレモは決して自分向きのレースではないので、勝てるとは思っていなかった。過去にポッジオでアタックして表彰台に上ったことはあるけど、いつもフィニッシュで自分より速い選手に負けていたんだ。そんなレースで今日勝利した。とても幸せな気分に包まれている。

2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)

チームメイトたちは力強くレースを展開してくれた。最後は届かなかったけど悔いはないよ。調子が良かったので、もちろん2位という結果にがっかりした気持ちもある。マッテオ・トレンティンの調子も良く、終盤のカウンターアタックは完璧だったけどニバリには追いつかなかった。今日はニバリが最強だった。

3位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)

向かい風の中でのスプリントだったので忍耐強くタイミングを待った。クイックステップフロアーズのトレインをうまく利用したものの、ニバリを捕まえることはできなかった。向かい風が吹くポッジオでアタックしたニバリは、特別な走りで特別な勝利を成し遂げた。集団ではクウィアトコウスキーがアタックしてサガンが反応。集団前方がばらけて協調性を欠いていたので、追走を組織するまでに時間がかかってしまったんだ。ニバリを敬愛するファンが大勢詰め掛けた表彰台に上るのは特別な気分だった。

2位カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、1位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、3位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)2位カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、1位ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)、3位アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari / Alpozzi
4位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、UAEチームエミレーツ)

表彰台を逃した悔しさと、風邪から復活して4位に入ったという達成感が入り混ざっている。抗生物質を摂取しなければならないほどの風邪をひいてパリ〜ニースをリタイアしたことを考えると悪くない結果だと思う。

レース中盤の補給ポイントで落車したけど、幸いパフォーマンスに影響するような怪我もなくレースに復帰。レース中の感触は決して良くなくて、チプレッサの時点で脚は空っぽに近かった。ポッジオで少しだけ回復していることを確認してスプリントに挑んだけど、やはり脚に力が入らなかった。表彰台を逃す結果になったけど満足感もある。

終盤はベン・スウィフトに大きく助けられたよ。彼のおかげで最終コーナーに向けてポジションをキープできた。2年連続4位という結果だけど、昨年は3名逃げの後ろの集団スプリントの先頭を取って4位。今回も集団スプリントの先頭を取れていれば2位で、最低限の目標である表彰台を達成できていた。気持ちを切り替えて北のクラシックに備えたい。

5位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、BMCレーシング)

強い向かい風の影響でレース全体の進行が遅かった。雨が止んで晴れたと思ったらまた雨が降って、1日ずっと濡れた状態で走ったので、その影響も勝負に影響したと思う。チプレッサとポッジオの登坂スピードも向かい風のおかげで速すぎることもなかった。そんな向かい風の中をヴィンチェンツォ・ニバリが単独で逃げ切ったことに驚いている。

ポッジオの頂上通過からフィニッシュまでずっと、走行距離が300kmに達するミラノ〜サンレモでいつも良いスプリントを見せているクリストフの番手に位置取って勝負に備えた。5位という良い結果はその判断によるもの。パリ〜ニースではお尻の怪我がまだ痛んだので、今日の結果は自信につながる。次の出場レースは昨年グレッグ・ヴァンアーヴェルマートが勝ったE3ハーレルベーケ。彼の調子も良いので、チームとして連覇を狙いたい。数週間この調子を保って、グレッグとともに勝負に残れればと思う。

レインジャケットを着込んだ選手たちが走るレインジャケットを着込んだ選手たちが走る photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari / Alpozzi
6位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

前半にかけて強い雨が降ったけど、幸い、終盤の勝負に雨は影響しなかった。比較的スローな展開のおかげで大きなセレクションがかかることもなく、集団が例年より大きい状態でフィニッシュに到着することになった。

チームは1日を通してレースをコントロールしていて、良いポジションをキープした状態で最後のポッジオに突入。ニバリがアタックした時、いずれ彼も吸収されて集団スプリントに持ち込まれると判断してスプリンターグループに残った。でも、ニバリは力強く独走を続け、フィニッシュラインまで逃げ切ってみせた。勝利に値する走りを披露した彼を祝福したい。イタリアとロードレース全体にとって素晴らしい勝利になったと思う。


7位 マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)

数日前と比べて肩の痛みもマシになったし、シーズンの2戦目としては悪くない1日だったと思う。自分としてはチプレッサとポッジオでもっとスピードが上がる展開が理想的だったけど、向かい風が強かった。ポッジオでアタックしたものの、ライバルたちを引き離すには至らず。ニバリを捕まえない限り勝利はないので、オール・オア・ナッシングの気持ちで早めにスプリントを開始したけど届かなかった。結果は残せなかったけど、可能な限りトライしたし、今日の感触を次のレースに繋げたい。

11位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)

とてもタフな1日だった。自分自身調子は悪くなかったけど、最後は不思議な展開だった。ニバリはとても強く、ミラノ〜サンレモの勝利はイタリアのレース界にとって大きなもの。彼がアタックした時、集団から積極的に飛び出す選手は少なかった。

勾配が増すポッジオ後半に2回アタックしたものの、サガンがすぐに反応して付いてきた。向かい風が強くて行き場を失い、その時点でニバリは手が届かない位置まで先行していた。ポッジオの下りで再度アタックしたけど、とてもリスキーだった上にすぐにマークされて引き戻されてしまった。

とても長く、難しいレースだった。長時間集団を牽引してくれたルーク・ロウをはじめ、良いレース運びをしてくれたチームメイトたちに感謝している。チプレッサとポッジオでの位置取りも良かった。ただ、ニバリの動きを逃してしまったことに尽きる。

17位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)

ヴィンチェンツォ・ニバリは素晴らしい勝利を成し遂げた。ポッジオでアタックして独走するなんて、あっぱれな走りだった。彼がポッジオで飛び出した時、他の有力選手とお見合い状態に陥ったので一気にタイム差が広がった。何回かアタックがかかって反応したものの、ニバリとのタイム差は一向に縮まらなかった。ユルゲン・ルーランズがスプリントで5位に入って結果も残したし、自分の状態を含めて満足している。

今日は向かい風がアタックをブロックしていたし、リードを広げるのは簡単なことではなかった。飛び出したとしても一人で向かい風にさらされるだけ。だから観客の目には刺激的なレースに映らなかったかもしれない。

ポッジオでアタックするクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)ポッジオでアタックするクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)とヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ) photo:LaPresse - D'Alberto / Ferrari / Alpozzi
23位 クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・サイクリングアカデミー)

後から追いついてきたヴィンチェンツォ・ニバリに「一緒に協力して逃げよう」と告げてローテーション。でもアタック後にリカバリーする時間が短すぎたのでペースが落ちてしまい、後ろから加速していく彼に反応できなかった。その時点で出し切っていたので一緒に逃げ続けることができなかった。後悔や不満はないよ。まだ若い(23歳)し、これが初めてのミラノ〜サンレモ。将来的にここで活躍したい。

150位 初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)

チームからの指示は逃げに乗ること。チームにとってもシーズン前半の最大目標レースだったので、スタート前は正直緊張した。求められたレースで逃げに乗ることは容易いことではない。ましては大舞台。だからこそ逃げに乗れたことに正直安堵した。

300kmにわたるロングレースで完全なるラインレースにも関わらず、観客が常に途切れずにいたのは驚きだった。TVの視聴率がどのくらいなのかは知らないが、世界中の人々に、自分を、チームを見てもらえたことが嬉しい。なによりチームやチームスポンサーの方々に、自分の走りを喜んでもらえたことに喜びを感じている。

できれば、逃げの最後の1人として残りたかったが、全力を尽くした結果であり、時折降る土砂降りの雨による寒さが自分に悪影響を与えたと思う。最大の大舞台でいいレースができたとは思うが、まだ3月。この調子で常に前進し続けたい。

155位 マルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)

想像通りの厳しいレースだった。今日の教訓は、十分に食べていたと思っていても補給が足りていなかったこと。終盤に差し掛かった段階で空っぽの状態だった。チプレッサとポッジオの前の段階で力が残っていなかった。厳しい現実だけど、雨と低温の影響もあると思う。とにかく完走したかったし、その目標は達成した。自分のキャリアにとって大事な経験になったと思う。今日の結果をしっかりと振り返り、将来的な目標を立てたい。

雨の中を逃げる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)ら雨の中を逃げる初山翔(NIPPOヴィーニファンティーニ)ら photo:CorVos

text:Kei Tsuji
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