スペシャライズドのS-WORKSロードシューズが遂に7代目へ。新型BOAダイヤルを投入するとともに、素材・形状・構造全てにアップデートを施しフィット感と快適性を強化した。同じくモデルチェンジしたEVADE Ⅱヘルメットは高い空力性能を維持しつつよりクーリング性能を高めている。



スペシャライズド S-WORKS 7 ROAD SHOE

スペシャライズド S-WORKS 7 ROAD SHOEスペシャライズド S-WORKS 7 ROAD SHOE
スペシャライズドの最上級グレードを表す「S-WORKS」の名を冠したロードシューズが同社ラインアップに登場したのは2005年。時代に即した最新のテクノロジーやデザインを盛り込みながら幾度とモデルチェンジを繰り返しその性能を高め続けてきた。多くのプロ選手らに使用され幾多の勝利を支えてきた同シューズは、もはやハイパフォーマンスサイクリングシューズの代表格と言っても過言ではないだろう。

そんなスペシャライズドシューズのフラッグシップが、今作で7代目となる「S-WORKS 7」へとモデルチェンジを果たした。2016モデルとして登場した前作S-WORKS 6シューズから2年の開発期間を経てのデビューとなる。既にスペシャライズドのサポートを受けるワールドチームのボーラ・ハンスグローエやクイックステップフロアーズに供給されており、ペテル・サガン(スロバキア)らツアー・ダウンアンダー出場組が使用していることに気づいたファンも少なくないだろう。

スペシャライズドのみが使用できる新型の「S3」BOAダイヤルを採用スペシャライズドのみが使用できる新型の「S3」BOAダイヤルを採用 サイドにはお馴染みのS-WORKSロゴ。アッパーには随所にパンチング加工が施されているサイドにはお馴染みのS-WORKSロゴ。アッパーには随所にパンチング加工が施されている
つま先のベルトもやや長くなる改良が加えられたつま先のベルトもやや長くなる改良が加えられた アッパー素材もアップデートされ、ダイニーマ メッシュが高いストレッチ性を発揮アッパー素材もアップデートされ、ダイニーマ メッシュが高いストレッチ性を発揮

細身でスタイリッシュなルックスと、BOAクロージャー+ベルクロのフィッティング方式は前作から変わらないものの、素材や形状などが全面的に刷新されており完全新作として生まれ変わっている。とりわけ大きく変更された部分として真っ先に目につくのが新型のBOAダイヤルだろう。

従来のダイヤルとは一線を画すデザインが採用された「S3」BOAダイヤルは、自転車業界ではスペシャライズドのみに供給される特別モデル。S-WORKS 7のためにカスタムされており、従来よりも軽いタッチで操作できるようになった。CNCアルミ素材によって高級感あるルックスを演出するとともに、触れた時の質感にも気を配った作りで、回した時の音にもこだわったというから驚きだ。

また不用意にダイヤルが回ってしまわないよう遊びを設けてあるのも特徴。ダイヤル自体が厚くなったため張り出しているように見えるが、アッパーからのスタックハイトは前作と変わらない。また、クロージャーは取り外し可能となっており、破損時も容易に交換できる。

スリットの入り方やクロージャー位置も変更されているスリットの入り方やクロージャー位置も変更されている 硬度指数15を誇るPowerlineアウトソールが高いパワー伝達性を生み出す硬度指数15を誇るPowerlineアウトソールが高いパワー伝達性を生み出す
ヒールパーツは必要十分なサイズまで小型化されたヒールパーツは必要十分なサイズまで小型化された 画像の3色にレッドを加えた全4カラー展開にて販売される画像の3色にレッドを加えた全4カラー展開にて販売される

アッパーの素材も大きくアップデートしており、同社の「TORCH」シューズにも採用されたTPU(熱可塑性ポリウレタン)をベースにすることでストレッチ性を向上。従来は単一方向にのみ伸びる「ダイニーマ キュービックテック」を後部に配することでサポート力を高めていたが、今作ではより柔軟性の高い「ダイニーマ メッシュ」素材を採用し、足の形に沿わせるフィッティングで快適性を追求している。

縫い目の少ないワンピースアッパー構造は引き続き使用されるとともに、タン部分のクッションを増やすことで足の甲部分への圧迫感を軽減。面で締め付けることで血流を阻害せず長時間のライドでも痛みが出ないよう工夫されている。また、つま先部分のベルトは従来よりもやや長くなり固定力を高めている。

スペシャライズド独自のFACTカーボンが使われるPowerlineアウトソールは、ペダリング時にかかる足裏の圧力マッピングを元に形状を最適化。比較的応力がかからない部分を積極的に肉抜きすることで軽量化を図っている。細やかな部分となるが、ヒールパーツも必要最小限の面積を確保しつつ小型化するアップデートが施されている。

シューズと足の一体感が強く、より効率的なペダリングができる製品に仕上がっていると感じたシューズと足の一体感が強く、より効率的なペダリングができる製品に仕上がっていると感じた
全体のフィッティングに関しては人間工学に基づく”ボディジオメトリー”のエッセンスを取り入れ、細部を見直すことでより効率的で快適性の高い使用感を目指したという。S-WORKSシューズの特徴であったヒール部のタイトな形状は今作で改良され、しっかりとサポートを効かせつつもソフトな素材で足当たりを良くしている。

ラストは前作と同じとしつつもソール自体は約2mmほどスリム化。一方で、アッパーの縁が足に当たりにくいように、緩やかなカーブを描く断面形状へ変更し、幅広いライダーへマッチする履き心地を獲得している。またトゥーボックスをボリュームアップすることで前足部の自由度を高め、ウェッジシムも2枚挿入できるようになった。

一方、中足部は新型クロージャーの採用と、土踏まずに沿ったアーチサポートによって、高い固定力を発揮する設計。アウトソールの硬度指数が前作よりも高い”15”とされたのに対し、シューズと高い一体感を実現し快適性を高めることで脚への反発や硬さを感じさせないよう工夫されている。

「アップデートされた高い快適性がハイパフォーマンスに繋がる」と説明する佐藤修平氏(SBCUマネージャー)「アップデートされた高い快適性がハイパフォーマンスに繋がる」と説明する佐藤修平氏(SBCUマネージャー) S-WORKS 6(上)と比べソールの幅や肉抜き度合いが異なるのが分かるS-WORKS 6(上)と比べソールの幅や肉抜き度合いが異なるのが分かる
タイトなヒールの形状は今作で改良されているタイトなヒールの形状は今作で改良されている 標準のフットベッドもボディジオメトリーに基づいたエルゴノミックな形状となる標準のフットベッドもボディジオメトリーに基づいたエルゴノミックな形状となる

重量は据え置きの224g(42サイズ片足)で、ユニセックス設計の36~45までの幅広いサイズで展開。限定カラーを含めた4色にて販売される。価格は37,000円(税抜)だ。ここからは短いながら編集部員・村田のインプレッションをお伝えしよう。

メディアローンチにてテストした際、一番体感できたのは足先との一体感。改良されたアッパーやソール形状により足の動きにしっかりとシューズが追従し、パワーロスもストレスも一切感じないペダリングが可能であった。従来のガッチリ固定するヒール形状でなくともホールド感は十分にあり、かつこれであれば長時間ライドでも痛みが出にくそうだ。特に引き足で捻れる方向の動きが抑制されており、その効果は一見ペダリングが上達したかと錯覚するほど。

足を入れた際も細いとは感じず、より幅広いサイクリスト向きにアップデートされている点はポイントが高い。S-WORKS 6では足の甲の骨がクロージャーと当たってしまい痛みが出る筆者だったが、今作はタンのクッションや新たなBOAダイヤルの配置によりその問題が解消されていたことも報告しておこう。

また新型のBOAダイヤルは操作が軽くなり、よりスムーズに締め上げることができた。ただ、冬用のグローブをしてしまうと逆に操作感がわかりにくいとも言えるかも知れない。しかし明らかに回しやすくなった作りや見た目の特別感といった点がデメリットを上回ることは言うまでもないだろう。

スペシャライズド S-WORKS 7 ROAD SHOE
カラー:ハイパー/アシッドラバ(数量限定カラー)、ホワイト、ブラック、ロケットレッド/キャンディーレッド
サイズ:36、37、38~45(0.5刻み)
※ブラックのみワイドモデルあり。限定カラーは40~45(0.5刻み)
重 量:224g(42サイズ片足)
価 格:37,000円(税抜)
製品ページ:http://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g61018-7340/



スペシャライズド S-WORKS EVADE Ⅱ

スペシャライズド S-WORKS EVADE Ⅱスペシャライズド S-WORKS EVADE Ⅱ
2013年に登場したハイエンドエアロヘルメット「EVADE(イヴェード)」も5年の歳月を経て遂にフルモデルチェンジ。TTヘルメットをベースにしたエアロフォルムはそのままに、クーリング性能を強化したデザインへとアップデートされている。目指したのはヘルメットを被らない状態と同じ冷感性能。エアロダイナミクスと通気性を両立すべく、自社の風洞実験施設Win Tunnelで幾多のテストを重ねその形状を決めていった。

開発チームは3Dプリンターで作成したプロトタイプのモックに、形状の異なるパーツをパズル方式で組み合わせることで、ホール形状やその角度などいくつものデザインを試し最適解を探ったのだという。その結果前作よりテールの短いコンパクトなシェル形状となり、上部のベンチレーションホールも小型化。やや横に張り出した滑らかな卵型のアウトラインへ変更されている。

冷却性能に関しても、温感センサーを用い各部の温度を測りながらテストを行うことで、確実により涼しいと体感できる性能を実現している。膨大なサンプル品を経て完成した新型の「EVADE Ⅱ」は距離40kmを走った際、前作に比べ平均6秒速い空力性能を獲得するとともに、目標とした素の頭部と同じクーリング性能を獲得している。

全体的にコンパクト化しテール部分も従来モデル(奥)より短くデザインされている全体的にコンパクト化しテール部分も従来モデル(奥)より短くデザインされている 内側の中央に深めのチャネルを配しエアフローを最適化内側の中央に深めのチャネルを配しエアフローを最適化
細かなノッチでフィッティングできるとともに、ユニセックス仕様となったリテンションパーツ細かなノッチでフィッティングできるとともに、ユニセックス仕様となったリテンションパーツ 新たにマグネットバックルが標準仕様となる新たにマグネットバックルが標準仕様となる

大きくアップデートされた部分として、帽体の内側中央に配されたチャネル(溝)をより最適化することで効率的なエアフローを実現し冷却性能を高めている。加えて前方の開口部を絞り、後方のホールを大きく開けることでベンチュリ効果を生み出し、勢い良く空気を内部に取り込むよう工夫されていることもポイントだ。

帽体はアラミドロールケージによる骨組みを挿入し、衝撃が加わった際も飛散せずエネルギーを分散してくれる作りに。中央部とサイドで密度の異なる2種類のEPSを用いることで、安全性を高めつつ軽量化も図っている。

従来ではトライアスロンモデルにのみ採用されたマグネットバックルを今作では標準装備。フィッティングアジャスターもユニセックス仕様となり、女性のポニーテールも後部から出しやすい形状が採用されている。サイズ展開も変更され、従来の2種類からS、M、Lの3種類に。日本で販売されるモデルはアジアンフィットとなるため幅広いライダーの頭にマッチするはずだ。シューズと同じカラーをあしらった4色展開で、価格は26,000円(税抜)。以下はローンチイベントにおける編集部員・村田のインプレッションだ。

前方からの風の入りが従来品より強くなり、エアロヘルメットとは思えない涼しさが体感できた前方からの風の入りが従来品より強くなり、エアロヘルメットとは思えない涼しさが体感できた
エアロヘルメットらしい滑らかな流線形のアウトラインエアロヘルメットらしい滑らかな流線形のアウトライン 後部の開口部を大きく開けることでベンチュリ効果を生み出す設計だ後部の開口部を大きく開けることでベンチュリ効果を生み出す設計だ

EVADE Ⅱもテストした際、走り出してすぐ通気性の高さが体感できた。頭の角度やスピードに関係なく勝手に風が取り込まれていくような印象で、冬場だと寒いと感じるほど。暑い夏場であればエアロヘルメットながら大いにその効果を発揮できる製品となるだろう。エアロポジションを取ってみても風切り音も一切なく、スムーズに空気が流れていくのを感じ、持ち前の空力性能の高さを見せつけてくれた。

頭部へのフィット感もアジアンフィットだけあって非常に収まりが良い。SとMサイズの両方を被ってみたが、Sサイズの許容範囲が広いと感じさせられたのに加え、サイズが小さいほうが帽体もコンパクトとなり格好良いルックスに仕上がる。普段Mサイズのヘルメットを使用している人も、ぜひフィッティングを行ってみてからサイズをチョイスしてほしいところだ。

新型のS-WORKS 7シューズ&EVADE Ⅱヘルメットを使用するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)新型のS-WORKS 7シューズ&EVADE Ⅱヘルメットを使用するペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos
スペシャライズド S-WORKS EVADE Ⅱ
カラー:ハイパー/アシッドラバ(数量限定カラー)、ホワイト、ブラック、ロケットレッド/キャンディーレッド
サイズ:S、M、L
価 格:26,000円(税抜)
製品ページ:http://www.specialized-onlinestore.jp/shop/g/g60918-7832/

text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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