サントス・ツアー・ダウンアンダーを走ったプロバイクを紹介する好評シリーズの第二弾。今回はロット・スーダル、UAEチームエミレーツ、ディメンションデータの3チームのバイクを紹介します。



ロット・スーダル / リドレー ノアSL

ロット・スーダル / リドレー ノアSLロット・スーダル / リドレー ノアSL photo:Kei Tsuji
開幕スプリントで優勝してリーダージャージを獲得し、最終ステージを勝利で締めくくった「ゴリラ」ことアンドレ・グライペル(ドイツ)。グライペルはリドレーのエアロロードバイクであるノアSLに乗ってステージ通算勝利数を他の追随を許さない18勝まで伸ばした。チームの中には軽量なヘリウムSLXをセレクトする選手もいる。身長184cm/体重82kgで、最大パワーが1,900Wを超えるグライペルのセッティングは質実剛健。身長からするとメーカー推奨サイズはMだが、グライペルはサイズS(トップチューブ545mm)という小ぶりなフレームに140mmのステムを組み合わせる。より高い剛性と低いハンドル位置を求めていることが理由だと推測される。

怒ったゴリラのペイントがグライペルのバイクの目印怒ったゴリラのペイントがグライペルのバイクの目印 photo:Kei Tsujiデダエレメンティのステムとハンドルにリザードスキンズのバーテープデダエレメンティのステムとハンドルにリザードスキンズのバーテープ photo:Kei Tsuji

コンポーネントはカンパニョーロのスーパーレコードEPSで、ホイールは同社のボーラウルトラ35と同50を使い分ける。パワーメーターはコンピューターを含め引き続きSRMを使用。アウターケーブルにはジャグワイヤーを採用しており、シートポストやステム、ハンドルはデダエレメンティで固められている。ルックペダルの表面に音鳴り防止やスリップ防止のためにハンドルバーと同じリザードスキンズの蛇色バーテープが貼られる。ボトムブラケットにはベルギーのC-BEARセラミックベアリング。グライペルは多くのステージでフロント54Tを踏んだ。

SRMを搭載したカンパニョーロ・スーパーレコードクランクSRMを搭載したカンパニョーロ・スーパーレコードクランク photo:Kei TsujiBBにはC-BEARのセラミックベアリングが入るBBにはC-BEARのセラミックベアリングが入る photo:Kei Tsuji



UAEチームエミレーツ / コルナゴ V2-R

UAEチームエミレーツ / コルナゴ V2-RUAEチームエミレーツ / コルナゴ V2-R photo:Kei Tsuji
UAE(アラブ首長国連邦)のスポンサーを受け、登録もUAEだが、事実上イタリアチームであるUAEチームエミレーツはコルナゴのV2-RとC60、コンセプトの3モデルを乗り分けた。コルナゴの最軽量モデルで、モノコックフレームにカムテイル形状のシートポストを搭載した写真のV2-Rはディエゴ・ウリッシ(イタリア)のバイク。身長175cmでサドル高720mmのウリッシは、サイズ480S(トップチューブ518mm)のフレームに135mmのステムを合わす。

サドルはプロロゴの各種モデルが使用されるサドルはプロロゴの各種モデルが使用される photo:Kei Tsujiハンドルはデダエレメンティで、バーテープは無地ハンドルはデダエレメンティで、バーテープは無地 photo:Kei Tsuji

コンポーネントはカンパニョーロのスーパーレコードEPS、ホイールはカンパニョーロのボーラウルトラ35と同50、サドルはプロロゴ、ハンドル周りはデダエレメンティ、タイヤはヴィットリアのコルサと、極めてイタリア色の強いセッティング。イタリアブランドではない製品は、ルックのペダル(フランス)とパワー2マックスのパワーメーター(ドイツ)、ガーミンのGPS(アメリカ)しか見当たらない。

ボーラウルトラのホイールにヴィットリアのコルサ25mmボーラウルトラのホイールにヴィットリアのコルサ25mm photo:Kei Tsujiドイツのパワー2マックスのパワーメーターを使用するドイツのパワー2マックスのパワーメーターを使用する photo:Kei Tsuji



ディメンションデータ / サーヴェロ R5

ディメンションデータ / サーヴェロ R5ディメンションデータ / サーヴェロ R5 photo:Kei Tsuji
総合3位に入ったトムイェルト・スラフテル(オランダ)はサーヴェロの軽量モデルであるR5をセレクト。チームの中にはエアロモデルのS5をセレクトした選手もいた。メインコンポーネントはシマノのデュラエースR9150Di2だが、ローターのクランクセットとKMCチェーンで駆動する。UCIワールドチームとしては珍しく、ミッシングリンクでチェーンをつないでいる。

クリスキングのR45セラミックハブクリスキングのR45セラミックハブ photo:Kei Tsujiサドルは今季からイタリアのアステュートにサドルは今季からイタリアのアステュートに photo:Kei Tsuji

ローター2インパワーのパワーメーターに組み合わされたカーボンのエアロチェーンリングが目を引く(裏側を見るとベースはアルミ製)。サドルはイタリアのアスチュートで、ステムやハンドルはエンヴィ。ホイールはエンヴィのリムにクリスキングのR45セラミックハブを組み合わせている。UCIの最低重量6.8kgをクリアするため、あえてデュラエースより重いアルテグラR8000のカセットスプロケットを使用しているのがミソ。シマノのサポートを受けていないため、コストカットと「重量化」を両立している。

KMCのミッシングリンクで繋がれたゴールドチェーンKMCのミッシングリンクで繋がれたゴールドチェーン photo:Kei Tsujiローター2インパワーのパワーメーターを使用するローター2インパワーのパワーメーターを使用する photo:Kei Tsuji



text&photo:Kei Tsuji