エヴァンス、サストレ、ヴィノクロフに続いて、ビッグネームが2010年のジロ・デ・イタリア参戦を宣言した。ガゼッタ紙の中でジロ出場を明言したのは、新生チームスカイに電撃移籍したブラドレー・ウィギンズ(イギリス)。ツール・ド・フランスへの準備を兼ねて、ウィギンズはマリアローザ獲得を目指す。

2009年のツールでオールラウンダーとしてブレイクしたブラドレー・ウィギンズ(イギリス)2009年のツールでオールラウンダーとしてブレイクしたブラドレー・ウィギンズ(イギリス) photo:Cor Vos12月31日、ガゼッタ紙は同紙面でウィギンズの独占インタビューを掲載した。夏季オリンピックのトラック競技で3つの金メダルを獲得したトラックスターが、2010年のグランツールに向けて目標を語った。

「ただ単にツールの準備レースとしてジロに出場するわけではない。ジロは自分にとって重要なレースなんだ。初日のプロローグでマリアローザを狙っていく。チームスカイの力を持ってすれば、チームタイムトライアルでマリアローザを獲得することも可能だろう。最終日、ヴェローナの個人タイムトライアルでもチャンスはある」

ウィギンズのジロ出場は6回目だ。2008年のジロは総合134位。2009年は最終日のローマ個人TTで僅か1秒差の2位に入り、総合71位でレースを終えている。

「最終日の個人TTを狙う」と明言していることからも、3週間のレースを最後まで闘い抜く考えだが、ウィギンズの中ではツールの優先順位が上。驚きの総合4位に入ったツールで、ウィギンズは更に総合上位を目指す。

3年連続でジロに出場するブラドレー・ウィギンズ(イギリス)3年連続でジロに出場するブラドレー・ウィギンズ(イギリス) photo:Kei Tsuji「この2年間ジロとツールに出場して大きな収穫を得た。ジロは世界で最も美しいレースであり、白熱するんだ。2010年は『ツールのためにジロで調子を上げる』というのが最大の目標。どちらかに目標を絞らなければならない。2009年ジロに集中した代償として、ツールで失速したサストレがいい例だ」

ウィギンズは現在体重77kg。2009年はロードに専念するため減量に取り組み、ツール出場時には体重が72kgまで落ちていたと言う。「コーヒーや食事から砂糖を排除し、小麦粉のパスタではなく米粉パスタを食べていた。指導してくれた栄養士のミゲール・ミッチェルは、2010年チームスカイで引き続き指導にあたってくれるんだ」。チームスカイには、栄養士の他にも、夏季オリンピックやトラック世界選手権で一緒に栄光を掴んだスタッフたちが揃っている。ウィギンズは心身ともにベストな状態で2010年のグランツールに挑むことになるだろう。

2010年のジロには、すでにカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)、カルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)、アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)が出場を宣言している。イタリア勢としてはフランコ・ペッリツォッティ(イタリア、リクイガス)やイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)らが出場予定。

ウィギンズは「総合争いは山岳が鍵を握っている。フランコ(ペッリツォッティ)がマリアローザの有力候補だ」と予想。ウィギンズの出場で更に注目度の高いグランツール初戦になりそうだ。

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Kei Tsuji