ツール・ド・北海道の第1ステージが、函館市から北斗市までの162kmで行われ、スプリント勝負を制したブリヂストンアンカーの鈴木龍が優勝。日本大学の草場啓吾が山岳賞を獲得する健闘を見せた。


開会式に勢ぞろいした今年の出場チーム開会式に勢ぞろいした今年の出場チーム photo:Satoru Kato昨年個人総合優勝の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)から、優勝トロフィーが返還される昨年個人総合優勝の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)から、優勝トロフィーが返還される photo:Satoru Kato

31回目となるツール・ド・北海道が開幕。道南の函館市周辺を舞台とした3日間424kmのステージレースがスタートした。

初日の第1ステージは、函館市中心部にある函館競輪場をスタート。函館湾に沿って海岸を南下し、内陸に入って日本海側の江差町に出た後、再び内陸に入って北斗市にゴールする162km。全般的に平坦基調だが、コース終盤には3級山岳が2回設定される。

前日までの天気予報では雨の可能性もあったものの、朝から青空が広がった函館市周辺。ゴールの北斗市の気温は25.9℃まで上がり、8月中旬並みの暑い1日となった。

85km地点、日本海側を北上するメイン集団85km地点、日本海側を北上するメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI
63km地点、逃げを率いるのは阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)63km地点、逃げを率いるのは阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki TAKAGI83km地点、逃げ続ける6人83km地点、逃げ続ける6人 photo:Hideaki TAKAGI

函館市内をパレードしたのちリアルスタートが切られると、アタック合戦から6人の逃げが形成される。メンバーは、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、岸崇仁(那須ブラーゼン)、中田拓也(インタープロサイクリングアカデミー)、冨尾大地(鹿屋体育大学)、草場啓吾(日本大学)、今村駿介(中央大学)。

メイン集団では各チーム1人ずつ牽引役を出して追走するが、タイム差は最大7分50秒まで開く。

1つ目のKOMは草場啓吾(日本大学)が取る1つ目のKOMは草場啓吾(日本大学)が取る photo:Hideaki TAKAGI130km地点、メイン集団を強力にけん引するブリヂストンアンカー勢130km地点、メイン集団を強力にけん引するブリヂストンアンカー勢 photo:Hideaki TAKAGI

スタートから100kmを過ぎると、ブリヂストンアンカーが集団を牽引して追走。タイム差が徐々に詰まり始める。逃げ集団では、最初の3級山岳までに中田と今村が遅れ、2つ目の3級山岳で岸が遅れて3人となる。メイン集団では2つ目の山岳の登りからNIPPOヴィーニファンティーニが集団を牽引し、タイム差は1分未満に。そして残り8km付近で逃げは全て吸収される。

ラスト8km、逃げていた3人に集団が追いつくラスト8km、逃げていた3人に集団が追いつく photo:Hideaki TAKAGIラスト6km、集団はNIPPOがハイペースで引くラスト6km、集団はNIPPOがハイペースで引く photo:Hideaki TAKAGI

3人のハンドルの投げ合い。鈴木龍(ブリヂストンアンカー:写真右)が、横を見る3人のハンドルの投げ合い。鈴木龍(ブリヂストンアンカー:写真右)が、横を見る photo:Satoru Kato
残り5kmを過ぎると、各チームはスプリンターでの勝負態勢を整え始める。ロングスパートをかける選手もいたが決定打にはならず、残り300mへ。

「埋もれるくらいならと思って先がけした」と言う岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が集団の先頭。その番手につけていたピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)、さらにその後ろにつけていた鈴木龍(ブリヂストンアンカー)が、岡本の両サイドからまくりにかかる。3人横一線でハンドルの投げ合いとなった勝負は、「ゴールした瞬間に横を見て、勝ったと思った」と言う鈴木が優勝した。

北斗市のゆるキャラ「ずーしーほっきー」に祝福される鈴木龍(ブリヂストンアンカー)北斗市のゆるキャラ「ずーしーほっきー」に祝福される鈴木龍(ブリヂストンアンカー) photo:Satoru Kato第1ステージ表彰 上位3名第1ステージ表彰 上位3名 photo:Satoru Kato

「今日はスプリントになったら自分で勝負する作戦でした。タイム差が開いた逃げを吸収するためにチームはハードワークをこなしてくれ、最後は西薗(良太)さんが前を引いてくれたおかげで勝てました。最後の登りで人数が絞られたので、僕の得意とする展開になった事も良かったです」と、今日の勝因を話す鈴木。

「明日からリーダージャージを着ますが、チームメイトの力を借りて、着続けられるようにしたいです。西薗さんも先頭集団でゴールしているので、チームとして総合優勝出来るようにしていきたいです」と、語った。

リーダージャージを着た鈴木龍(ブリヂストンアンカー)リーダージャージを着た鈴木龍(ブリヂストンアンカー) photo:Satoru Kato山岳賞は、この日が誕生日の草場啓吾(日本大学)山岳賞は、この日が誕生日の草場啓吾(日本大学) photo:Satoru Kato

一方、序盤からの逃げに乗った日本大学の草場が、途中2回の山岳賞を先頭通過して山岳賞ジャージを獲得。逃げが吸収された後も先頭集団でゴールし、ホットスポットのボーナスタイムと合わせて総合4位につける健闘を見せた。この日が誕生日の草場は、自ら花を添えた。

「今日は逃げに乗って目立ちたかったので、アタック合戦に参加しました。一度緩んだ時にブリッツェンの阿部選手がカウンターで行ったので喰らいついて行ったら、鹿屋の冨尾選手も来て3人になり、差が開いて逃げが決まりました。冨尾選手にはインカレで負けているので、山岳賞は譲らないつもりで勝負して行きました」と、レースを振り返る。

明日第2ステージでは4級山岳が2回あるが、どちらか1つを取れば山岳賞が確定する。「そう出来るように頑張ります」と、沢田は意欲を見せた。

なお、昨年大会で総合優勝し、先日のJBCFタイムトライアルチャンピオンシップでレースに復帰した増田成幸が、2つ目の3級山岳からの下りで落車。残念ながらリタイアしている。
ツール・ド・北海道2017 第1ステージ結果(函館市ー北斗市:162km)
1位 鈴木 龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 3時間36分3秒
2位 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) + 0秒
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
4位 ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
5位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京)
6位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン)
7位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
8位 サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京)
9位 ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム)
10位 トマ・ルバ(フランス、キナンサイクリングチーム)
個人総合時間賞(第1ステージ終了時)
1位 鈴木 龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 3時間35分53秒
2位 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +4秒
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +6秒
4位 草場啓吾(日本大学) +7秒
5位 ジャコーモ・ベルラート(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +10秒
6位 エゴイツ・フェルナンデス(スペイン、チーム右京)
7位 鈴木 譲(宇都宮ブリッツェン)
8位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)
9位 サルヴァドール・グアルディオラ(スペイン、チーム右京)
10位 ドリュー・モレイ(オーストラリア、トレンガヌサイクリングチーム)
個人総合ポイント賞(第1ステージ終了時)
1位 鈴木 龍(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) 25p
2位 ピエールパオロ・デネグリ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ) 20p
3位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) 16p
個人総合山岳賞(第1ステージ終了時)
1位 草場啓吾(日本大学) 10p
2位 冨尾大地(鹿屋体育大学) 6p
3位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) 2p
チーム総合成績(第1ステージ終了時)
1位 NIPPOヴィーニファンティーニ 10時間48分9秒
2位 キナンサイクリングチーム +34秒
3位 チーム右京
チーム総合U26順位(第1ステージ終了時)
1位 鹿屋体育大学 10時間56分33秒
2位 京都産業大学 +42秒
3位 セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム +2分19秒
Photo:Hideaki TAKAGI,Satoru Kato
text:Satoru Kato