マイヨヴェール候補筆頭のペテル・サガン(ボーラ・ハンスグローエ)が失格という波乱の展開となったツール第4ステージ。ステージ優勝のアルノー・デマール(フランス、エフデジ)の他、落車に絡んだ選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝を飾ったアルノー・デマール(フランス、エフデジ)

笑顔で表彰台に上がるアルノー・デマール(フランス、エフデジ)笑顔で表彰台に上がるアルノー・デマール(フランス、エフデジ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
デマールの勝利を喜ぶイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ)デマールの勝利を喜ぶイグナタス・コノヴァロヴァス(リトアニア、エフデジ) photo:Kei Tsuji / TDWsport誰もが夢見るツールのステージ優勝。自分にとってミラノ〜サンレモと同じぐらい大きな勝利だけど、ツール・ド・フランスしか知らない人も多いので、この勝利の意味はより大きい。2015年以降、チームはリードアウトのメンバーを揃え、エフデジはスプリンターチームに進化したんだ。

今日は落車でメンバーを失いながらも完璧にエスコートしてくれた。前半からスローペースだったのでスプリンターは全員がフレッシュな状態。混沌としたスプリントになると思っていたよ。何とかラインを見つけて突き進んだ。最後のクラッシュいついては何も見ていないので分からない。

ステージ2位のアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)

先頭に立つアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)先頭に立つアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:Corvosゴール手前になっても多くのチームが入り乱れていたから、集団の主導権を握りたいと思っていた。チームメイト達はその期待に応えてくれて、最高の仕事をしてくれた。とくにマルコ・ハラーは素晴らしい動きだった。リック・ツァベルが脱落してしまったのは残念だったが、彼が前で引いていてくれても、デマールに勝つことは出来なかったかもしれない。調子が上がってきていることを確認できたので今日のスプリントには満足。このまま明日のステージでも調子を上げていきたい。

今日のコースがとてもチャレンジングでテクニカルだったのは間違いない。自分の後ろでクラッシュが発生した音は聞こえていた。巻き込まれた皆が無事でいることを願っていたよ。誰もがポジションを争って戦うゴールスプリントでは、常にクラッシュの危険は隣り合わせだ。

3位に入ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)

カヴェンディッシュが落車したあとスプリント体制に入るアルノー・デマールやペーター・サガンらカヴェンディッシュが落車したあとスプリント体制に入るアルノー・デマールやペーター・サガンら photo:Makoto.AYANOラスト4kmの登り坂に入る前に集団の前方にチームは集まっていて、ラスト2.5kmでディメンションデータトレインの後ろで4名の隊列を組むことに成功していた。ティエシー・ブノートとマルセル・シーベルグは中切れを埋めてくれ、ユルゲン・ルーランズは完璧にリードアウトしてくれたけれど、自分のスプリントを開始するタイミングを見失ってしまった。ステージでの勝利はその瞬間に離れていってしまったけれど、デマールの強さは本物だった。チームが固い結束で結ばれていることを証明できたし、きっと今日の動きは次のスプリントでの大きな自信に繋がるはずだ。

フィニッシュしてから、今日のクラッシュの事を聞いて憤りを感じた。スプリンターはお互いにリスペクトを持つべきだ。サガンが意図的にカヴェンディッシュを転倒させたとは思わないけれど、スプリント中の動きというのは大きな責任が付きまとう。ゴールスプリントだけではなく。例えば昨日の中間スプリントでも同じような動きはあったんだから、審判はきちんとしたジャッジを下して欲しい。

4位のナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)

かなりナーバスなスプリントだった。理想的なポジションをキープしていたから、今日は良い成績が残せると確信していた。でも、ラスト150mでクリストフの番手につけていた僕の目の前をデマールが横切り、彼の後輪に接触してしまったんだ。それで今日のスプリントは終了。ブレーキをかけていなければ落車していただろう。まだまだ多くのスプリントステージが残っているから、この雪辱を晴らしてみせる。

失格処分が下されたペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)

デマールに破れ表情も沈むペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)デマールに破れ表情も沈むペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Makoto.AYANOスプリント中、マークが後ろにいることには気がつかなかった。アレクサンドル・クリストフの後輪に食らいついてスプリントしていると、マークが右側から上がってきた。彼はかなりのスピードでポジションを上げてきたので、反応することも左に進路をとることもできなかった。

彼が最初に自分に接触して、そしてフェンスに突っ込んだんだ。マークが落車したと知って、フィニッシュ後すぐに彼の様子を知るためにチームバスに向かった。もちろん落車は歓迎できないものだけど、彼は友人であり同僚。マークの早期回復を願っている。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)

肩を骨折したマーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ)肩を骨折したマーク・カヴェンディッシュ(ディメンションデータ) photo:Makoto.AYANO
判断に付いては審判団に任せたい。サガンはゴール後すぐにバスに来てくれた。彼とは仲が良くて、スプリント中の予測不能な動きは仕方がないものだけれど、あの肘は解せないところもある。失格は覆らないものの、彼がすぐ様子を見に来てくれて良かった。今はまだ混乱している。(診断直後の囲みインタビュー)

折れていると聞いてとてつもなく落胆した。チームは今朝のミーティングで話した通りに動いてくれたし、今日はスプリントで勝負に絡めるコンディションにまで体調が戻ってきていると自信を掴んでいた。自分のキャリアを作ってきてくれたツールをこんな形で去るなんてあまりに残念で、悲しい。レースに残るチームメイトに幸運を。これから僕は家に帰ってTV観戦する。チームの活躍と、南アフリカやキュベカの国旗が翻るシーンを見たい。(チーム公式発表コメント)

ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)

落車したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)がチームメイトにアシストされフィニッシュ落車したジョン・デゲンコルブ(ドイツ、トレック・セガフレード)がチームメイトにアシストされフィニッシュ photo:Makoto.AYANOマイヨジョーヌたちが巻き込まれた落車の影響で、スプリントにはやや後方から参戦した。なんとかスプリントの最前線に戻ってきた時、カヴは僕の目の前にいたから落車を避けることができなかった。カヴをジャンプで避けることもできず、ハンドルから完全に飛び越えるひどい形で前転してしまった。骨折がなくて良かったけれど、とても右肩が痛む。バイクに乗れるかは明日になってみないと分からない。もちろんツールを走り続けたいと思っているけれど。

ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)

全力でスプリントしている最中に吹き飛ばされてしまった。一列になってもがき合ってるところに、突然身体が転がってきた。避けようとしたけれど不可能だった。1つめの落車から復帰したばかりで、その時既に余裕は一切無かったんだ。

マイヨヴェールを着て走ったマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)

最後のスプリントへ向けて準備は出来ていたが、クラッシュによって足止めされてしまった。フィニッシュまでは少し登り勾配で、僕が先頭に戻る術は無かった。今日は不本意な結果に終わってしまったけれど、まだまだ他のチャンスは残っている。

怪我なく落車を切り抜けたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを守ったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
幸運にも僕は大丈夫。転ぶ前にスピードを殺すことができたけれど、逃げ場がなかった。落車には慣れているから特に問題はない(笑)。フルーミーも特に問題なくステージを切り抜けることができたし、チームスカイにとっては良い日だった。ただ地面に座ったままのカヴの横を通り過ぎるのは心が痛んだ。集団スプリントはいつだってカオスだ。

text:CW編集部