ドイツ・デュッセルドルフでツール・ド・フランスが開幕!初日の14km個人タイムトライアルは雨に見舞われ、ウェットな路面にスリップダウンする選手が続出。最速タイムを叩き出したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)がマイヨジョーヌを手にした。


16分04秒のトップタイムで優勝したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)16分04秒のトップタイムで優勝したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第1ステージツール・ド・フランス2017第1ステージ ©GEOATLASツール・ド・フランスが30年ぶりにドイツで開幕した。第104回大会の初日はデュッセルドルフ北部に位置する見本市場の「メッセ・デュッセルドルフ」をスタート&フィニッシュする14kmの個人タイムトライアル。22チーム、198名の選手たちが1分間隔で「時間との戦い」に挑んだ。

「メッセ」をスタート後、ライン川に沿ってデュッセルドルフ中心部に向かう。オーバーカッセラー橋でライン川をまたぎ、ラインクニー橋で対岸に戻ってから観光名所ケーニヒ通りやハインリッヒハイネ通りを含む市街地を抜け、再びライン川沿いを走って「メッセ」に戻る。2つの橋を越える際のアップダウンを除いてフルフラットで、複雑な市街地コーナーを含む中盤はテクニカルだ。

この日が22歳の誕生日である最年少エリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)から順に、198名の選手たち(9名x22チーム)が1分差スタートを切った。雨脚は強まったり弱まったり。前半スタートの後半スタートの選手も、ウェット加減に差はあれど、ほぼ平等に濡れた状態で「時間との戦い」に挑むことに。

濡れた路面の餌食になったのはディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ロットNLユンボ)やトニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)ら。中でも激しくクラッシュしたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)とヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)の2人はレース初日にリタイアを余儀なくされている。

トップタイムを叩き出したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)トップタイムを叩き出したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
2位のタイムを叩き出したシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)2位のタイムを叩き出したシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:Makoto.AYANO6位のクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)6位のクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto.AYANO
デュッセルドルフのラインタワーが雲に隠れるデュッセルドルフのラインタワーが雲に隠れる photo:Kei Tsuji / TDWsport
元世界チャンピオンのヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が16分11秒の暫定トップタイムをマーク。しばらくキリエンカのタイムはトップを維持したものの、中間計測通過時点で4秒遅れだったゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)が後半に挽回し、キリエンカを3秒上回る16分04秒でフィニッシュした。

地元ドイツの期待を背負ったトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)は中間計測でトーマスのタイムを4秒上回ったものの、後半に伸び悩んでトーマスから8秒遅れ。前半から好走したシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)も5秒届かず、濡れたコースを52.282km/hで駆け抜けたトーマスのステージ優勝が決まった。

「『どうせマルティンか誰か他の選手に更新される』と高をくくっていたので正直驚いている。驚いているし、信じられない気持ちだ」。グランツールでステージ初優勝を飾るとともに、マイヨジョーヌを手にしたトーマスは喜ぶ。トーマスはマリアローザ候補に挙げられながらも落車の影響でジロ・デ・イタリアをリタイア。その後、ツールに照準を合わせて調整を続けていた。「今年続いた不運はこの勝利のためだったのかもしれない。苦しい時も支え続けてくれたみんなに感謝している」。

大歓声の中を走るトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)大歓声の中を走るトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ステージ49位・47秒差 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)ステージ49位・47秒差 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsportステージ53位・48秒差 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ステージ53位・48秒差 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ステージ6位・12秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ステージ6位・12秒差 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
濡れたコースに繰り出していく新城幸也(バーレーン・メリダ)濡れたコースに繰り出していく新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport前半から飛ばしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)前半から飛ばしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport濡れたコースに繰り出していくクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)濡れたコースに繰り出していくクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport

マイヨジョーヌ候補の中で最も冴え渡ったのが最終出走者のクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)で、トーマスから12秒遅れのステージ6位で初日を終えている。フルームを基準にすると、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)は35秒、ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)は36秒、アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)は42秒失う結果に。

チームスカイはステージ優勝とマイヨジョーヌだけでなく、ステージトップ10に4名を送り込み、そしてフルームがライバルたちからリードを奪う最高の展開。「チームとしてタイムトライアルの準備に取り組んだ成果が出た。トーマスの勝利は本当に素晴らしい」とフルームは初日を振り返っている。

マイヨジョーヌに袖を通したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌに袖を通したゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨヴェールも同時に手にしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)マイヨヴェールも同時に手にしたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsportマイヨブランを手にしたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)マイヨブランを手にしたシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ステージ成績
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 16:04
2位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 0:05
3位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) 0:07
4位 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 0:08
5位 マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 0:10
6位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 0:12
7位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) 0:15
8位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
9位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 0:16
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
29位 サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) 0:37
49位 リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) 0:47
53位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) 0:48
54位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 0:49
63位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) 0:51
66位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) 0:52
68位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) 0:54
113位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ) 1:12
116位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・スコット) 1:13
175位 新城幸也(日本、バーレーン・メリダ) 1:46
DNF アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
DNF ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 16:04
2位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 0:05
3位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) 0:07
4位 トニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) 0:08
5位 マッテオ・トレンティン(イタリア、クイックステップフロアーズ) 0:10
6位 クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) 0:12
7位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ) 0:15
8位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)
9位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ) 0:16
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 20pts
2位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 17pts
3位 ヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) 15pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 シュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) 16:09
2位 ピエール・ラトゥール(フランス、アージェードゥーゼール) 0:20
3位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ 0:24
チーム総合成績
1位 チームスカイ 48:31
2位 クイックステップフロアーズ 0:37
3位 サンウェブ 0:58
text&photo:Kei Tsuji in Dusseldorf, Germany

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