スポーツバイクに加えて、実用性に優れるアクセサリーを展開するキャノンデール。昨年モデルとして展開していた「サイファー エアロ」がデザイン、色を変更して17年モデルでは「サイファー ロード」としてリニューアルされている。着脱可能なエアロカバーを装備したこのヘルメットをテストした。



キャノンデール サイファー ロード(ホワイト)キャノンデール サイファー ロード(ホワイト) photo:So.Isobe
キャノンデールがラインアップするヘルメットでトップモデルに当たるのが「サイファー」シリーズ。その中でも、着脱可能なエアロカバーを設けることで、エアロタイプと通常タイプの2種類を自在に使い分けることができる、高い汎用性をもったヘルメットが「サイファー ロード」である。各社がエアロ性能や通気性能に特化した製品をラインアップする中で、このヘルメットはその独自のギミックにより幅広い使用状況に対応したモデルとなっている。

大きな特長であるエアロカバーは、ヘルメットのアウターシェルと同じ薄手のポリカーボネート製。シェルの形状にピッタリ沿った形に成形されており、工具無しで上から被せるだけと容易な着脱方法となっている。エアロカバーには左右にキャノンデールのロゴが入っており、着脱前後で大きくルックスを変えるところもポイントだ。カバーによって覆われるのは前面のみとなり、背面のエアホールからは空気が抜ける構造になっているため排熱の心配もない。

エアロカバーを装着した状態。ルックスは全面ブラックにエアロカバーを装着した状態。ルックスは全面ブラックに 通常の状態なら32個のエアホールにより高い通気性を発揮通常の状態なら32個のエアホールにより高い通気性を発揮
エアロカバーは薄手のポリカーボネート製エアロカバーは薄手のポリカーボネート製 アウターシェルに沿った形で工具無しの着脱が可能となっているアウターシェルに沿った形で工具無しの着脱が可能となっている

ライナーには強度が異なる2種類のEPSフォームを2層に重ね合わせることで、衝撃吸収を狙った独自の「ピークプロテクション」テクノロジーが使われ、衝撃を分散させることでもしもの時の安全性を高める。加えてインナーシェルにはナイロン製のサブフレームが埋め込まれており、衝撃を受けてもバラバラに崩れず強度を保つ仕組みとなっている。

締め付けの微調整が可能なマイクロダイヤルアジャスター部分には、幅広で柔らかなエルゴフィットEVAパットが配され、後頭部を優しく包む構造に。上下に3段階でポジション調節可能なフィッティングシステムも、より高い装着感を生み出す。また、同社セカンドグレードに当たるヘルメット「テラモ」よりもやや深めな被り心地に設定されている。

エアロカバーは両サイドに大きくブランドロゴが入るデザインエアロカバーは両サイドに大きくブランドロゴが入るデザイン カバー無し状態でのシンプルなデザインはどんなバイクやウェアともマッチするだろうカバー無し状態でのシンプルなデザインはどんなバイクやウェアともマッチするだろう
取り扱いが容易なエアロカバーはヘルメットを被ったままでも着脱可能だ取り扱いが容易なエアロカバーはヘルメットを被ったままでも着脱可能だ 細やかな調整が可能なアジャスターダイヤル。独自のエルゴフィットEVAパットも配される細やかな調整が可能なアジャスターダイヤル。独自のエルゴフィットEVAパットも配される

サイズはS/M(52~58cm)、L/XL(58~62cm)という2種類。カラーはグリーン/ブラック、ホワイト、ブラックの3色となっており、右サイドにブランドロゴバッジが配される以外はシンプルな単一のカラーでデザインされている。価格は19,000円(税抜)。JCF公認ヘルメット(エアロカバー非装着時)。

キャノンデール サイファー ロード
サイズ:S/M(52~58cm)、L/XL(58~62cm)
カラー:グリーン/ブラック、ホワイト、ブラック
付属品:ヘルメット収納袋
価 格:19,000円(税抜)



ー 編集部インプレッション

サイクリストがヘルメットを購入する時に重視するのが一番は被り心地、フィット感ではないだろうか。各々頭の形が異なる中で、様々なブランドから自分にフィットするものを探し出し、みな愛用していることだろう。筆者はと言えば、典型的な日本人頭とはいかずヘルメットはやや細めで小さめなフィット感を好んで使用している。例に上げるならOGK カブトのヘルメットは合わず、ヨーロッパ系の被り心地を持ったものがフィットする形だ。

エアロカバーを装着すれば防風、防雨の役割も果たすエアロカバーを装着すれば防風、防雨の役割も果たす
このサイファー ロードは頭にフィットする部分はそこまで細くなっておらず、多くの人が被れる形状となっている。頭が入ってしまえば、深めな被り心地とアジャスター部分の幅広なパッドによって全方位が包まれるようなフィット感が味わえる。額部分も覆うほど深めに被れるのでおでこが出ず、アイウェアとの隙間も少なくスタイリッシュなルックスに収まるだろう。

内側のクッションはフカフカするような厚みではなく、程よいダイレクト感があって良い。アジャスター部のパッドも弾力のあるスポンジのような感触で、ダイヤル部のプラスチックが後頭部に当たって痛いという心配も皆無だ。ダイヤルはカチカチと音と指に伝わる感覚で回しているのが分かりやすい仕様になっている。

ヒルクライムなど通気性を求める場合はノーマルな状態で使用ヒルクライムなど通気性を求める場合はノーマルな状態で使用 エアロカバーはヘルメットを被ったままでも着脱可能なほど取り扱いが容易であった。今回エアロ効果を感じるほど高速域で走り込まなかったため空力性能に関してはコメントできないが、走行中に外れてしまうような不安感は全く無かった。何かを引っ掛けるくらいしないとカバーが落ちることはまずないと思われる。

寒い日や雨の日にはカバーをつけて、普段の練習では外してと、一つのヘルメットでシーンに合わせて使い分けできるのは嬉しいところ。さすがにエアロカバーを付けてしまうと空気の抜けが悪くなるため、エアフローを考えられたエアロヘルメット等と比べると排熱性能は劣ると感じるが、手軽に使い分けができる点はカバー方式のメリットだろう。個人的にはカバーの有無で2種類のルックスに変更できる点も好印象。今日はどっちで行こうかなと、使いたくなるモチベーションを上げてくれるポイントである。

エアロカバーを付けた際の重量は288g(実測)と、他のエアロヘルメットと差はなく特段重さを感じるものではない。カバーを外した状態ならブランドも主張せず、シンプルなカラーでどんなバイクやウェアともマッチするだろう。価格もハイエンド製品の中では手頃で、マルチな用途で使えるヘルメットをお探しのライダーにぜひオススメしたい。

text:Yuto.Murata