カンパニョーロが待望のロード用ディスクブレーキ製品群をリリースした。スペイン・カナリア諸島において開催された発表会から速報でお伝えする(同時に発表となったコンポーネント新型CENTAURはこちら)。


ついにカンパニョーロのロードディスクブレーキ製品群がベールを脱いだついにカンパニョーロのロードディスクブレーキ製品群がベールを脱いだ photo:Makoto.AYANO
今週、世界のサイクリングメディアを招待してスペインはカナリア諸島において開催された2017新製品発表会において、カンパニョーロのディスクブレーキ製品が複数のラインアップとして発表された。

プロレースの現場でテストを続けてきたカンパのディスクブレーキ。すでにシマノやスラムが一足先にリリースしたなか、それらに遅れをとるかたちとなったが、ついに製品版としてプレス発表会に姿を現した。ちなみにシマノ・デュラエースDisc、スラムRED e-TapDiscとも発表後の製品の販売開始は延期されたため、事実上は肩を並べたと言って良いだろう。

メカニカル仕様のH11エルゴパワーレバーメカニカル仕様のH11エルゴパワーレバー photo:Makoto.AYANO
EPS仕様のH11エルゴパワーレバーEPS仕様のH11エルゴパワーレバー photo:Makoto.AYANOメカニカル仕様のH11エルゴパワーレバーメカニカル仕様のH11エルゴパワーレバー photo:Makoto.AYANO


カンパニョーロがプレスキャンプにおいて実機として公開したディスクブレーキセットは、スーパーレコード、レコード、コーラスレベルにおける共通の「H11」と、POTENZAの2グレード。エルゴパワーレバー、ブレーキキャリパー、ディスクローターとホース類、そしてチェーンホイールのセットで構成される。

「H11」のHとはもちろん「Hydraulic=ハイドローリック(油圧)」の頭文字のHであり、ケーブル式ブレーキは無く、油圧ブレーキのみとなる。スーパーレコード、レコード、コーラスのグループセットと組み合わせるH11には、それぞれ変速系統としてメカニカル(機械式)とEPS(電子式)の2種がある。なお中級グレードのPOTENZAはメカニカルのみとなる。

先端部は8mm高くなったが、握りのエルゴノミック形状にはほとんど変わりがない先端部は8mm高くなったが、握りのエルゴノミック形状にはほとんど変わりがない photo:Makoto.AYANOレバーの開き具合や始動位置をアーレンキーで調整できる機構が追加されたレバーの開き具合や始動位置をアーレンキーで調整できる機構が追加された photo:Makoto.AYANO


マスターシリンダーからなる油圧システムが内蔵されるブレーキレバーは、リムブレーキモデルのエルゴパワーレバーと同様のエルゴノミクス形状を残しつつ、ブラケット上端の突き出しがわずか+8mmに抑えられている。

POTENZAの油圧エルゴパワーレバーPOTENZAの油圧エルゴパワーレバー photo:Makoto.AYANO
マスターシリンダーは各クラスにおいて共通のものを使用し、ブリーディングの容易さ、イージーメンテナンス性も追求されている。また、従来のエルゴパワー同様の握り心地を留めつつも、レバーの形状はよりフィットする形状とされ、レバーの開き具合や始動位置をアーレンキーで調整できる機構が追加された。

アルミ鍛造によるブレーキキャリパーはフラットマウントに対応。アダプターや固定ボルトの選択により現在市場にあるほとんどのスタンダードな規格に準じたフレームにセットすることが可能。ピストンは軽量でパワフルな22mm。ローター径はフロント160mm、リアのみ160mmと140mmの2種を用意する。

フロントブレーキキャリパー フロントブレーキキャリパー photo:Makoto.AYANOリアブレーキキャリパー リアブレーキキャリパー photo:Makoto.AYANO

ブレーキパッドには「オーガニックレジン」と名付けるコンパウンドを採用ブレーキパッドには「オーガニックレジン」と名付けるコンパウンドを採用 photo:Makoto.AYANOEPS仕様のH11エルゴパワーに内蔵されたマスターシリンダーEPS仕様のH11エルゴパワーに内蔵されたマスターシリンダー photo:Makoto.AYANO


オイルは一般的なミネラルオイルを使用し、ブレーキパッドには「オーガニックレジン」と名付けるコンパウンドを採用。あらゆる天候、気温において安定したブレーキングパフォーマンスを発揮。ノイズやバイブレーションを排除した、静かでスムーズな制動を実現しているという。

またレース中のクラッシュによりケガの原因となることが心配されてきたローターは、エッジを丸めることで安全性を高めている。実際にローターを手にして指に押し当てても、皮膚が切れる心配がない処理が施されていた。

H11クランクセットH11クランクセット photo:Makoto.AYANO
H11クランクセットはQファクターを変化させることなく適正なチェーンラインと変速性能を追求H11クランクセットはQファクターを変化させることなく適正なチェーンラインと変速性能を追求 photo:Makoto.AYANOクランクの外ー外で145.5mmの数値のBBシャフトで、Qファクターを変化させることなく適正なチェーンラインと変速操作を追求クランクの外ー外で145.5mmの数値のBBシャフトで、Qファクターを変化させることなく適正なチェーンラインと変速操作を追求 photo:Makoto.AYANO


また、ディスクブレーキの採用によりチェーンラインやフレームジオメトリーに変化が伴うことに対処すべく、専用のH11クランクセットも追加される。クランクの外ー外の幅で145.5mmの数値のBBシャフトで、Qファクターを変化させることなく適正なチェーンラインと変速操作を追求している。

グループセットの総重量はスーパーレコードEPSで2,355g、スーパーレコードで2,228g、レコードEPSで2,390g、レコードで2,260g、コーラスで2,319g、POTENZAで2,613gだ。

ディスク専用のBORA ONE DBホイールも登場

すでにZONDA DBホイールが発表されていたが、このプレスキャンプでBORA DBホイールも併せて登場した。デカールなどデザイン面でリムブレーキのBORA ONEと似ているため既視感があるが、ディスクブレーキの使用に特化して設計された新リム、新ハブを用いたまったくの新モデルになる。

ディスク専用のBORA ONE DBホイールが登場ディスク専用のBORA ONE DBホイールが登場 photo:Makoto.AYANO
BORA ONE 35DBのディスクブレーキ専用設計の新リムBORA ONE 35DBのディスクブレーキ専用設計の新リム photo:Makoto.AYANOBORA ONE DBホイールのフロントハブBORA ONE DBホイールのフロントハブ photo:Makoto.AYANO


25〜28mmタイヤの使用を想定した、かつリムブレーキのパッド接触面の処理や耐接触強が必要ないリムは24.2mm幅をもつ。エアロダイナミック性能はリムブレーキモデル同様。スポークはG3パターンでありつつも構造においてはディスク特有ブレーキング時の負荷を計算して設計されている。

ディスク専用のBORA ONE DBホイールは12mmスルーアクスルを基本仕様とするディスク専用のBORA ONE DBホイールは12mmスルーアクスルを基本仕様とする photo:Makoto.AYANOBORA ONE 35DBホイールBORA ONE 35DBホイール photo:Makoto.AYANO

12mmスルーアクスルを基本としているが、両端のアダプターを交換することで一般的な規格に対応する。企画にハブ軸長はフロント100mm、リア142mm。BORA ONE 35チューブラーでペア重量1,297gを実現。BORA ONE 50チューブラーで1,364gだ(35クリンチャーは1,509g)。

ディスクブレーキ、BORA ONE、また製品版は間に合わなかったものの発表されたSHAMAL ULTRA DBホイールの詳細、そしてカナリア諸島におけるテストライドによる実走インプレッションについては追って特集記事で紹介する予定だ。

photo&text:Makoto.AYANO in GranCanaria, SPAIN