横風区間で集団分裂。デパンヌ〜コクサイデ3日間レース第2ステージを締めくくる小集団スプリントで、アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がトゥーンスやキッテルを下した。
ペースが上がったメイン集団は分裂 photo: TDWsport / KT
デパンヌ〜コクサイデ3日間レース2017第2ステージ image: www.driedaagse.be
寒空のフランドル地方を走る逃げグループ photo: TDWsport / KTデパンヌ〜コクサイデ3日間レース第2ステージは、フランドル地方の内陸に位置するゾッテヘムから北海に面したコクサイデを目指す192.9km。勝負を決めたのはヘント〜ウェヴェルヘムの定番坂「ケンメルベルグ(700m/平均7.8%/最大17%)」ではなく、強風吹き付けるコクサイデまでの平坦区間だった。
横風区間でペースアップするトレック・セガフレード photo: TDWsport / KTレース序盤に10名の逃げグループが形成され、山岳賞狙いのピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン)を先頭に丘陵地帯を駆け抜けていく。クイックステップフロアーズ率いるメイン集団は逃げに大きなリードを与えなかった。
先頭集団を率いるフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) photo: TDWsport / KT「ケンメルベルグ」を含む5つの急坂をクリアし、平坦な横風区間に入るとメイン集団はさらにセレクションがかかった。トレック・セガフレードのペースアップによって集団は粉砕。エシュロンを形成しながら6〜7グループに分かれ、第1集団は20名ほどに絞られる。逃げグループを飲み込んだ第1集団にリーダージャージのフィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ)が入った一方で、総合2位ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・スコット)や総合3位シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)らは第2集団内での追走を強いられた。
ジルベールやキッテル、クリストフを含む22名の先頭集団が形成 photo: TDWsport / KTトレック・セガフレード、カチューシャ・アルペシン、クイックステップフロアーズの連合軍の牽引によって第1集団はリードを広げ、コクサイデのフィニッシュ周回コースへ。ジルベールは2つのスプリントポイントを先頭通過し、ボーナスタイム6秒を上乗せすることに成功している。
集団スプリントを制したアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo: TDWsport / KTサバティーニとリケーゼというリードアウト要員を揃えたマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)に有利な展開に持ち込まれると思われたが、残り2.4km地点で総合4位(実質総合2位)のマティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード)がアタックすると隊列は崩れる。
今シーズン5勝目を飾ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo: TDWsport / KTブランドルのアタックはリーダージャージのジルベール自らの反応によって封じ込められたが、その後リードアウトと呼べるリードアウトを組むチームは現れなかった。最終ストレートに入り、自力でポジション取りした各チームのエーススプリンターが腰を上げる。好位置をキープしていたキッテルのスプリントは伸びず、向かい風の中でも伸び続けたクリストフが先着した。
「マルセル・キッテルと先頭集団に残った時点で彼との勝負になると思っていたよ。向かい風が強くてハードなスプリントだった。どのチームもリードアウトトレインを組めない状態で、スプリンター自身の力と力のぶつかり合いのようなスプリントは自分向きだったんだ」と、クリストフは語る。
クリストフは今シーズン5勝目だが、まだUCIワールドツアーレースでの勝利はない。パリ〜ニースは0勝に終わっており、ミラノ〜サンレモ4位、E3ハーレルベーケ27位、ヘント〜ウェヴェルヘム73位というのが直近の成績だ。2015年にロンド・ファン・フラーンデレンを制しているクリストフは「今シーズンここまでの成績を見れば分かると思うけど、絶好調とは言えない状態であり、自分はロンドの優勝候補ではないと思う。今日の勝利は自信につながるものの、ロンドは桁違いにハードだ。それにジルベールやサガン、ヴァンアーヴェルマートという強力な選手たちも揃う。彼らとの戦いに残りたい。とにかく日曜日(ロンド)に力を発揮したい」とコメントしている。
ステージ2位に入ったエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)は「横風区間を前にアレクサンドル・クリストフに『一緒にペースアップしないか?』と言われて、そのことをチームに告げた。そしてタイミングを見計らって加速し、人数を揃えて後続を引き離すことに成功した」と、集団分裂の瞬間を振り返る。トレック・セガフレードはブランドルを総合2位に浮上させることに成功している。
総合リードを広げることに成功したジルベールは「とてもナーバスなステージだったけど、チームは常に集団先頭に位置し、安全にレースを進めた。シャヴァネルやブランドルが攻撃してくることは予想済みで、彼らのアタックにはすかさず反応することもできた。ブランドルらのアタックで集団の隊列が崩れてしまい、(キッテルの)リードアウトを失ってしまったことは残念だった」とコメント。
元アワーレコード保持者ブランドルとの総合タイム差は50秒。総合争いは最終日午後に行われる14.2kmの個人タイムトライアルで決する。「明日のロードレースでは再びマルセル(キッテル)のスプリントを狙うよ。そして午後の個人タイムトライアルでは最大限良いタイムを出したい」と、デパンヌ初制覇に王手をかけたジルベールは語っている。
デパンヌ〜コクサイデ3日間レース2017第2ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 4h37'29"
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
4位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
6位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック)
7位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 コーエン・フェルメルトフォールト(オランダ、ルームポット)
9位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)
10位 コノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)
43位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +2'39"
147位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +6'48"
個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 9h13'28"
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード) +50"
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) +1'07"
4位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) +1'11"
5位 ピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット) +1'15"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)
7位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック) +1'17"
8位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)
9位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード) +1'22"
10位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・ソウダル) +2'25"
ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 29pts
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 26pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 24pts
山岳賞
1位 ピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン) 25pts
2位 ブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト) 16pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 15pts
ヤングライダー賞
1位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 9h16'56"
2位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +2'54"
3位 オーレ・フォルファング(ノルウェー、チームジョーカー) +4'37"
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 27h43'56"
2位 UAEチームエミレーツ +5'17"
3位 カチューシャ・アルペシン +5'35"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport








「マルセル・キッテルと先頭集団に残った時点で彼との勝負になると思っていたよ。向かい風が強くてハードなスプリントだった。どのチームもリードアウトトレインを組めない状態で、スプリンター自身の力と力のぶつかり合いのようなスプリントは自分向きだったんだ」と、クリストフは語る。
クリストフは今シーズン5勝目だが、まだUCIワールドツアーレースでの勝利はない。パリ〜ニースは0勝に終わっており、ミラノ〜サンレモ4位、E3ハーレルベーケ27位、ヘント〜ウェヴェルヘム73位というのが直近の成績だ。2015年にロンド・ファン・フラーンデレンを制しているクリストフは「今シーズンここまでの成績を見れば分かると思うけど、絶好調とは言えない状態であり、自分はロンドの優勝候補ではないと思う。今日の勝利は自信につながるものの、ロンドは桁違いにハードだ。それにジルベールやサガン、ヴァンアーヴェルマートという強力な選手たちも揃う。彼らとの戦いに残りたい。とにかく日曜日(ロンド)に力を発揮したい」とコメントしている。
ステージ2位に入ったエドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)は「横風区間を前にアレクサンドル・クリストフに『一緒にペースアップしないか?』と言われて、そのことをチームに告げた。そしてタイミングを見計らって加速し、人数を揃えて後続を引き離すことに成功した」と、集団分裂の瞬間を振り返る。トレック・セガフレードはブランドルを総合2位に浮上させることに成功している。
総合リードを広げることに成功したジルベールは「とてもナーバスなステージだったけど、チームは常に集団先頭に位置し、安全にレースを進めた。シャヴァネルやブランドルが攻撃してくることは予想済みで、彼らのアタックにはすかさず反応することもできた。ブランドルらのアタックで集団の隊列が崩れてしまい、(キッテルの)リードアウトを失ってしまったことは残念だった」とコメント。
元アワーレコード保持者ブランドルとの総合タイム差は50秒。総合争いは最終日午後に行われる14.2kmの個人タイムトライアルで決する。「明日のロードレースでは再びマルセル(キッテル)のスプリントを狙うよ。そして午後の個人タイムトライアルでは最大限良いタイムを出したい」と、デパンヌ初制覇に王手をかけたジルベールは語っている。
デパンヌ〜コクサイデ3日間レース2017第2ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 4h37'29"
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード)
3位 マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)
4位 パスカル・アッカーマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、UAEチームエミレーツ)
6位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック)
7位 アドリアン・プティ(フランス、ディレクトエネルジー)
8位 コーエン・フェルメルトフォールト(オランダ、ルームポット)
9位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)
10位 コノール・デューン(アイルランド、アクアブルースポート)
43位 別府史之(日本、トレック・セガフレード) +2'39"
147位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ) +6'48"
個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 9h13'28"
2位 マティアス・ブランドル(オーストリア、トレック・セガフレード) +50"
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) +1'07"
4位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) +1'11"
5位 ピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット) +1'15"
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)
7位 マキシム・ヴァントム(ベルギー、WBヴェランクラシック) +1'17"
8位 ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト)
9位 ボーイ・ファンポッペル(オランダ、トレック・セガフレード) +1'22"
10位 ジャスパー・デブイスト(ベルギー、ロット・ソウダル) +2'25"
ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 29pts
2位 エドワード・トゥーンス(ベルギー、トレック・セガフレード) 26pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 24pts
山岳賞
1位 ピート・アレガールト(ベルギー、スポートフラーンデレン) 25pts
2位 ブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴィタルコンセプト) 16pts
3位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 15pts
ヤングライダー賞
1位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、UAEチームエミレーツ) 9h16'56"
2位 ニルス・ポリッツ(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) +2'54"
3位 オーレ・フォルファング(ノルウェー、チームジョーカー) +4'37"
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 27h43'56"
2位 UAEチームエミレーツ +5'17"
3位 カチューシャ・アルペシン +5'35"
text:Kei Tsuji
photo:TDWsport
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