JBCFの開幕戦として大いに盛り上がった宇都宮2連戦。それら立役者の一人である宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GM、那須ブラーゼン若杉厚仁社長へのインタビューを通して見えた、大会の裏側と今後の展望を紹介したい。



2日間を盛り上げた赤いブリッツェンサポーター。国内レースには欠かせない存在となっている2日間を盛り上げた赤いブリッツェンサポーター。国内レースには欠かせない存在となっている photo:Satoru.Kato
国内ロードレースシーズンの開幕を告げる大会として定着したのが、先週末土曜日に開催されたJBCF宇都宮クリテリウムだ。4年目となった今年は翌日にジャパンカップの一部コースを使用したJBCF宇都宮ロードレースも初開催され、2日間を通して延べ1万3千人という動員数を記録した。

会場ではゲスト陣のトークショーや宇都宮ブリッツェンを始めとする各チームサポーターの応援、立ち並んだ飲食・販売ブースが華を添え、その盛り上がりはツール・ド・フランスさいたまクリテリウムやジャパンカップ、ツアー・オブ・ジャパンにも引けを取らないほどだった。

栃木県は今年、那須、そして大田原・矢板での2Daysレースを新たに開催予定であり、渡良瀬遊水地でのTTチャンピオンシップを含めると合計7ものJBCFレースをホストすることとなる。さらに今月31日からは県内初となる国際ラインレースである「ツール・ド・とちぎ(UCI2.2)」も控えているなど、今全国で最も自転車熱の高い県と言って過言ではない。

クリテリウムでは地元Live GARDEN BICI STELLEの吉川美穂が優勝し、会場を多いに沸かせたクリテリウムでは地元Live GARDEN BICI STELLEの吉川美穂が優勝し、会場を多いに沸かせた photo:Satoru.Kato2日目のロードレースでチームにJBCF初勝利を届けた吉岡直哉(那須ブラーゼン)2日目のロードレースでチームにJBCF初勝利を届けた吉岡直哉(那須ブラーゼン) photo:Satoru.Kato

宇都宮ロードレースでは那須ブラーゼンの吉岡直哉が優勝した宇都宮ロードレースでは那須ブラーゼンの吉岡直哉が優勝した photo:Satoru.Kato
「天候に助けられた部分も大きいのですが、まずは宇都宮2連戦が成功に終わってホッとしています」と、レース終了後に胸をなで下ろしたのは、宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GM。チームの指揮はもちろん、選手時代の経験を活かして栃木県内のレースやイベントを運営する中心人物の一人だ。

「ロードレースに関しては、ジャパンカップのおかげで、観客のみなさんが宇都宮森林公園への来場に慣れていたことも成功した要因のひとつです。今後はステージコンテンツも増やしていきたいし、選手のみんなもより気持ちよく走れるようなレースにしたい。そうすることで、もっとお客さんに感動や興奮を与えられる、より満足できるイベントへ成長させていきたいと思う」と振り返る。

宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正ゼネラルマネジャー宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正ゼネラルマネジャー photo:So.Isobeファンと記念撮影に納まる那須ブラーゼンの吉岡直哉ファンと記念撮影に納まる那須ブラーゼンの吉岡直哉 photo:Satoru.Kato

宇都宮クリテリウムのコース脇を埋め尽くした観客宇都宮クリテリウムのコース脇を埋め尽くした観客 photo:Satoru.Kato遅れた選手も最後まで応援するブリッツェンサポーター遅れた選手も最後まで応援するブリッツェンサポーター photo:Satoru.Kato


両日とも、沿道にはプロスポーツとして観戦に足を運んだ地元ファンの姿が多く目立つとともに(そして大勢がブリッツェン、ブラーゼンの選手の名前を知っていた)、立哨や誘導等のボランティアスタッフもかなりの人数がいることに気付かされた。自転車が根付いた宇都宮だからこその、地元の理解協力が強く感じられるシーンであった。廣瀬さんによると次戦のツール・ド・とちぎでは3400人ものボランティアが集まっているという。栃木県の自転車愛が伺い知れる数字だろう。

そのルーツには、1990年に宇都宮森林公園で開催されたロード世界選手権の存在がある。そのメモリアルレースとして1992年にジャパンカップが始まり、2009年には全国に先駆けた地域密着型プロチームである宇都宮ブリッツェンの結成と、それに続いた那須ブラーゼンによって、自転車競技の知名度は一気に火が着いたと言って良い。

ブリッツェンを協賛する企業は今や150社以上。バスケットボールやアイスホッケー、サッカーなどプロチームが多数存在する栃木県だが、それらのメジャースポーツに食い込むほど県内での知名度は高いと言う。「サイクルスポーツ自体の価値を今以上に高めていけば、より大きなサポートも期待でき、将来的には宇都宮ブリッツェンもプロコンチネンタルチームへ昇格も見えてくるはずなんです」。

たとえレースで負けても、地元新聞社などの報道陣が選手を囲むたとえレースで負けても、地元新聞社などの報道陣が選手を囲む photo:Satoru.Kato宇都宮ブリッツェン前監督の栗村修氏と、廣瀬佳正GM、那須ブラーゼン若杉厚仁社長を交えてのトークショー宇都宮ブリッツェン前監督の栗村修氏と、廣瀬佳正GM、那須ブラーゼン若杉厚仁社長を交えてのトークショー photo:Satoru.Kato

宇都宮クリテリウムでは地元の方々が出店する屋台が盛況だ宇都宮クリテリウムでは地元の方々が出店する屋台が盛況だ photo:Satoru.Kato地元に伝わる郷土料理「鬼怒の船頭鍋」。ほうとう入りの煮込み鍋で美味でした地元に伝わる郷土料理「鬼怒の船頭鍋」。ほうとう入りの煮込み鍋で美味でした photo:So.Isobe

宇都宮クリテリウムではストライダーレースも併催されていた。未来の選手は誰かな?宇都宮クリテリウムではストライダーレースも併催されていた。未来の選手は誰かな? photo:So.Isobeメーカーブース出展も少なくなかった。ウエイブニャン(?)の姿もメーカーブース出展も少なくなかった。ウエイブニャン(?)の姿も photo:So.Isobe


廣瀬GMの目標は、宇都宮クリテリウム同等レベルのレースを全国各地に増やして国内レースのレベルを上げ、より世界に通用する選手が生まれるよう環境を整えていくことだ。

「ブリッツェンが始動した当初はツール・ド・とちぎのようなラインレース含め、これほどのレースができるとは想像もしていませんでした。でも、他の地域へ行くとやはりレースの観客は少ない。自転車チームが地域の盛り上げに貢献していく仕組みを、宇都宮だけでなく全国にも広げていきたいですね」。

その意味では、2日目のロードレースで吉岡直哉が那須ブラーゼンにもたらした1勝は大きなステップだ。

ブラーゼンを率いる若杉厚仁社長は「発足2年目の年で佐野淳哉が全日本選手権を獲って以来、チームとして丸3年勝利が無かったので、今回の優勝は本当に嬉しいですね」と喜びを噛み締める。初勝利を栃木県内で成せたこと、多くのサポーターの目の前で勝利でき何よりも価値のある1勝となった、とも。

若杉厚仁社長と、チームにJBCF初勝利をもたらした吉岡直哉若杉厚仁社長と、チームにJBCF初勝利をもたらした吉岡直哉 photo:So.Isobe
那須という立地を武器にした「観光」をキーワードとするブラーゼン。若杉社長は「ロードレースの文化が根づいた栃木県の礎の上にブラーゼンも成り立っていますし、そのことに感謝しつつ、この栃木県のポテンシャルをブラーゼンがもっともっと引き出して全国に拡散していきたい。那須に拠点を置くブラーゼンならではのやり方で観光地をさらにアピールしていきたいし、そういった意味でもツール・ド・とちぎでブラーゼンが活躍することはマスト。ぜひとも勝ちを狙っていきたい」と語った。



来週末31日(金)に初開催を迎えるツール・ド・とちぎは、国内10チームに海外5チームを加えた計15チームによって、栃木県全域を3日間に渡った320kmで争われることとなる。ホストチームである宇都宮ブリッツェン、那須ブラーゼンの活躍はもちろん、栃木県、ひいては国内の自転車熱の更なる盛り上がりに期待したい。

text:Yuto.Murata
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