大会最大の難所であるKOMグリーンマウンテンを最速で駆け上がったのは、ツアー・オブ・オマーンのリーダージャージを着るベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)。文句なしの走りでヘルマンスが総合優勝に王手をかけた。
BMCレーシングを先頭にグリーンマウンテンに向かう photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツアー・オブ・オマーン2017第5ステージ image: Tour of Oman第5ステージのKOMグリーンマウンテン(正式名称ジャバル・アル・アクダル 登坂距離5.7km/平均勾配10.2%)山頂フィニッシュがツアー・オブ・オマーン最大の難所。標高1,235mの頂上に向かって延々と10%オーバーが続く登りでオマーンの総合優勝者が実質的に決まる。
逃げるプレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン)ら5名 photo:Kei Tsuji / TDWsport横風によってエシュロンが形成されながらのスタートアタックは22km地点まで続いた。マーク・クリスティアン(イギリス、アクアブルースポート)やプレベン・ヴァンヘッケ(ベルギー、スポートフラーンデレン)ら5名の先行が決まったところでメイン集団はようやくスピードを弱める。
BMCレーシングがメイン集団をコントロール photo:Kei Tsuji / TDWsport溢れた川がコースを横断するポイントで大きな集団落車が発生したもののレースは続行。落車の影響でタイム差は9分近くまで広がったが、BMCレーシングとアスタナのメイン集団牽引によってKOMグリーンマウンテンが近づくとともにタイム差は縮小。先頭5名が5.7kmの登坂を開始する頃にはタイム差は2分に。
川が溢れた区間で発生した集団落車 photo:Kei Tsuji / TDWsport平均勾配が10%を超える登りで逃げが吸収されると総合優勝をかけたアタック合戦が始まった。BMCレーシングによるペースメイクで人数を減らした集団からラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ)らがアタック。モートンのアタックは決まらずに、続いてヤングライダー賞ジャージのメルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)が飛び出す展開。
オマーン内陸部の山岳地帯を進む photo:Kei Tsuji / TDWsport先頭クドゥスには2016年グリーンマウンテン2位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やリーダージャージのヘルマンス、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)が合流して精鋭グループを形成。そこからヘルマンスが仕掛けた。
徐々にライバルを引き離し始めたヘルマンスに対し、後続のトップライダーたちの追撃は届かない。ヘルマンスがアルに3秒差、コスタに11秒差をつけてフィニッシュした。
「ライバルたちの面子を考えると、これがキャリア最大の勝利だと思う」と、先頭でグリーンマウンテンにたどり着いたヘルマンスは語る。「先に飛び出したクドゥスが10秒ほど先行したけど、まだ脚には余力があった。アルが食らいついたものの追いつかれることなくフィニッシュ。第2ステージの勝利で自信を得ていたし、チームメイトたちの働きに報いないわけにはいかなかった」。
ボーナスタイムを追加したヘルマンスは総合2位コスタに22秒、総合3位アルに35秒をつけて総合優勝に王手。リーダージャージを着て最終ステージに挑むことに。「メカトラがなければ総合リードを守りきれると思う。自分にとって初めてのステージレース総合優勝なので、自分のキャリアの大きなステップになるはずだ(BMCレーシング公式サイト)」。
ステージ2位のアルは「チームメイトたちが素晴らしい働きを見せてくれていただけに、ステージ優勝を飾れずに残念な気持ち。レッドジャージの彼(ヘルマンス)は強力だった。上向きの自分の調子には満足しているし、次のアブダビツアーではもっと良い走りができるはずだ(アスタナ公式サイト)」と語っている。
ヘルマンスを突き放すメルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
先行するクドゥスを捕まえ、アタックするベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
アルを振り切ってフィニッシュするベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツアー・オブ・オマーン2017第5ステージ結果
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 4h08’46”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +03”
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +11”
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +27”
5位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)
6位 スガブ・グルマイ(エチオピア、バーレーン・メリダ) +34”
7位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +38”
8位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール) +41”
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +44”
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 17h59’17”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +22”
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +35”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +58”
5位 スガブ・グルマイ(エチオピア、バーレーン・メリダ) +1’12”
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +1’17”
7位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール) +1’19”
8位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +1’21”
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1’33”
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +1’38”
ポイント賞
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 42pts
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) 33pts
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 32pts
ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 18h00’15”
2位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +23”
3位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1’04”
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 54h01’37”
2位 アージェードゥーゼール +2’12”
3位 アスタナ +2’20”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele






徐々にライバルを引き離し始めたヘルマンスに対し、後続のトップライダーたちの追撃は届かない。ヘルマンスがアルに3秒差、コスタに11秒差をつけてフィニッシュした。
「ライバルたちの面子を考えると、これがキャリア最大の勝利だと思う」と、先頭でグリーンマウンテンにたどり着いたヘルマンスは語る。「先に飛び出したクドゥスが10秒ほど先行したけど、まだ脚には余力があった。アルが食らいついたものの追いつかれることなくフィニッシュ。第2ステージの勝利で自信を得ていたし、チームメイトたちの働きに報いないわけにはいかなかった」。
ボーナスタイムを追加したヘルマンスは総合2位コスタに22秒、総合3位アルに35秒をつけて総合優勝に王手。リーダージャージを着て最終ステージに挑むことに。「メカトラがなければ総合リードを守りきれると思う。自分にとって初めてのステージレース総合優勝なので、自分のキャリアの大きなステップになるはずだ(BMCレーシング公式サイト)」。
ステージ2位のアルは「チームメイトたちが素晴らしい働きを見せてくれていただけに、ステージ優勝を飾れずに残念な気持ち。レッドジャージの彼(ヘルマンス)は強力だった。上向きの自分の調子には満足しているし、次のアブダビツアーではもっと良い走りができるはずだ(アスタナ公式サイト)」と語っている。



ツアー・オブ・オマーン2017第5ステージ結果
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 4h08’46”
2位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +03”
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +11”
4位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +27”
5位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ)
6位 スガブ・グルマイ(エチオピア、バーレーン・メリダ) +34”
7位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +38”
8位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール) +41”
9位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +44”
10位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)
個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 17h59’17”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +22”
3位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +35”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +58”
5位 スガブ・グルマイ(エチオピア、バーレーン・メリダ) +1’12”
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +1’17”
7位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼール) +1’19”
8位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +1’21”
9位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、バーレーン・メリダ) +1’33”
10位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) +1’38”
ポイント賞
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 42pts
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) 33pts
3位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 32pts
ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 18h00’15”
2位 ラクラン・モートン(オーストラリア、ディメンションデータ) +23”
3位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1’04”
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 54h01’37”
2位 アージェードゥーゼール +2’12”
3位 アスタナ +2’20”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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