勾配のある連続山岳で繰り広げられたアタック合戦。ビッグネームの攻撃はいずれも決まらず、最終的な45名による小集団スプリントでアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)が悠々と2勝目を飾った。
オマーンの首都マスカット近郊の幹線道路を走る photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツアー・オブ・オマーン2017第4ステージ image: Tour of Omanオマーンの首都マスカットの一ヶ所のホテルに選手たちが滞在する形で開催されているツアー・オブ・オマーン。クイーンステージを前にした第4ステージは118kmと短いが、後半にかけて登坂距離3.6km/平均勾配10%(逆側は登坂距離2.7km/平均勾配8%)のKOMブシェールアラムラットを3回クリアする。
レース序盤から逃げたタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)ら photo:Kei Tsuji / TDWsportアブダビツアー覇者タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)やルクセンブルクチャンピオンのボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク、クイックステップフロアーズ)を含む強力な9名の逃げが形成されたことで、レースは常時ハイスピードな展開となった。
BMCレーシングがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsuji / TDWsport先頭9名は約2分のリードで後半のKOMブシェールアラムラットに差し掛かり、2回目の登坂を終えた時点で6名が逃げ続ける。3回目の、つまり最後のKOMブシェールアラムラットでシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)が独走に持ち込んだものの、アージェードゥーゼールをはじめとする総合系チームのペースアップによって逃げは全て吸収された。
メイン集団から飛び出すヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) photo:Kei Tsuji / TDWsport逃げ吸収後のカウンターアタック合戦は白熱し、ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)やファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ)、そして総合リーダーのベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング)らを含む10名強が精鋭グループを形成して最後の登りをクリア。
最後のKOMブシェールアラムラットでアタックするルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) photo:Kei Tsuji / TDWsport100km/hオーバーのダウンヒルでも引き続きアタックが繰り広げられたが決まらず、逆にスプリンターを含む後続集団が追いついて先頭は45名。リードアウト要員を欠いた力と力がぶつかり合うスプリントでクリストフがソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)やグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)を破った。最終スプリントの最高速は75km/h程度。
「今日は小集団によるスプリントに持ち込まれると予想していた」と、今大会2勝目を飾ったクリストフは語る。「昨年は同じレイアウトのコースで脱落したものの、今年は何としても勝負に残りたいと思っていた。登りで集団から遅れた自分をチームメイトが引き戻してくれた。ターラマエ、ハラー、ホレンシュタインが勝利に導いてくれたんだ。彼らの働きがなければスプリントにさえ絡めていなかった」。
他のピュアスプリンターを凌駕する登坂力が武器のクリストフ。その登坂力を生かして2014年ミラノ〜サンレモ、2015年ロンド・ファン・フラーンデレンの勝利を手にしており、2016年もクラシックシーズンに向けて順調な仕上がりを見せている。
リーダージャージを着続けるヘルマンスは「今日は自分の総合リードキープとヴァンアーヴェルマートのステージ優勝が目標だった。とてもとても厳しい1日だったけど、トラブルなく走りきることができて良かった。明日は大きな1日になるけど調子はとても良い」とコメント。KOMグリーンマウンテン(登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)の山頂フィニッシュが設定された第5ステージで総合争いは決する。
小集団スプリントで先頭に立ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:Kei Tsuji / TDWsport
登りを乗り切ったアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)がスプリント2勝目 photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツアー・オブ・オマーン2017第4ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 2h50’29”
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
5位 マルコ・クンプ(スロベニア、UAEアブダビ)
6位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン)
8位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)
9位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
10位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 13h50’41”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +05”
3位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) +13”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +21”
5位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +22”
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +23”
7位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +24”
8位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
9位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +28”
ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 32pts
2位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 27pts
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) 24pts
ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 13h51’02”
2位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +03”
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 41h33’30”
2位 アスタナ +04”
3位 BMCレーシング +40”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele






「今日は小集団によるスプリントに持ち込まれると予想していた」と、今大会2勝目を飾ったクリストフは語る。「昨年は同じレイアウトのコースで脱落したものの、今年は何としても勝負に残りたいと思っていた。登りで集団から遅れた自分をチームメイトが引き戻してくれた。ターラマエ、ハラー、ホレンシュタインが勝利に導いてくれたんだ。彼らの働きがなければスプリントにさえ絡めていなかった」。
他のピュアスプリンターを凌駕する登坂力が武器のクリストフ。その登坂力を生かして2014年ミラノ〜サンレモ、2015年ロンド・ファン・フラーンデレンの勝利を手にしており、2016年もクラシックシーズンに向けて順調な仕上がりを見せている。
リーダージャージを着続けるヘルマンスは「今日は自分の総合リードキープとヴァンアーヴェルマートのステージ優勝が目標だった。とてもとても厳しい1日だったけど、トラブルなく走りきることができて良かった。明日は大きな1日になるけど調子はとても良い」とコメント。KOMグリーンマウンテン(登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)の山頂フィニッシュが設定された第5ステージで総合争いは決する。


ツアー・オブ・オマーン2017第4ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 2h50’29”
2位 ソニー・コルブレッリ(イタリア、バーレーン・メリダ)
3位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
5位 マルコ・クンプ(スロベニア、UAEアブダビ)
6位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、ディメンションデータ)
7位 ベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン)
8位 オリバー・ナーセン(ベルギー、アージェードゥーゼール)
9位 イヴ・ランパールト(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
10位 マルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)
個人総合成績
1位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 13h50’41”
2位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) +05”
3位 ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) +13”
4位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) +21”
5位 ダビ・デラクルス(スペイン、クイックステップフロアーズ) +22”
6位 ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) +23”
7位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +24”
8位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ)
9位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ) +28”
ポイント賞
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) 32pts
2位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、BMCレーシング) 27pts
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEアブダビ) 24pts
ヤングライダー賞
1位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 13h51’02”
2位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +03”
3位 ソーレンクラーク・アンデルセン(デンマーク、サンウェブ)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ 41h33’30”
2位 アスタナ +04”
3位 BMCレーシング +40”
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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