新城幸也のヨーロッパ初戦であるブエルタ・ア・アンダルシアは初日からトップライダーが火花を散らす展開。アルベルト・コンタドールの攻撃を押さえ込み、小集団スプリントで勝利したアレハンドロ・バルベルデが首位発進した。



アンダルシア地方の内陸部を走るアンダルシア地方の内陸部を走る photo:www.vueltaandalucia.es


ブエルタ・ア・アンダルシア2017第1ステージブエルタ・ア・アンダルシア2017第1ステージ image:www.vueltaandalucia.es2月15日、スペイン南部のアンダルシア地方でブエルタ・ア・アンダルシアが開幕した。温暖な地域を走ることから「ルタ・デル・ソル(太陽のレース)」と広く呼ばれる5日間のステージレースだ。

1級山岳でアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)1級山岳でアタックするアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:www.vueltaandalucia.es2016年までUCIカテゴリー1レースとして開催され、マトリックスパワータグも出場していたが、2017年はカテゴリーHC(超級)に昇格したことで出場チームが大幅にランクアップ。バーレーン・メリダ、キャノンデール・ドラパック、エフデジ、ロット・ソウダル、モビスター、サンウェブ、ロットNLユンボ、チームスカイ、トレック・セガフレードという9つのUCIワールドチーム出場した。

精鋭グループの中からアタックするミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)精鋭グループの中からアタックするミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsportアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)のシーズン初戦であり、また、オーストラリアでシーズンイン済みの新城幸也(バーレーン・メリダ)のヨーロッパ初戦にあたる。

スプリントで先頭に立つアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スプリントで先頭に立つアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji / TDWsport第1ステージはマラガからグラナダに向かう155kmの山岳コース。獲得標高差は2,900mで、1級山岳プエルト・デ・モナチル(6.2km/9%)が残り19km地点に登場する。レースはこの1級山岳でビッグネームがアタックを繰り返す白熱した展開となる。

第1ステージを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)第1ステージを制したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji / TDWsportレース序盤に形成されたトッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)やゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)を含む逃げは残り34km地点で吸収。トレック・セガフレードやモビスターを先頭に勝負の1級山岳に突入すると、登りの前半からコンタドールが動いた。

コンタドールのアタックにはバルベルデが反応し、遅れてワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)やホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が合流する。その中からミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)が仕掛けるも決まらない。

コンタドールの最後の加速も捉えられると、頂上手前でバルベルデが単独で抜け出すことに成功。そのまま独走で下り区間に入ったが、残り10km地点でコンタドールが独力で追いついた。なお、ステージ3位に入ったセバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)のSTRAVAログを見ると、精鋭グループは平均勾配9%の1級山岳を18km/h(VAMは1658m)で登りきっている。

先頭のバルベルデとコンタドールにはプールス、イサギレ、ライヒェンバッハ、ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)が追いつき、6名のままフィニッシュへ。プールスのスプリント開始に呼応するように腰を上げたバルベルデが先着した。

「今日はコンタドールが動いてくると確信していたし、実際に攻撃を仕掛けてきた。彼の強力な攻撃に食らいついて2人で抜け出す形になったものの、息が続かなくて協力できなかった。それに、後ろでは3名を揃えるチームスカイが追撃していたのでタイム差が付かないと思ったんだ。そこからアタックして独走に持ち込んだものの、コンタドールらを振り切れなかった。でもスプリント勝負では勝機があると思っていたよ」と、コンタドールとの今シーズン初の一騎打ちについてバルベルデは語る。

バルベルデは4日前のブエルタ・ア・ムルシアで圧巻の70km独走勝利を飾っており、シーズン初戦2連勝。ボーナスタイムが設定されないためタイム差は0だが、赤いリーダージャージに袖を通した。「とにかく申し分のないシーズンスタートを切れている。総合争いでポールポジションを得たものの、続く2ステージはとても厳しく、金曜日には個人タイムトライアルが待っている。今日先頭集団でフィニッシュした選手たち(6名)全員に総合のチャンスがあると思う」。

移籍後初戦ならびにシーズン初戦から攻撃的な走りを見せたコンタドールは「走った感触やチームの動きにとても満足している。チームは勇敢にも集団牽引を続けたし、最後の1級山岳では誰も動けないような厳しいリズムを刻んだ。でも残念ながらライバルたちを完全に突き放すような力が自分になかった。自分の加速についてきたバルベルデが協調していれば2人の勝負になったと思うけど、彼は前に出なかった。選手それぞれが自分の作戦通りに動いているので仕方ない。明日の登りは今日よりも厳しい。きっとまた違う戦いが待っている」とコメント。まだ2月中旬だが、スパニッシュライダーたちが早くも火花を散らしている。



リーダージャージに袖を通したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)リーダージャージに袖を通したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji / TDWsport


ブエルタ・ア・アンダルシア2017第1ステージ結果
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)        4h02’28”
2位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)
3位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)
4位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)
5位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
7位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)                +05”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)

個人総合成績
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)        4h02’28”
2位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)
3位 セバスティアン・ライヒェンバッハ(スイス、エフデジ)
4位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)
5位 ホン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)
6位 アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)
7位 ティボー・ピノ(フランス、エフデジ)                +05”
8位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
9位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)
10位 ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)

山岳賞
1位 ゲオルク・プライドラー(オーストリア、サンウェブ)        20pts
2位 ダニエル・テュレク(チェコ、イスラエルサイクリングアカデミー)  18pts
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)         10pts

中間スプリント賞
1位 ダニエル・テュレク(チェコ、イスラエルサイクリングアカデミー)   3pts
2位 トッシュ・ヴァンデルサンド(ベルギー、ロット・ソウダル)      2pts
3位 フロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス)          1pt

ポイント賞
1位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          5pts
2位 ディエゴ・ローザ(イタリア、チームスカイ)             15pts
3位 ワウト・プールス(オランダ、チームスカイ)             16pts

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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