昨季ヨーロッパを拠点に活動していた山村明徳が、レッドフッククリテリウム2016で個人、チームともに総合優勝に輝いた「アレアレ・スペシャライズド」と契約したと発表があった。本人から届いたコメントを紹介するとともに、レースの概要を解説していく。



アレアレ・スペシャライズドとの契約を発表した山村明徳アレアレ・スペシャライズドとの契約を発表した山村明徳 (c)Specialized Japan
山村明徳は、2015〜2016年シーズンをオーストリア籍のコンチネンタルチーム「チーム・フォアアールベルク(Team Vorarlberg)」で走っていた。ロードレース主体だったこれまでの活動に加えて、今季はトラックバイクのクリテリウムレース「レッドフッククリテリウム(以下RHC)」が主戦場に加わる。シリーズ化したRHCをシーズン通して走る日本人選手は、山村が初となる。

2016年のレッドフッククリテリウムを席巻したアレアレ・スペシャライズド。左が個人総合優勝したコリン・ストリックランド(アメリカ)、右が今季山村のチームメイトとなるアルド・イノ・イレシッチ(スロベニア)2016年のレッドフッククリテリウムを席巻したアレアレ・スペシャライズド。左が個人総合優勝したコリン・ストリックランド(アメリカ)、右が今季山村のチームメイトとなるアルド・イノ・イレシッチ(スロベニア) (c)Specialized Japanそのチーム「アレアレ・スペシャライズド(Allez-Allez Specialised)」は、レッドフッククリテリウムのために設立されたチームで、昨季RHCの個人総合タイトルを獲得したコリン・ストリックランド(アメリカ)が所属していた。

今季山村のチームメイトとなるのは、昨季ストリックランドと共にRHCを戦ったアルド・イノ・イレシッチ(スロベニア)。2015年にチーム・フォアアールベルクのチームメイトだった彼の誘いを受け、山村は移籍に至ったと言う。昨季RHCではイレシッチも4戦全て3位表彰台を獲得し、チームの総合優勝に貢献している。それでは山村明徳からのコメントを紹介しよう。



―はじめに自己紹介をお願いします。

レーサーをしながら多角的に事業を展開する山村明徳。デザインやタトゥーが趣味レーサーをしながら多角的に事業を展開する山村明徳。デザインやタトゥーが趣味 (c)Specialized Japan山村明徳(やまむらあきのり)、長崎県出身の22歳で1994年生まれです。U23からエリートに上がったところです(小林海選手などと同い年)。今までフランス、オーストリア、チェコ、シンガポール、プーケット、、、などなど引越しを繰り返し今はハンガリーのブダペストに住んでいます。趣味はデザインとタトゥーです。

2014年にExperiment23というチェコのコンチネンタルチームに加入し、そこから2015-2016はTeam Vorarlbergというオーストリアの歴史のある名門コンチネンタルチームに所属していました。選手としてはアップダウンのあるコースが得意でした(が、今はよくわかりません)。いつ死んでもいいようにやりたいこと好きなだけやっています!

僕はブダペストに家があるのですが、週単位で移動してるので拠点は無いと言っていいですね。チームの拠点はカリフォルニアのスペシャライズド本社です。なぜかアメリカに住むのってよく聞かれましたが、引越しにも疲れたのでとりあえず家はしばらくブダペストにしておきます。

―今年の活動内容は?

レッドフッククリテをやります。(競技内容については下記参照)Allez Allez Specilalizedというチームに所属します。

さらにロードレースも走ります。大きなスポンサーを得て新しいロードチームをアメリカ登録でレッドフックチームのチームメイトらと立ち上げています。USクリテリウム、UCIアジアツアーへ参戦する予定です。日本のレースにも是非行きたいので主催者の方々、この記事をご覧になられたら招待お願いします!!

ですので僕はレッドフックもやりますが、今後もロードレースにも変わらず出場します。その機材ですが、レッドフッククリテはSpecializedのALLEZ Sprintというアルミのバイクをピストに改造して剛性をいじったものを使います。ロードレースはALLEZ Sprintをエアロロード仕様にしてクリテリウムに特化したバイクを使用します。機材はウエアから自転車まですべてSpecializedのものを使います。製品のクオリティーが非常にどれも妥協なく高く、すごく強みですね。デザインも洗練されていて、どれもかっこいいですよね。

山村明徳は2017年、トラック用とロード用の2種類のスペシャライズド Allez Sprintを駆る山村明徳は2017年、トラック用とロード用の2種類のスペシャライズド Allez Sprintを駆る (c)Specialized JapanRHC2016でレース毎にデザインをアップデートしたスペシャライズド Allez Sprint Edition。これはRHC London用RHC2016でレース毎にデザインをアップデートしたスペシャライズド Allez Sprint Edition。これはRHC London用 (c)Specialized Japan

―いま考えることは?

今までどちらかというとヨーロッパのUCIコンチネンタルチームに18歳から所属しており、ある意味日本のレース界から一番離れた場所、見えない場所でレースをしてきました。それが一転し、自転車界で、世界で一番ブランド力のあるスペシャライズドのチームに加入しました。スペシャライズドの企業力の高さとその一員として関われることをすごく嬉しく思っています。山村明徳という選手をもっと皆さんに見ていただきたいです!ありがたいことにスペシャライズドジャパンからも手厚くサポートしていただき、いろいろと面白いプロジェクトも計画中です。素晴らしい環境で最高にクールなので、あとはしっかりレース走れるように準備していくのみです。

―かなり変わった道を歩んでいるように思えますが?

今は自分がやりたいことをやってるだけなんですよね。ヨーロッパのコンチネンタルチームで走りたいからコンタクトをとって走り始め、給与だけでは生活のお金が足りないからスポンサーを探し、ビジネスも始め。ビジネスを始めると自転車関係に繋がったり、また自転車関係がビジネスに繋がったり。要はすべて自転車をやりたいから僕の中では必然的に行動して起こしてきたものなんです。

なので自分の中に何か特別なものがあるとは思っていません。選手仲間やその他にもいろんな人からはクレイジーってよく言われますけど、何がクレイジーなのかもわかりません。人生楽しむためにやりたいことを好き勝手やるためにいろいろ構築してきて、やっとそれが形になってきたとも言えますね。数年後は全然違うことをやってるかもですが、それもそれで面白そうですよね。

スペシャライズド Allez Sprint Edition for RHC Bercelonaスペシャライズド Allez Sprint Edition for RHC Bercelona (c)Specialized Japanスペシャライズド Allez Sprint Edition for RHC Milanoスペシャライズド Allez Sprint Edition for RHC Milano (c)Specialized Japan

―もっと若い人に何を伝えたい?

自分の可能性を周りの意見や古典的な(日本らしい)考えに縛られてダメにして欲しくありません。よくあるのがプロになるにはすべてを投げ出す覚悟で、進学や他にビジネスや仕事もせず、自転車だけに集中しなければならないという考え。18からヨーロッパで自転車一本ではないとトッププロには絶対になれない、という考え。アルバイトをする時間があったら練習しなければならない。自分を売り込む前に実力をつけてからでないといけない。そういう考えが、日本の自転車界には、そういう道を通ってきた方々の影響で根付いているように感じます。

僕はインカムを多様化させて、しっかりリスクヘッジを行いながら自転車選手をやっていくことは、ある意味必然だと考えています。プロの選手を目指すのにすべてを失う必要は全くないですよね。スポーツって特にサラリーをしっかりいただける期間も短いですし、自転車ロードレースは野球やサッカーと違って沢山稼いで引退なんていう世界でもありません。日本のロードのプロの方々ってなんかその辺プライドが高くて、いいところしか見せないようなところもあるので。平均的なサラリーマン以下の給与で大半の選手は走っていて、っていうのが現状ですね。

僕自身、選手としての傍らヨーロッパやアジアでデザインの仕事やコンサルティング会社の運営、投資など様々なことをやっています。果たしてそういったすべてを投げ出してやってる方々の中に、24時間のすべてを効率良く使えてすべてがバイクにコネクトしている人が何人いるのでしょうか。日本人がそうでないだけで一歩外の世界に出てみると、トップチームで走ってる選手の多くが何かしらのサイドビジネスや、それ以上の本格的な事業を展開していたりもします。

今季はトラックバイクで走るクリテリウムへのフィットが山村に求められるテーマの1つだ今季はトラックバイクで走るクリテリウムへのフィットが山村に求められるテーマの1つだ (c)Specialized Japan
―もしクラッシュしてレースに出られなくなったら?自転車でプロを目指すのに疲れて、もう自転車すら見たくなくなってしまったら?来年の契約がなくなったら?そもそも暮らしていけるだけの十分なお金を自転車で生み出すことができなかったら?

もっと自転車競技(ロードレース)が夢のある世界ばかりではないということを10代の選手(いや20代にも)にしっかり認識してもらいたいのです。それを十分理解した上で選手を目指すのなら、以上の点を踏まえて欲しいです。情熱ではどうにもならないところってやっぱりあると思っていますし、あなたより才能もあってさらに相当な努力を楽しみながら出来てる選手って相当な数いるので。選手が選手以外のことをやってはいけないなんていう無責任な言葉は聞かないことをお勧めします。学業や仕事を持ったりしながらやってる選手がトッププロになれないなんて思いません。勉強もしたいけどヨーロッパで走ってみたいなら現地の大学に行けばいいですし。

親の資金で生活や競技ができる人はそれもその人が持ってる環境なので全然使っていいと思いますが、援助がなくなったときが大変で、今まで通りの活動が困難になるかもなので、自分の力でなんとかできるように若いうちから考えていきましょう。また言葉ができないなら話さざるをえない環境に行くなり作るなりできますし、言葉の壁なんてもはや言い訳ですね。Google翻訳も最近は精度が高いですし。

やり方次第なんですよね、結局は。終わった後のことを考えて競技生活を送るのはとても大切で、終わった後のことはやり切ってから考えろ、では人生においてとてもリスキーだと思います。豊かな生活を誰でも(大半の人は)送りたいと思っているはずです。自分がやりたいことをやるっていうのは難しいようでとてもシンプルなんですよ。

そして自転車ばっかりにならずにいろんなことに目を向けて、人とのコミュニケーションやコネクションを大事にしたらいいと思います。そしてある意味それは、自転車を通じて構築出来るものでもあるので、うまくリンクさせてみるといいかと思います。

自転車のアドバイスはいろんな人がやってると思うので、22歳の僕は違う目線からアドバイスというか自分の考えを書かせていただきました。

Pro Cyclist / CEO: 5 Guns Consultant
AKINORI YAMAMURA - 山村 明徳

Facebook www.facebook.com/akinori.yamamura.fan
Website https://akinoriyamamura.net/



レッドフッククリテリウムとは

2008年に行われたブルックリンのローカルナイトレースに端を発し、「レッドフッククリテリウム」と称されたこのレースは、今年9年目を迎える。公道を封鎖して行われる短距離の周回レース=クリテリウム形式で、年々その熱気が高まっており、開催地は2010年にミラノ、2013年にバルセロナ、2015年にロンドンを加え、2017年現在は1年で4都市を転戦するシリーズ戦となっている。



レギュレーションも整備が進んでおり、年々変化している。出走可能なメンバーは、1チーム最大6名。シリーズ総合リーダーとなった選手はツール・ド・フランス等と同様に、リーダージャージを着用して次戦を走り、全戦終了後にポイント最上位の選手が年間総合優勝を飾る。

RHCにはトラック競技用の固定ギアの自転車が用いられる。ストリートにルーツを持つレースで、競輪のNJS規格ほどの厳密さは求められないものの、機材よりも選手の実力が結果に反映されるよう規定されている。タイヤはチューブラーで、ディスク、バトン、エアロスポーク等のホイールは禁止、バーテープを巻いたドロップハンドルを使用、ブレーキの着用は認められない等々。RHCは迫力ある車載カメラの映像も見られるが、ハンドルバーやサドル後部に装着されたもので、ヘルメットや胸部へのマウントは不可としている。

先日発表された2017年の新ルールによると、男子レースは5ヒートの予選と、スーパーポールセッション、ラストチャンスレースを経て決勝が行われる。決勝に至る各レースの選抜ルールは下記の通りだ。

レッドフッククリテリウム2017 レースフォーマットレッドフッククリテリウム2017 レースフォーマット (c)RED HOOK CRIT, LLC
予選:総数300名を60名ずつに分けて走る5ヒート制。各ヒートから上位3名が「スーパーポールポジション」と呼ばれる決勝最前列から8列目までを確保し、「スーパーポールセッション」に進む。続いて各ヒート4〜18位の選手が、各ヒートの順位に応じて前からグリッドを配される。

スーパーポールセッション:予選各ヒート上位3名、合計15名での決勝ポールポジション争い。コース1周の個人タイムトライアル形式で、当レース1位の選手が決勝単独最前列とシーズン総合3ポイントを獲得、2〜15位の選手がその後ろに2名ずつ並び、7列を形成する。

ラストチャンスレース:いわゆる敗者復活戦。予選敗退した各ヒート19〜30位の選手がこのレースを走り、上位10名が決勝出場権を得る。1位入賞者はスーパーポールポジションの最後列である16番グリッドからスタートする事が可能となる。2〜10位の選手は決勝グリッド最後列に並ぶ。

こうして選抜された総勢100名の選手によって、RHCの決勝が行われる。山村が師とも仰ぐイレシッチの下で、レースをどう走り、どう成長していくか、要注目だ。

photo: Specialized Japan
comment: Akinori Yamamura
text: Hideaki Takagi, Yuichiro Hosoda
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