超級山岳オービスク峠にフィニッシュしたブエルタ・ア・エスパーニャ第14ステージ。自身初のグランツール勝利をつかんだロバート・ヘーシンク、総合4位まで浮上したサイモン・イェーツ、マイヨロホを堅守するナイロ・キンタナらのコメントを紹介します。



逃げ切り勝利を収めたロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)

ステージ優勝を挙げたロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ優勝を挙げたロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) (c)www.lavuelta.comとても嬉しいよ。第10ステージのコバドンガではキンタナにやられてしまってステージ優勝に届かなかった。もう絶対に次のチャンスをモノにしたかったし、それが今日だった。とても美しい勝利だった。

ずっと戦い続けたし、全力だった。足はシッティングできないほどに攣っていたけれど、やりきった。何年もの間競技を続けているが初めてのグランツアーのステージ優勝だ。ここまで不調が続いていたこともあって、良いタイミングでの勝利だった。今回の勝利でツール・ド・スイスでの落車負傷からいよいよ完璧に復調したと言えるよ。

ステージ3位のイゴール・シリン(ロシア、カチューシャ)

クイーンステージでのステージ3位はそこまで悪いものじゃない。2位に入れると思ったいたけれど、残り30mでエリッソンドに抜かれてしまったことが残念でならない。ヘーシンクは間違いなく最強だったし、そのことには疑問すら感じないよ。終盤には他の5名と共に抜け出したけれど、その段階ではダニエル・モレーノとルーベン・フェルナンデスを追いつかせないように考えていた。けれどヘーシンクのことは頭に無かったんだ。彼が追走グループから戻ってこなければ僕が勝てたように思う。

オービスク峠でアタックを仕掛けるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)オービスク峠でアタックを仕掛けるナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji マイヨロホを守ったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

フルームを脱落させようとチームとして全力を尽くした。けれど最終盤に全力アタックをしたのにもかかわらず気が付いたら彼は戻ってきていていたし、今日彼を振り切るのは無理だった。

めちゃくちゃに厳しい1日だったけれど、チームとしてはかなり良く動くことができたと思う。何かあっても即対応できるような展開に持ち込めていたし、終盤のモレーノの働きは素晴らしかった。フルームを突き放すことはできなかったものの、チームのレベルにはとても満足しているんだ。

今シーズン、スケジュールや好調・不調の波などフルームと僕は同じリズムで過ごしていると思う。それと今の段階で僕の脚にはかなり疲労が溜まってきている。ブエルタ最終週にクリスよりも好調をキープできるように願っているよ。バルベルデが遅れたことは至って普通のこと。彼は今回で今シーズン3つ目のグランツアーだし、ブエルタでも積極的に働いてきてくれた。彼はこの先すぐに回復して、モビスターの重要な役割を果たしてくれるはずだ。

総合ジャンプアップを果たしたサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)総合ジャンプアップを果たしたサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ) (c)www.lavuelta.com大きな逃げグループに対して、チームスカイがメイン集団を引く大きな逃げグループに対して、チームスカイがメイン集団を引く photo:TDWsport/Kei Tsuji 総合6位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)総合6位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) (c)www.lavuelta.comチームプレイで総合4位に浮上したサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

完璧に作戦を遂行できた。チーム全体としてうまく立ち回ることができたし、結果的にも素晴らしかった。オービスクでは逃げに入っていた選手たちを追い抜いていったけれど、皆疲れきっているように見えた。

総合2位、5位となったチームスカイのダリオダヴィデ・チオーニ監督

逃げグループにはロペスガルシアが入ったが、他のチームと比べて喜ぶべき状況ではなかった。我々はタイム差を詰めにかかったが、すぐに吸収できるような展開ではないことは明らか。リーダーチームのように引かざるをえない状態だったが、タイム差をコントロール下に置きたかったんだ。メンバーはよく仕事をしてくれたと思う。

それからは想像通り他チームも追走に協力してくれた。特にバルベルデが遅れ、イェーツが先行したことも大きかった部分。チャベスとイェーツは総合タイムを稼ぎ出したけれど、フルームは彼らから1分以上もリードを得ている状態だ。今は焦る必要は無いし、状況に応じて他チームがまた手を貸してくれるはずだ。

総合6位のアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

チャベスがアタックした時、僕らのペースはそれはそれは遅かった。今日のような展開は僕の得意部門ではなかったし、今日はスローペースになる瞬間がとても多かったんだ。チャベスが逃げた時はあまりにも遅く、反応するのが遅れてしまった。自分は調子が良くてアタックしたけれど、登りのリズムを変えただけにすぎなかった。一定の速いペースでライバルを振り落とそうとしたけれど、結局はフルームとキンタナに水を開けられてしまった。

攻撃を仕掛けたサミュエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)

ティージェイ(ヴァンガーデレン)が乗った逃げのペースが速く、序盤はかなりキツかった。終盤にはベン(ヘルマンス)がアタックして、それに追従するように僕も加速した。ベンが1kmを引いてくれて、その後にティージェイと合流でき、チーム戦略的にはとてもうまくいったように思う。

強豪勢が動く前に先行して、彼らのペースが落ち着いた頃に合流してゴールを目指す作戦だったけれど、結果的にメイン集団はお見合いになり、コンタドールやスカルポーニ、デラクルスらが遅れていた。僕は何で誰もペースを上げないんだろうと思っていたけれど、結果的にライバルが脱落していったので良かった。フルームとキンタナからは6秒遅れたけれど、総合で10位から7位にまでジャンプアップできたので満足しているよ。BMCレーシングは今大会で初めて総合でトップ10入りできた。

大きく遅れた総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)大きく遅れた総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:TDWsport/Kei Tsuji 遅れたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

今日遅れたことに対しては驚いていない。ものすごくタフな1日だったので、チャンスをものにできるか、それとも完全に遅れてしまうかのどちらかだと考えていたんだ。登りでは調子が良くなかったし、ペースを維持できなかったので自分のペースで走ろうと考えた。今大切なことは、これまでモビスターがやってきたように、ナイロを安全にマドリードまで送り届けることだ。


text:So.Isobe