サイレンス・ロット離脱を発表したカデル・エヴァンス(オーストラリア)の移籍先が早くも明らかにされた。エヴァンスと契約を結んだのは、UCIプロコンチネンタル登録のアメリカチーム、BMCレーシングチーム。契約は3年間。チームウェブサイトが伝えた。

BMCレーシングチームへの移籍を決めたカデル・エヴァンス(オーストラリア)BMCレーシングチームへの移籍を決めたカデル・エヴァンス(オーストラリア) photo:Cor Vos新世界チャンピオンのサイレンス・ロット離脱発表から一夜明けた11月1日、BMCレーシングチームはプレスリリースを出し、エヴァンスと契約を結んだことを明らかにした。契約は2013年までの3年間。

エヴァンスはプレスリリースの中で「BMCのような成長段階のチームに合流することは自分にとって良いチャンスだ。まだ発展途上にあるチームだが、とても良くオーガナイズされたチームだと思う」と、新チームの感想を述べている。

BMCレーシングチームBMCレーシングチーム (c)BMC Racing teamBMCレーシングチームは2007年に設立された若いチームで、メインスポンサーのBMCはスイスのバイクブランド。スイスの大富豪アンディ・リース氏がチームのパトロンを務め、元ASO(ツール・ド・フランス主催者)役員で元フォナック監督のジョン・ルランゲ氏がチームの采配をとっている。

2009年までは北米を中心に活動し、ワイルドカードでパリ〜ルーベとドーフィネ・リベレに出場。グランツール出場を果たすべく、2010年シーズンに向けてチームは大型補強を行なっていた。



まずチームは元世界チャンピオンのアレッサンドロ・バッラン(イタリア)をランプレから獲得。立て続けに全米チャンピオンのジョージ・ヒンカピー(アメリカ)、マークス・ブルグハート(ドイツ)、カルステン・クローン(オランダ)、スティーブ・モラビート(スイス)らを次々とプロツアーチームから引き抜いた。エヴァンスの加入により新旧世界チャンピオン、そして全米チャンピオンがチームに揃うことになった。

BMCレーシングチームの監督ジョン・ルランゲ氏BMCレーシングチームの監督ジョン・ルランゲ氏 (c)MakotoAYANOチームの共同オーナーの一人ジム・オショヴィッツ氏は「カデルはグランツールでの豊富な経験をチームにもたらしてくれる。世界のトップチームと対等に闘う力がチームにはある」と、来るシーズンに向けて自信をのぞかせる。

今年までエヴァンスが所属していたサイレンス・ロットと比較すると、チームカテゴリーはプロツアーからプロコンチネンタルにダウン。ツール・ド・フランスを始めとするビッグレースへの出場が確約された状況ではない。

しかしエヴァンスは「BMCグループと共にツール・ド・フランスを目指して活動することを楽しみにしている。もちろんツールでは、過去2度経験している総合2位を上回る結果を狙いたい」と、ツール出場に疑問を抱いていない様子。実際エヴァンス、バッラン、ヒンカピー、ブルグハート、クローン、これだけのタレントが揃ったチームを、グランツール主催者は見逃さないだろう。

チームコロンビア・HTC、ガーミン・スリップストリーム、レディオシャックに続くアメリカ第4のビッグチームとして、BMCレーシングチームは来シーズン注目の存在だ。



text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, BMC Racing, Makoto Ayano

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