2016年のブエルタ・ア・エスパーニャは例年以上に注目度の高い戦いになりそうだ。クリス・フルームをはじめとするトップレーサーに加え、日本から新城幸也と別府史之が出場。コースの特性を含め、注目ポイントをチェックしておこう。



ブエルタ・ア・エスパーニャ2016ブエルタ・ア・エスパーニャ2016 image:Unipublicグランツール最終戦ブエルタ・ア・エスパーニャは今年で71回目の開催を迎える。開幕地はスペイン北西部に位置するガリシア州。21ステージの内訳は平坦ステージが7、山岳ステージが12、個人タイムトライアルが1、チームタイムトライアルが1。カテゴリー山岳は合計51ヶ所設定されている。

第14ステージ ウルダクス・ダンチャリネア〜オービスク 195.6km第14ステージ ウルダクス・ダンチャリネア〜オービスク 195.6km image:Unipublic初日は27.8kmのチームタイムトライアルで開幕し、そこからイベリア半島を時計回りに巡る旅。グランツールの中で最も山岳が厳しいと言われるブエルタだけに、合計10ステージが山頂フィニッシュというクライマー向きのレイアウト。ガリシア州を走る大会3日目と4日目に山頂フィニッシュが早速登場する。第3ステージのフィニッシュ地点の3級山岳ミラドル・デ・エサロ(1.7km/13.4%)は最大勾配25%オーバーの激坂だ。

第20ステージ ベニドルム〜アルト・デ・アイタナ 184km第20ステージ ベニドルム〜アルト・デ・アイタナ 184km image:Unipublic次なる山場は第8ステージから始まるアストゥリアス山岳4連戦。第8ステージの1級山岳ラ・カンペローナ(3.0km/13%/最大24%)に続いて第9ステージの2級山岳アルト・デル・ナランコ(5.1km/6.6%)で山岳バトルが繰り広げられ、第10ステージの超級山岳ラゴス・デ・コバドンガ(12.5km/7.2%)で長い1週目が締めくくられる。

休息日明けの第11ステージの最後には急勾配の1級山岳ペーニャカバルガ(5.9km/9.2%/最大20%)が登場。その後ブエルタはバスク地方を経てピレネー山脈に突入する。フランスに入国する第14ステージが今大会のクイーンステージだ。ピレネーを代表する3つの1級山岳を越え、最後は超級山岳オービスク峠(16.8km/6.9%)にアタックする。続く第15ステージは全長118.5kmながら内容は濃く、今大会最高地点である標高1,800mの1級山岳サジェント・デ・ガジェゴ(15.8km/4%)にフィニッシュが置かれている。

南下して地中海に達したところで大会2回目の休息日。2週目までにすべての山頂フィニッシュを完了した2015年とは異なり、2016年は3週間を通して山頂フィニッシュが散りばめられているのが特徴。第17ステージの1級山岳マス・デラ・コスタ(3.8km/12%)で再度山岳バトルが繰り広げられる。

第19ステージは今大会唯一の個人タイムトライアルで、高低差200mほどの全長37kmコースが設定されている。そして最終日前日の第20ステージでマイヨロホ争いは決着。標高1,510mの超級山岳アルト・デ・アイタナ(22km/5.7%)が3週間走り続けた選手たちの脚を試す。最終日は恒例のマドリード凱旋ステージだ。



ツールに続いて出場するクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)ツールに続いて出場するクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:TDWsport/Kei Tsujiブエルタに出場するのは22チーム。内訳は自動的に出場権を得る18のUCIワールドチームと、主催者のワイルドカード枠で出場するボーラ・アルゴン18、カハルーラル、コフィディス、ディレクトエネルジーのUCIプロコンチネンタル4チーム。

ツールのリタイアから復調したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)ツールのリタイアから復調したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:Tim de Waele近年ブエルタにはトップオールラウンダーが集まりがち。2016年も例外ではなく、ツール覇者フルームを筆頭に、グランツールの総合表彰台常連がずらりと並ぶ。フルームは2011年と2014年に総合2位を2回経験。仮にフルームが総合優勝に輝けば、イギリス人選手初の総合優勝、そして1978年のベルナール・イノー以来果たされていないツール&ブエルタ同年制覇となる。コンディションによってはミケル・ランダ(スペイン)にエースの座を託すことも考えられる。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター) photo:Kei Tsujiツールを途中リタイアしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)はモチベーション高くブエルタに挑むはず。前哨戦ブエルタ・ア・ブルゴスで総合優勝し、調子の良さを示している。コンタドールは出場したすべてのブエルタ(2008年、2012年、2014年)で総合優勝を飾っており、その流れを継続すれば、優勝回数でロベルト・エラスが持つ最多記録4勝に並ぶ。

エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ)エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:Kei Tsujiモビスターからは再びナイロ・キンタナ(コロンビア)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)の2人が揃って出場。ジロで総合優勝、ツールで2度総合2位を経験しているキンタナはまだブエルタの総合表彰台に上ったことがない(2015年総合4位)。山がちなコースレイアウトはキンタナに味方するとみられている。バルベルデはジロとツールに続く今シーズン3つ目のグランツールだ。

キンタナの他にもエステバン・チャベス(オリカ・バイクエクスチェンジ)やミゲルアンヘル・ロペスモレーノ(アスタナ)といったコロンビアンクライマーが総合争いに絡んでくるはず。ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)やティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)、ルイス・マインティーズ(南アフリカ、ランプレ・メリダ)、ワレン・バーギル(フランス、ジャイアント・アルペシン)もマイヨロホ候補に名前が挙がる。

そして日本からは新城幸也(ランプレ・メリダ)と別府史之(トレック・セガフレード)が出場する。新城は2年連続のブエルタ出場で、2015年は総合65位で完走。別府は初めてのスパニッシュグランツール出場となる。

8月20日の第1ステージを前に、8月18日には開幕地オウレンセでチームプレゼンテーションが開催される。シクロワイアードでは現地から情報をお届けする予定です。

新城幸也(ランプレ・メリダ)新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:TDWsport/Kei Tsuji別府史之(トレック・セガフレード)別府史之(トレック・セガフレード) photo:Bettini



ブエルタ・ア・エスパーニャ2016ステージリスト
8月20日(土)第1ステージ バルネアリオ〜カストレロ・デ・ミーニョ 27.8km(チームTT)
8月21日(日)第2ステージ オウレンセ〜バヨナ 160.8km
8月22日(月)第3ステージ マリン〜ドゥンブリア/ミラドル・デ・エサロ 176.4km(山頂)
8月23日(火)第4ステージ ベタンソス〜サンアンドレス・デ・テイシド 163.5km(山頂)
8月24日(水)第5ステージ ビベイロ〜ルーゴ 171.3km
8月25日(木)第6ステージ モンフォルテ・デ・レモス〜ルイントラ/リベラサクラ 163.2km
8月26日(金)第7ステージ マセダ〜プエブラ・デ・サナブリア 158.5km
8月27日(土)第8ステージ ビジャルパンド〜ラ・カンペローナ/バジェ・デ・サベロ 181.5km(山頂)
8月28日(日)第9ステージ システィエルナ〜オビエド/アルト・デル・ナランコ 164.5km(山頂)
8月29日(月)第10ステージ ルゴネス〜ラゴス・デ・コバドンガ 188.7km(山頂)
8月30日(火)休息日
8月31日(水)第11ステージ コルンガ/ムセーオフラシコ〜ペーニャカバルガ 168.6km(山頂)
9月1日(木)第12ステージ ロス・コラレス・デ・ブエルナ〜ビルバオ 193.2km
9月2日(金)第13ステージ ビルバオ〜ウルダクス・ダンチャリネア 213.4km
9月3日(土)第14ステージ ウルダクス・ダンチャリネア〜オービスク 196km(山頂)
9月4日(日)第15ステージ サビニャニゴ〜サジェント・デ・ガジェゴ 118.5km(山頂)
9月5日(月)第16ステージ アルカニス〜ペニスコラ 156.4km
9月6日(火)休息日
9月7日(水)第17ステージ カステリョン〜ルセーナ/カミンス・デル・ペニャゴロサ 177.5km(山頂)
9月8日(木)第18ステージ レケナ〜ガンディア 200.6km
9月9日(金)第19ステージ サビア〜カルプ 37km(個人TT)
9月10日(土)第20ステージ ベニドルム〜アルト・デ・アイタナ 193.2km(山頂)
9月11日(日)第21ステージ ラス・ロサス〜マドリード 104.1km

text:Kei Tsuji