ブエルタ・ア・ブルゴス第4ステージは石畳の登坂スプリントに持ち込まれ、ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)が勝利。NIPPOヴィーニファンティーニの小林海はエスケープに成功し、自身の存在を強くアピールした。
逃げに乗った小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) (c)CorVos
晴れ渡るブルゴス地方を走るプロトン (c)NIPPOヴィーニファンティーニ
集団内で山岳を超える小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) (c)NIPPOヴィーニファンティーニ
スプリントに向けてカチューシャを中心にペースが上がる (c)www.vueltaburgos.comスペインはカスティーリャ・イ・レオン州、ブルゴス県を舞台に開催中のブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.HC)は全5日の日程中4日目。アランダ・デ・ドゥエロからレルマへと至るコースは145kmと短いが、スタートからゴールまで耐えず短いアップダウンが続く。
この日3級山岳が2か所用意されたコースを目掛けて飛び出したのは、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)やアメッツ・チュルーカ(スペイン、オリカ・バイクエクスチェンジ)ら3名。ここにNIPPOヴィーニファンティーニの研修生デビューを飾った小林海がブリッジを仕掛けて合流。5名となった逃げグループは最大3分強のリードを得て逃げ続けた。
山岳ポイントを先頭通過したヤンセファンレンズバーグがこの日終了時点での山岳賞を決め、終盤にルイス・マス(スペイン、カハルーラル)と共に抜け出したことで逃げは崩壊し、やがて集団に吸収される。しかし小林は山岳ポイントと2つのスプリントポイントで2位通過し、世界最高峰クラスのレースを舞台に自身の存在を十分にアピールした。
逃げを飲み込んだメイン集団は残り10km。横風吹き付ける平坦区間に差し掛かると、カチューシャが風を利用した分断作戦に打って出る。一時的に20名ほどが抜け出す形となったものの、ゴールまで1kmを残して再び合流。しかし集団が引き伸ばされたことで各チームが隊列を組めないまま、ゴールまで700m続く石畳の登坂に突入した。
その中で絶好のポジションに付けたのは「今日のステージを狙っていた」と言うネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)。持ち前の爆発力で先頭に立つと、そのままリードを保ってフィニッシュ。1年10か月ぶりとなる、2014年のジャパンカップ以来のUCIレース優勝を飾った。総合首位はジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)に移動した。
登りスプリントで勝利したネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) (c)CorVos
山本元喜は126位、逃げた小林海は141位でそれぞれステージを終了。以下に小林他、NIPPOヴィーニファンティーニのコメントを紹介する。(コメントはチームのプレスリリースより抜粋)
小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)
昨日も逃げにトライしたが、まったく無理だった。今まで(アマチュアレース)は雑に脚を使えば逃げに乗れたけど、ここではそれができない。そのため、今日は狙いを定めて、一発でいきたいと思っていた。3選手が先行したタイミングでルームポットの選手がブリッジをかけようとして、集団の動きが一瞬止まったので、その様子を見て飛び出し、2人でブリッジをかけた。前も踏んでいたなか、なんとか追いつけたものの、集団が常に20秒差くらいで追ってきており、完全に逃げが決まるまではかなりキツかった。しかし、このレベルのレースで逃げに乗れ、他のプロ選手たちと普通にローテーションを回すことができたことは、かなり良かったと思っている。まだまだ力が足りないというのは分かっているけど、自信になった。
ステファノ・ガルゼッリ監督と話す小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ) (c)NIPPOヴィーニファンティーニ
「まだまだ力が足りないというのはわかっているけど、自信になった」 (c)NIPPOヴィーニファンティーニ
初めて経験するプロのレースは、とにかく勝負がかかったときのペースが速いという印象。周りの元プロ選手から、プロのレースがどんなものかと話は聞いていたが、走ってみないとわからないことが多く、走り方が全然違うと感じている。たとえば、アマチュアのレースはいつまでもアタックが続くということがあるけど、ここでは逃げができたら、強いチームがコントロールして一度ペースは落ち着き、最後に勝負がかかるとえげつないくらいにスピードが上がる。本当にプロのレースは速くて、選手たちはみんな強い!
やるからには100%真剣にやりたいと思って始めた自転車競技。プロの世界を知れば知るほど、プロになりたいという気持ちが強くなり、めざすべきところが、ぼんやりとしていたのが、はっきりとしてくる。最初はスペインのアマチュアのレベルでも絶望的に感じていたが、一つ一つステップアップを重ねたことで、アマチュアではトップクラスになれた。来年のことはまだわからない状態で、周りには強くてもプロになれない選手が大勢いるため、プロになることがどれだけ大変かよくわかっている。そのなかでチャンスをもらえたことはありがたいと思う。これからも目の前の課題を一つずつクリアしていきたい。今は調子がいいので、調子が良いときに、いい結果を出して、次につなげていきたい。
大門宏監督のコメント
現場の指揮は2人のイタリア人監督に任せていたが、地元でも注目されている小林の活躍ぶりはチームにとっても大きな収穫であり、山本を始めチームメートも良い刺激を受けたことかと思う。今回は彼にとって、レベルが段違いに高いレースだったけれど、“ホーム”の利点を少しでも活かして、伸び伸びと走らせたいと思っていた。会場にいるとアマチュアながら彼の評判は良く、地元のレースファンからも関心を持って愛されている選手であることが良く伝わってきた。
昨日は集団の中で待機しながらも後半の過激なスピードアップに序盤で引き千切られた。一方、今日はスタート後からのアタック合戦に競り勝ち、逃げグループに乗ることに成功。ローテーションに正々堂々加わりながらも後半のアタックで堪らず引き千切られた。スペイン人たちやイタリア人のトップアマチュア選手でも、こういう位置でこういった厳しい経験を味わえる位置に飛び込める奴は滅多にはいないんじゃないかと思った。しかも彼にとってワールドツアーチームがひしめくプロの初レースだ…。
8月はこれからU23ナショナルチームの日本代表選手として転戦する予定だが、招集が正式に決まったら、浅田監督とも連絡を取り合いながら見守っていきたい。今のところ、次回のチーム合流は9月上旬に参戦するベルギー、フランスでの2連戦。中旬から下旬にかけては、イタリアで5戦以上はエントリーさせていくことを考えている。
ブエルタ・ア・ブルゴス2016第4ステージ結果
1位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) 3h15’42”
2位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック)
4位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
5位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
7位 ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)
8位 エドワード・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +03”
9位 ジーコ・ワイテンツ(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
10位 カロル・ドマギャルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)
個人総合成績
ポイント賞
1位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
山岳賞
1位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 マトベイ・マムキン(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
1位 アスタナ
text:So.Isobe




この日3級山岳が2か所用意されたコースを目掛けて飛び出したのは、レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)やアメッツ・チュルーカ(スペイン、オリカ・バイクエクスチェンジ)ら3名。ここにNIPPOヴィーニファンティーニの研修生デビューを飾った小林海がブリッジを仕掛けて合流。5名となった逃げグループは最大3分強のリードを得て逃げ続けた。
山岳ポイントを先頭通過したヤンセファンレンズバーグがこの日終了時点での山岳賞を決め、終盤にルイス・マス(スペイン、カハルーラル)と共に抜け出したことで逃げは崩壊し、やがて集団に吸収される。しかし小林は山岳ポイントと2つのスプリントポイントで2位通過し、世界最高峰クラスのレースを舞台に自身の存在を十分にアピールした。
逃げを飲み込んだメイン集団は残り10km。横風吹き付ける平坦区間に差し掛かると、カチューシャが風を利用した分断作戦に打って出る。一時的に20名ほどが抜け出す形となったものの、ゴールまで1kmを残して再び合流。しかし集団が引き伸ばされたことで各チームが隊列を組めないまま、ゴールまで700m続く石畳の登坂に突入した。
その中で絶好のポジションに付けたのは「今日のステージを狙っていた」と言うネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)。持ち前の爆発力で先頭に立つと、そのままリードを保ってフィニッシュ。1年10か月ぶりとなる、2014年のジャパンカップ以来のUCIレース優勝を飾った。総合首位はジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)に移動した。

山本元喜は126位、逃げた小林海は141位でそれぞれステージを終了。以下に小林他、NIPPOヴィーニファンティーニのコメントを紹介する。(コメントはチームのプレスリリースより抜粋)
小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)
昨日も逃げにトライしたが、まったく無理だった。今まで(アマチュアレース)は雑に脚を使えば逃げに乗れたけど、ここではそれができない。そのため、今日は狙いを定めて、一発でいきたいと思っていた。3選手が先行したタイミングでルームポットの選手がブリッジをかけようとして、集団の動きが一瞬止まったので、その様子を見て飛び出し、2人でブリッジをかけた。前も踏んでいたなか、なんとか追いつけたものの、集団が常に20秒差くらいで追ってきており、完全に逃げが決まるまではかなりキツかった。しかし、このレベルのレースで逃げに乗れ、他のプロ選手たちと普通にローテーションを回すことができたことは、かなり良かったと思っている。まだまだ力が足りないというのは分かっているけど、自信になった。


初めて経験するプロのレースは、とにかく勝負がかかったときのペースが速いという印象。周りの元プロ選手から、プロのレースがどんなものかと話は聞いていたが、走ってみないとわからないことが多く、走り方が全然違うと感じている。たとえば、アマチュアのレースはいつまでもアタックが続くということがあるけど、ここでは逃げができたら、強いチームがコントロールして一度ペースは落ち着き、最後に勝負がかかるとえげつないくらいにスピードが上がる。本当にプロのレースは速くて、選手たちはみんな強い!
やるからには100%真剣にやりたいと思って始めた自転車競技。プロの世界を知れば知るほど、プロになりたいという気持ちが強くなり、めざすべきところが、ぼんやりとしていたのが、はっきりとしてくる。最初はスペインのアマチュアのレベルでも絶望的に感じていたが、一つ一つステップアップを重ねたことで、アマチュアではトップクラスになれた。来年のことはまだわからない状態で、周りには強くてもプロになれない選手が大勢いるため、プロになることがどれだけ大変かよくわかっている。そのなかでチャンスをもらえたことはありがたいと思う。これからも目の前の課題を一つずつクリアしていきたい。今は調子がいいので、調子が良いときに、いい結果を出して、次につなげていきたい。
大門宏監督のコメント
現場の指揮は2人のイタリア人監督に任せていたが、地元でも注目されている小林の活躍ぶりはチームにとっても大きな収穫であり、山本を始めチームメートも良い刺激を受けたことかと思う。今回は彼にとって、レベルが段違いに高いレースだったけれど、“ホーム”の利点を少しでも活かして、伸び伸びと走らせたいと思っていた。会場にいるとアマチュアながら彼の評判は良く、地元のレースファンからも関心を持って愛されている選手であることが良く伝わってきた。
昨日は集団の中で待機しながらも後半の過激なスピードアップに序盤で引き千切られた。一方、今日はスタート後からのアタック合戦に競り勝ち、逃げグループに乗ることに成功。ローテーションに正々堂々加わりながらも後半のアタックで堪らず引き千切られた。スペイン人たちやイタリア人のトップアマチュア選手でも、こういう位置でこういった厳しい経験を味わえる位置に飛び込める奴は滅多にはいないんじゃないかと思った。しかも彼にとってワールドツアーチームがひしめくプロの初レースだ…。
8月はこれからU23ナショナルチームの日本代表選手として転戦する予定だが、招集が正式に決まったら、浅田監督とも連絡を取り合いながら見守っていきたい。今のところ、次回のチーム合流は9月上旬に参戦するベルギー、フランスでの2連戦。中旬から下旬にかけては、イタリアで5戦以上はエントリーさせていくことを考えている。
ブエルタ・ア・ブルゴス2016第4ステージ結果
1位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ) 3h15’42”
2位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
3位 パトリック・ベヴィン(ニュージーランド、キャノンデール・ドラパック)
4位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
5位 アレクセイ・ツァテヴィッチ(ロシア、カチューシャ)
6位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
7位 ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)
8位 エドワード・グロース(ルーマニア、NIPPOヴィーニファンティーニ) +03”
9位 ジーコ・ワイテンツ(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
10位 カロル・ドマギャルスキー(ポーランド、ワンプロサイクリング)
個人総合成績
1位 ジャンニ・メールスマン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
2位 ディミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)
3位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
7位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
8位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
9位 ダヴィド・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
104位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)
138位 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)
2位 ディミトリ・グルージェフ(カザフスタン、アスタナ)
3位 ダリオ・カタルド(イタリア、アスタナ)
4位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
7位 ゴルカ・イサギーレ(スペイン、モビスター)
8位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
9位 ダヴィド・デラクルス(スペイン、エティックス・クイックステップ)
10位 ピーター・セリー(ベルギー、エティックス・クイックステップ)
104位 小林海(NIPPOヴィーニファンティーニ)
138位 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)
11h36’46”
+03”
+8’26”
+15’16”
+03”
+8’26”
+15’16”
ポイント賞
1位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
山岳賞
1位 レイナルト・ヤンセファンレンズバーグ(南アフリカ、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 マトベイ・マムキン(ロシア、カチューシャ)
チーム総合成績
1位 アスタナ
text:So.Isobe
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