「チームメイトのおかげで勝てた」と語るのは、逃げ切りの末に初勝利を掴んだマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)。ツール第10ステージで優勝争いを繰り広げた選手たちのコメントをお届けします。



ステージ初優勝を飾ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)

サガンとボアッソンハーゲンを振り切ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)が勝利サガンとボアッソンハーゲンを振り切ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)が勝利 photo:Kei Tsuji今日はもともと逃げに乗る予定ではなかった。集団スプリントが予想されていたし、最後の登り(3級山岳)で生き残ったスプリンターになると思っていた。エンヴァリラ峠をサガンとニーバリと一緒にクリアした時は、この先どういったレースになるのかさっぱり分からなかった。後ろからダーブリッジとインピーが合流してから、ステージ優勝の可能性を感じ始めたんだ。

勝利を喜ぶマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)勝利を喜ぶマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:Kei Tsujiダーブリッジとインピーはそこから全力でアシストしてくれた。ダーブリッジは横風区間で逃げを分裂させてくれたし、インピーはアタックでライバルたちを疲弊させ、スプリントに向けてリードアウトしてくれた。彼らの働きがなかったら今日の勝利はなかった。言葉では言い表せないほど彼らには感謝している。アンビリーバブルな勝利。膝から崩れ落ちそうだ。

これまでサガンとは数え切れないほど勝負を繰り広げてきた。今年のツール・ド・スイスでは彼に2敗しているし、今日の最大のライバルはサガンだと思っていた。逃げグループの中で最も強かったのは彼だ。常に逃げグループを引いていたし、彼がいなければ逃げ切っていなかったかもしれない。今日はチームメイトを味方につけた自分が勝つ番だった。

ツールでは過去2年間落車続きで思うような結果を出せていなかった。もしかしたらツールは自分のレースではないのかもしれないと思い始めていた。でも休息日に妻とゆっくり話をして自分を取り戻し、今日こうして夢がかなった。

表彰台に上がるマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)表彰台に上がるマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ) photo:Kei Tsuji

ステージ2位で再びポイント賞首位に立ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

マイヨヴェールを取り戻したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)マイヨヴェールを取り戻したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:Kei Tsuji逃げグループの中に協力的な選手はおらず、ローテーションが回らなかったから残り25kmの横風区間でアタックしたんだ。最後の登りでもアタックを繰り返したけど決まらなかった。

残り3kmからオリカの選手(インピー)の度重なるアタックを自ら潰さなければならなかった。彼を追う仕事をしていたのは自分だけだった。マシューズはスプリントに向けて最高の位置につけていたし、自分はそれまでに力を使いすぎていた。とても良い結果とは言えないけど、マイヨヴェールを取り戻したので、とても悪い結果とも言えない。マシューズのステージ初勝利を嬉しく思う。

ステージ3位のエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

先頭で形成されたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)を含む逃げ先頭で形成されたエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)やマイケル・マシューズ(オーストラリア、オリカ・バイクエクスチェンジ)を含む逃げ photo:Kei Tsujiステージ優勝のチャンスを逃したことが悔やまれる。とても厳しい序盤の山岳(エンヴァリラ峠)をうまくこなし、第1集団で頂上をクリアした。タフなステージだったけど調子は良く、常に脚は回っていて作戦通り逃げに乗ることができた。

でも今日は他の選手たち(マシューズとサガン)のほうが強かった。最後の山岳の下りでアタックしたもののサガンを振り切れず。そこからスプリントに備えたんだ。スプリントに向けて各選手の作戦が複雑に交錯。サガンの番手をとったけど、彼はとにかく強かった。

ステージ5位に入ったサミュエル・ドゥムラン(フランス、AG2Rラモンディアール)

逃げメンバーの豪華さを考えると5位は決して残念な結果ではない。マシューズ、サガン、ボアッソンハーゲン、ファンアフェルマートという強力なメンバーと戦うことができたんだ。しかもレースはハイスピードで進み、ニーバリやコスタという選手も逃げに入っていた。

サガンが横風区間で仕掛けてくると読んで警戒していた。逃げグループが分裂してからさらにペースは上がった。持てる力を全て出したので、これ以上の結果は望めないと思う。世界のトップ選手たちと争うチャンスは頻繁にあるものじゃないので、とにかく楽しもうと自分に言い聞かせた。良い逃げに乗り、勝負に絡んだことに満足している。

山岳賞首位を走るティボー・ピノ(フランス、FDJ)

少し風邪をひいてしまったので今晩診察を受ける予定。でも序盤のエンヴァリラ峠では何回かアタックすることができたし、ラファル・マイカの動きをマークできていた。ずっと集団先頭で動いていたけど、ポイント獲得に繋がる動きを見逃してしまったことが悔やまれる。次の山岳バトルの舞台はモンヴァントゥーだ。

マイヨジョーヌを着続けるクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

揃ってローラー台でアップするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)揃ってローラー台でアップするクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji今日は奇妙な出だしだった。逃げを行かせることに問題はなかったものの、アレハンドロ・バルベルデもアタックしたのでチームスカイとして彼の動きを封じた。

エンヴァリラ峠の下りは霧の影響でよく見えなかった。同じような状況に見舞われた数年前のジロ(ステルヴィオ通過ステージ)でナイロ・キンタナが抜け出したことがあるので、今日は彼から目を離さなかった。

下りが終わってからは平穏にレースは進行。マイヨジョーヌを脅かす動きも無かったし、何も心配事はなかった。ピレネーとアルプスを繋ぐステージは複雑なレースになりがちだけど、チームスカイはリーダーチームとして責任感ある走りを見せてくれた。昨日はぐっすり眠れたし、しっかり休養できた。もう気持ちはモンヴァントゥーとその翌日の個人タイムトライアルに向かっている。

メイン集団でフィニッシュした新城幸也(ランプレ・メリダ)

今日は何もできなかったです。グランツールでは良くある、休養日明けにリズムが崩れる状態だったのかな。標高が高かったのも関係しているだろうけど、あんなに登りで遅れたのは初めて。長い下り区間で復帰できたから良かったです。チームとしては総合を狙うルイス・マインティーズのタイムを失わないように守ることがミッションなので、そのために明日も頑張ります。

text:Kei Tsuji

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