「夢が叶った。自分の走りに集中していたので天候は気にならなかった」と語るのは、ピレネー最終決戦でステージ優勝を遂げたトム・ドゥムラン。その他総合勢や、リタイアしたアルベルト・コンタドールら主要選手のコメントを紹介します。



ステージ優勝を挙げたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)

表彰台に上がるステージ優勝者トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)表彰台に上がるステージ優勝者トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Makoto.AYANO
敢闘賞も手に入れたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)敢闘賞も手に入れたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Makoto.AYANO夢が叶った。ツール・ド・フランスのクイーンステージで優勝したんだ!仮に数日前に「クイーンステージで優勝するのは君だ」なんて言われても、この人はどうかしてるんじゃないかと思ったと思う。

今日はスタート直後から調子が良く、逃げに乗るチャンスがあったから迷わず行った。今は疲れ切って言葉が出てこない。信じられないような1日だった。自分の持ち味がタイムトライアルだけじゃないことを証明できたよ。

山頂フィニッシュだったので雨が降っても問題なかった。ただ苦しみに耐えながら走るモードに入り、自分の走りに集中していたので天候は気にならなかった。ツール1週目は思うような走りができていなかった。でもチームは自分の士気を高めてくれた。ツールで最も厳しいステージの一つで優勝したんだ。自分を誇りに思うし、同時にチームにとっても素晴らしい結果になった。

勝利まで一歩届かなかったルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)

アンドラ・アルカリスを駆け上がるルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)アンドラ・アルカリスを駆け上がるルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)とラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ) photo:Makoto.AYANO厳しい登りと厳しい天候。本当にタフなレースだった。このステージを最初から狙っていたし、逃げに乗ってからはステージ優勝を勝ち取らなければいけないと感じていた。メイン集団から逃げに乗るのは難しくなかったがトップコンディションではなかったのでかなり体調的には難しかった。

やがて体調も戻ってきて、そこからは全力でステージ優勝に集中していた。残り20kmで一度アタックしたものの上手くいかず、その数km後にドゥムランが決定的なアタックを決めてしまった。ツールのステージ2位は決して悪くないが、もう一度優勝を目指して走りたい。

アタックを続けたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

安定感ある走りでマイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)安定感ある走りでマイヨジョーヌを守ったクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
キンタナやイェーツを引き連れて1級山岳ボネギュア峠を登るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)キンタナやイェーツを引き連れて1級山岳ボネギュア峠を登るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji先頭から6分35秒遅れでフィニッシュラインを切るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)先頭から6分35秒遅れでフィニッシュラインを切るクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji厳しい気象条件の中でのレースだったけどチームスカイにとっては良い1日だった。ただでさえ厳しいステージが気象条件によってさらに厳しいものに。朝から酷暑続きだったのに締めくくりは激しい雨と叩きつける氷(雹)。気温は10度まで下がった。今日はエクストリームな暑さからエクストリームな寒さまでを経験した。

コンタドールとバルベルデが序盤に先行したものの、チームは慌てることなく対処した。集団のペースを上げて彼らにプレッシャーを与えることで危険な動きを封じ込めることができた。チームメイトたちのおかげで今もこうしてマイヨジョーヌを着ることができている。

開幕前から「今年のツールはキャリアの中で最大の挑戦になる」と言っていた通りのレースが展開されている。今年は登りでライバルたちを振り切ることができない。過去の数年よりもずっと競技レベルが高いと感じている。今日はナイロ・キンタナが自分の後ろで力を貯めて飛び出すタイミングを伺っているんじゃないかと思ってヒヤヒヤしたよ。結果的に彼はアタックしなかった。おそらく彼もリミットぎりぎりだったのだと思う。今日の彼は接着剤で取り付けたように自分の後輪にくっついていた。

アルベルト・コンタドールのリタイアには驚いた。序盤にアタックしていたし、決して調子が悪いわけではないと思っていた。でも怪我の影響が残っていたのだと思う。彼がレースを去ったことは残念でならない。彼がいればもっとエキサイティングなツールになっていたと思う。大会にとっても残念だけど、すでに彼は次なる目標に向かっていると思う。チームスカイとしては、フィニッシュまで100kmを残した彼の勇敢なアタックを追わなくてもよくなった。心配事がひとつ減ったものの、やはりリタイアは残念だ。

総合2位、ヤングライダー賞首位のアダム・イェーツ(イギリス、オリカ・バイクエクスチェンジ)

最初の山岳でコンタドールがアタックを仕掛けてきて、序盤からハードなレース展開だった。最後の山岳で降ってきた雨は僕にとって良いクールダウンとなったよ。身体が冷えたおかげで力を出しきることができた。雨は本当に良いタイミングで降ってきてくれた。僕らは全員力を出し切っていているので、明日の休養日はレースを続けるためにしっかりとリカバリーに当てたい。

マイヨアポワを獲得したティボー・ピノ(フランス、FDJ)

2日連続の逃げでマイヨアポワを獲得したティボー・ピノ(フランス、FDJ)2日連続の逃げでマイヨアポワを獲得したティボー・ピノ(フランス、FDJ) photo:Kei Tsuji
目標は半分達成されたけど、半分は未完に終わった。今日はステージ優勝を狙っていたので、残念な結果になってしまった。最後のアルカリスの登り口に到着した時点で、今日はステージ優勝の絶好のチャンスだと思った。でも身体が動かなかった。おそらくハンガーノックになっていたのだと思う。

でもマイヨアポワを獲得したので、全てを失ったわけじゃない。引き続きステージ優勝を狙うけど、山岳賞の座を守ることが今の目標。まだツールは終わっていない。

キンタナのアシストを務めたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

超級山岳アンドラ・アルカリスで集団から脱落したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)超級山岳アンドラ・アルカリスで集団から脱落したアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiニーバリにアシストされたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)がマイヨジョーヌから1分遅れでフィニッシュに向かうニーバリにアシストされたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)がマイヨジョーヌから1分遅れでフィニッシュに向かう photo:Kei Tsuji逃げ集団にチームメイトがいたこともあって、アルベルトのアタックに反応して付いてった。でも彼がストップして、僕も後ろに戻ることを選択した。なぜなら僕が逃げに乗ると集団が追いかけてしまうだろうから。最終的にナイロもチームも上手く走りきることができた。あの時点で僕の仕事は集団のペースを上げてふるい落としを行うことだった。ナイロと離れてからはクロイツィゲルと離れないようにゴールまで全力で登った。

フルームが無敵かって?僕から見ればナイロだって無敵だよ。ツールはまだ長く、アタックするにはタイミングを見極める必要がある。それがいつかは誰にも分からない。アルベルトのリタイアはとても残念だ。彼から今朝、発熱に苦しんでいることを聞いていたんだ。彼の回復を願っているよ。

アルのアシストに徹したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

とてもハードなステージで、誰もが疲れ切っていた。昨日よりも良い感触を得ていたので山岳に入ってからファビオ・アルをフルサポートした。結果はまずまず。休息日にしっかりとリカバリーしなければならない。

リタイアしたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)

リタイアを選択したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ)リタイアを選択したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ) photo:bettini
これ以上レースを続行できなくなった。初日に落車してからずっと体調が万全とは言えない状態が続いていて、今朝になって熱が出た。発熱がリタイアの判断につながった。しっかりと医療機関で診察を受けてどこが悪いのかを洗い出し、残るシーズンに向けて回復したい。

スタート前に登りで軽くアップする新城幸也(ランプレ・メリダ)スタート前に登りで軽くアップする新城幸也(ランプレ・メリダ) photo:Kei Tsujiグルペットで完走した新城幸也(ランプレ・メリダ)

最後の登りで冷たい雨に打たれたので、一気に疲れた。 逃げに乗るまでにも至らず、最初の登りで遅れて、下りで集団に復帰。 序盤から中盤までは40度まで気温が上がったのでボトル運びで忙しかったのに、最後の登りはサイクルコンピュータの温度計では9度まで下がっていた。

アンドラに入ってからは、去年のヴェルタで走った登りでコースを知っていたので、その点は心配していなかった。 ルイス・マィンティスが総合9位。 ルイ・コスタがステージ2位と、チームメイトたちがとても良いパフォーマンスをしてくれて、チームとしても現時点でうまく機能している。 明日はしっかりと休んで、2週目に備えます。

選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。

text&photo:Kei.Tsuji