栃木県宇都宮市森林公園でジャパンカップ・サイクルロードレースが開幕。初日のオープン女子は、レース中盤に形成された4名の先頭グループからゴール手前の上りで飛び出した萩原麻由子(サイクルベースあさひ)が勝利。萩原は女子ロードレース界を牽引する新星として期待を集める。

1周目から森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が積極的にリードする1周目から森田正美(チームブリヂストン・アンカー)が積極的にリードする photo:Kei Tsujiオープン男子との時間差スタートで行なわれたオープン女子は、14.1kmの周回コースを3周。男子とは異なり、最終周回も通常の14.1kmコースが使用されるため、ゴール直前に鶴カントリークラブの急な上りが登場する。

昨年圧巻の大会10勝目を飾り、華々しく現役を引退した沖美穂がいないプロトン。レースは序盤から、全日本チャンピオンジャージを着る西加南子(TEAM FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)が動いた。

2周目で早くも先頭は西加南子(TEAM FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)を含む4名に2周目で早くも先頭は西加南子(TEAM FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)を含む4名に photo:Kei Tsuji西のアタックによって集団はスタート直後からペースが上がり、人数を減らした状態で2周目に突入。古賀志林道の上りで、先頭は早くも全日本チャンピオンの西加南子、元アジアチャンピオン&全日本TTチャンピオンの萩原麻由子、MTB全日本チャンピオンの片山梨絵(スペシャライズド)、トライアスリート崎本智子(日本食研)の4名に。この中に、地元出身で昨年大会3位のCHISAKO(宇都宮ブリッツェン)の姿は無かった。

先頭4名の後方では、豊岡英子(パナソニック・レディース)や金子広美(ケッタマシーンズ)が追走を試みたが届かない。最終周回の古賀志林道でのアタックは決まらず、先頭4名のまま最後の鶴カントリーの上りへ。

最終周回の古賀志林道で先行する萩原麻由子(サイクルベースあさひ)、崎本智子(日本食研)、片山梨絵(スペシャライズド)最終周回の古賀志林道で先行する萩原麻由子(サイクルベースあさひ)、崎本智子(日本食研)、片山梨絵(スペシャライズド) photo:Kei Tsuji急勾配のこの上りで飛び出したのは、「とにかく今回は勝ちに徹した。何が何でも焦らずに、無理はしないこと。本当に今回は勝たなければならなかったので、とにかく最後の鶴カントリーを越えるまでは焦らないよう、必死で自分を抑えて走りました」とレース後に振り返った萩原だ。

「鶴では全てを懸けて、集中して、ここなら(全開で頂上まで)行ききれるというところまで待って、全身全霊でアタック。久しぶりに自分の体が痺れるアタックを決めることが出来ました」。上りで飛び出した萩原は、下位に6秒差をつけての独走勝利を飾った。

ライバルを振り切ってゴールに飛び込む萩原麻由子(サイクルベースあさひ)ライバルを振り切ってゴールに飛び込む萩原麻由子(サイクルベースあさひ) photo:Makoto Ayano2006年大会で沖の大会10連覇を阻止し、アジア選手権ロードレースで優勝。一気に頭角を現したが、ここ数年は成績の面で低迷していた。今年は全日本選手権タイムトライアルで優勝。これが3年ぶり2度目のジャパンカップオープンレース勝利だ。

「ホッとした気持ちもあるけど、内容には満足していない。出来ればもっとレースをかき混ぜたかった。でも後ろを振り向かずに行く(アタックする)自信が無かった」。本人は自分のレース運びに納得していない様子。

「海外でもポイントを積極的に稼がないと、ロンドン五輪の日本人出場枠を獲得出来ない。来年に向けてトレーニングを続けたい」。23歳の新星は、今後女子ロードレース界を牽引する旗頭になるだろう。

ジャパンカップ2009オープン女子結果
1位 萩原麻由子(サイクルベースあさひ)1h17'46"
2位 片山梨絵(スペシャライズド)+06"
3位 崎本智子(日本食研)
4位 西加南子(TEAM FOCUS-OUTDOOR PRODUCTS)+15"
5位 豊岡英子(パナソニック・レディース)+1'11"
6位 石井寛子(スーパーKアスリートラボ)+2'25"
7位 青野奈美(SEKIみちのく)
8位 井上玲美(チームコラテック)
9位 金子広美(ケッタマシーンズ)
10位 森田正美(チームブリヂストン・アンカー)+2'38"

萩原麻由子のゴール後優勝コメント



text:Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji, Makoto Ayano

最新ニュース(全ジャンル)