山口県十種ヶ峰WOODPARKにて幕を上げたDOWNHILL SERIES 2016。雨によるコンディションの変化の中、初戦を制したのは、清水一輝(Patrol Mountain FJC)だった。



ロードギャップに設置されたレッドブルアーチから最後のゲレンデエリアに飛び出す志賀孝治。ロードギャップに設置されたレッドブルアーチから最後のゲレンデエリアに飛び出す志賀孝治。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA


温かい声援も十種ヶ峰の特徴のひとつ。温かい声援も十種ヶ峰の特徴のひとつ。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAダウンヒルシリーズを体験する機会となる、XCバイククラスを走る中野泰裕(CLICK八幡)ダウンヒルシリーズを体験する機会となる、XCバイククラスを走る中野泰裕(CLICK八幡) (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWADOWNHILL SERIESも3年目のシーズンを迎えた。初年度から毎年開幕戦を担当してきた山口県十種ヶ峰WOODPARKが、今年も開幕の地となった。今回のコースは2年ぶりに使用するゲレンデの激斜面が鍵。この斜面と、そこに続く手前のシングルトラックからの脱出速度がタイムへ大きく影響するコースレイアウトが用意された。

土曜日は晴れ。朝から参加者達は試走を繰り返し、午後のタイムドセッションに備える。十種ヶ峰会場の特徴のひとつは、家族連れでの来場が多いこと。会場内には、嘉年山麓鉄道と呼ばれる線路が引かれており、本物のSLと全く同じ構造で作られたミニSLに子どもたちが乗って楽しそうに声をあげる姿は、十種ヶ峰ならではの光景でもある。

今年は、もっと家族連れで楽しんで貰いたいというオーガナイザー側の思いとして「ファミリー向け農場ツアー」も開催。土曜日の午前中に家族でソーセージやシャーベット作りを体験し、お父さんは午後からタイムドセッション。参加者だけで見ると年齢層の高くなりがちなMTB競技において、家族全員に楽しんで貰おうという取り組みがいかに好評であったかは、ツアーから帰ってきた子どもたちの笑顔に現れていた。



十種ヶ峰の目玉となるロードギャップはベースエリアからも近く、MCも聞こえる絶好の観戦ポイント。ライダーは井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)。十種ヶ峰の目玉となるロードギャップはベースエリアからも近く、MCも聞こえる絶好の観戦ポイント。ライダーは井手川直樹(AKI FACTORY/STRIDER)。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA
ファーストタイマークラスを制した植月真一郎(マツダトライアスロンクラブMTB部)ファーストタイマークラスを制した植月真一郎(マツダトライアスロンクラブMTB部) (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA地元、十種ヶ峰でどうしても勝ちたかった田丸裕(acciarpone/十種ヶ峰)は転倒してレースを落とした。地元、十種ヶ峰でどうしても勝ちたかった田丸裕(acciarpone/十種ヶ峰)は転倒してレースを落とした。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA




サブイベント、ウッドパークカップでは唯一の8秒台を記録して優勝した井手川直樹、ダウンヒルシリーズ本戦では3位となった。サブイベント、ウッドパークカップでは唯一の8秒台を記録して優勝した井手川直樹、ダウンヒルシリーズ本戦では3位となった。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA怪我からの復調を目指す阿藤寛(Acciarpone bikes)はプロクラス2位と健闘した。怪我からの復調を目指す阿藤寛(Acciarpone bikes)はプロクラス2位と健闘した。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWAタイムドセッションは、清水一輝選手(Patrol Mountain FJC)の2分4秒040を筆頭に、加藤将来選手(AKI FACTORY/STRIDER)、井手川直樹選手(AKI FACTORY/STRIDER)が続く結果となった。

タイムドセッション後は、毎年恒例の「WOODPARK CUP」。スキルパークと呼ばれる100mほどのショートコースを使ったサブイベントだ。小学校低学年クラスを始め、年齢別に分けられたこのレースは、スタートからフィニッシュまでが丸見えということもあって、例年大きな盛り上がりを見せる。ディフェンディングチャンピオンの井手川選手が、昨年を上回る8秒885というタイムを出して優勝すると、今年もコース脇から大歓声が送られた。

WOODPARK CUPの表彰式が終わると、日が暮れるまでの時間を使って行われたのはPROライダーによるファン交流企画。

今回は、初心者・中級者向けを阿藤寛選手(Acciarpone Bikes)が、上級者向けを清水一輝選手が担当するコースウォーク。約40人のライダーが、明日の本戦に向けてPROライダーの解説に聞き入った。



十種ヶ峰のプロクラスを制したのは清水一輝(PATROL FJC MOUNTAIN)。アジアチャンピオンの実力を見せつけた。十種ヶ峰のプロクラスを制したのは清水一輝(PATROL FJC MOUNTAIN)。アジアチャンピオンの実力を見せつけた。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA


昨年の最終戦でエキスパートクラス残留を決めた古城栄翔。今年から中学生となってさらにパワフルな走りを披露するようになった。昨年の最終戦でエキスパートクラス残留を決めた古城栄翔。今年から中学生となってさらにパワフルな走りを披露するようになった。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA故郷である熊本に戻り、今年は海外挑戦を視野に入れ、国内での参戦スタイルは少し変えていくという浦上太郎(Transition Airlines/Cleat)。故郷である熊本に戻り、今年は海外挑戦を視野に入れ、国内での参戦スタイルは少し変えていくという浦上太郎(Transition Airlines/Cleat)。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA実力者が揃い、混戦となったエリートクラスを勝ったのは、レースオーガナイザーでもある志賀考治(VAN-QUISH/FOG/MAKULU)だった。実力者が揃い、混戦となったエリートクラスを勝ったのは、レースオーガナイザーでもある志賀考治(VAN-QUISH/FOG/MAKULU)だった。 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA日曜日はお昼から雨予報。予報よりも早い時間から降り出した雨は小雨で、これくらいならむしろ走りやすいかな?とライダーたちが口々に話していたものの、お昼になると予報通り雨は強さを増した。

路面コンディションが刻々と変わっていくと思われたが、本戦が始まると雨は小康状態に。コースを見つめるライダーたちの顔は悩んでいるよう。

結果、前日のタイムドセッションに続いて清水選手が2分15秒808で優勝。初年度の十種ヶ峰での優勝者・阿藤選手が2位、3位は井手川選手という結果になった。

熱かったのは、エリートクラス。ライダーの実力によるピラミッドをきちんと作っていこうというダウンヒルシリーズの取り組みは3年目にして少しずつ、カタチに現れてきている。

それなりに頑張って取り組まないと下のクラスに降格してしまうシステムは、エリートクラスのエントリー数の少なさにまずは現れた。

今回のエリートクラスは5人という少なさではあったが、メンバーは中国・九州のMTBシーンを引っ張る蒼々たる顔ぶれ。さすがにエリートクラス!と言われる実力を持ったメンバーである。

そんななか、十種ヶ峰会場のオーガナイザーでもある志賀孝治選手(VAN-QUISH/FOG/MAKULU)が悲願の初優勝。自分の活動するフィールドで、仲間達の前で表彰台の一番高いところに上がるという最高の結果となった。

ダウンヒルシリーズと手を組んで3年、十種ヶ峰はUCI3としての国際レースでもある日本最高峰の公式戦Coupe du Japonを誘致する会場にまで成長した。



参加者全員での集合写真参加者全員での集合写真 (c)DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA


中国地方を中心に100人を超えるエントリーを集めた今大会。オーガナイザーの志賀氏を始め、多くのローカルライダーに愛され、進化していく十種ヶ峰WOODPARK。アナタも一度、十種ヶ峰の「熱さ」を感じに、会場を訪れて欲しい。「CJ-U やまぐち十種ヶ峰」は、9月3日〜4日に開催される。

report:DOWNHILL SERIES
photo:DOWNHILL SERIES/Hiroyuki NAKAGAWA