ツアー・オブ・ジャパン2日目の京都ステージが行われ、集団スプリントを制したランプレ・メリダのダヴィデ・チモライが優勝。僅差の2位となったNIPPOのピエールパオロ・デネグリが総合首位に立った。



新城幸也(ランプレメリダ)の回りには報道陣とファンが集まる新城幸也(ランプレメリダ)の回りには報道陣とファンが集まる photo:Satoru.Kato
京都ステージのバナーには、精華町広報キャラクターの京町セイカが描かれる京都ステージのバナーには、精華町広報キャラクターの京町セイカが描かれる photo:Satoru.Katoツアー・オブ・ジャパン2日目。今年初開催となる京都ステージから、マスドスタートのロードレースが始まる。

1周目 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す1周目 大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が飛び出す photo:Satoru.Katoコースは京都市内から車で南へ約1時間ほどの距離に位置する京田辺市と精華町にまたがる1周16.8km。短いながらも急勾配の登りあり、道幅が急激に狭くなる箇所あり、曲がりくねったテクニカルな下りありと、日本のレースコースとは思えないようなレイアウトを持つ。レース前の評価は、「面白いコース」と「とんでもないコース」に二分された事からも、このコースの特異性が理解できる。

この日の天気は曇り。前夜から降り続いた雨が朝方まで残ったが、レースがスタートする午前9時頃までにはやんだ。路面はほぼ乾いたものの、雨の影響で砂が浮いた箇所があり、落車やパンクが頻発した。

平日にも関わらず、主催者発表で5万人という大勢の観客が集まった。特にゴールのけいはんなプラザ前の大通りは観客が鈴なりになり、海外チームの選手も驚くほどだった。

多くの観客が集まったヘアピンの登りを行く集団多くの観客が集まったヘアピンの登りを行く集団 photo:Satoru.Kato
チームカーが通るのもやっとな道幅のコースチームカーが通るのもやっとな道幅のコース photo:Satoru.Kato2周目 京都が地元の小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)を先頭に行く逃げ集団2周目 京都が地元の小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)を先頭に行く逃げ集団 photo:Satoru.Kato


普賢寺ふれあいの駅をパレードスタートし、周回コースに入ってリアルスタートが切られると、早速レースが動く。大久保陣(宇都宮ブリッツェン)が飛び出し、これに小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ)と安原大貴(マトリックスパワータグ)、ベナム・マレキ(タブリーズ・シャハルダリ)が追いついて4人の逃げ集団が形成される。

3周目 ユナイテッドヘルスケアがメイン集団をコントロール3周目 ユナイテッドヘルスケアがメイン集団をコントロール photo:Satoru.Katoメイン集団はユナイテッドヘルスケアと、リーダージャージのアンソニー・ジャコッポ擁するアヴァンティ・アイソウェイスポーツがコントロールし、最大で3分40秒の差をつける。

ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ)は2回ある山岳賞を全て獲得ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ)は2回ある山岳賞を全て獲得 photo:Satoru.Kato途中2回ずつあった山岳賞とスプリントポイントは全てマレキが獲得。特に山岳賞ではマレキが他の3人を振り切るような加速を見せ、その都度大久保と安原が遅れるものの、その後の下りで追いつくことを繰り返す。

レースが後半に入ると、逃げ集団とメイン集団の差は徐々に縮まり、5周目には1分以内の差に詰まる。そして逃げる4人を吸収して最終周回の6周目へ。残り10kmを切って、オスカル・プジョル(チーム右京)が単独アタックするも決定打とならず。勝負は集団スプリントに持ち込まれた。

最後のスプリント勝負、中央にリーダージャージ、右からデネグリ、左からチモライ、その後ろに窪木がつける最後のスプリント勝負、中央にリーダージャージ、右からデネグリ、左からチモライ、その後ろに窪木がつける photo:Satoru.Katoけいはんなプラザ前の長いストレート、中央でリーダージャージのジャコッポが、チームメイトのリードアウトからスプリントに入る。その右からピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)、左からダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)、その後ろに窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)がつけてジャコッポの前に出てくる。

最後はチモライのスピードが伸び、残り10mで後ろを確認する余裕を見せてゴール。その後ろで、3位の窪木が悔しさを露わにした。

レース後の記者会見でチモライは「まだ時差ボケも抜けていないので、今日よりも明日の美濃ステージにかけていた。1ヶ月くらい走っていなかったので不安もあったけれど、今日の結果は勇気づけられた。明日のレースには良い状態で臨めると思う」と語った。

ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)がスプリント勝負を制するダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)がスプリント勝負を制する photo:Satoru.Kato
第2ステージ優勝のダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ)第2ステージ優勝のダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) photo:Satoru.Kato個人総合順位は、僅差でステージ2位のデネグリが首位となり、リーダージャージに袖を通した。
「今日の結果は、チームとしては良い出来だったと思うが、チモライが上回っていた。チーム全員にとって、このレースに出場することは、スポンサーのNIPPOのためにも重要なことなので、ベストを尽くしたいと考えている。明日の美濃ステージは、シンプルな展開になるだろうと考えている。窪木をはじめとしてスプリントに強い選手を揃えているので、良い結果を出したい。」と話す。

リーダージャージを獲得したピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ)リーダージャージを獲得したピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Satoru.Kato一方、ステージ3位の窪木は、記者会見が終わった後も悔しさを滲ませる。「優勝したチモライは登りできつそうなフリをしていたけれど、大門監督に「イタリア人は料理の仕方を知ってるから」と言われていたのでずっとマークしていた。最後はチモライの番手につけてスプリントに入ったけど、反対サイドからデネグリが伸びてきて、邪魔しそうになったので譲った」と、ゴールの瞬間を振り返る。

囲んだ報道陣から、2位だったらリーダージャージの可能性もあった事を聞かれると改めて悔しそうな表情を見せ、「明日もチャンスがあるので、頑張りたい」と、気持ちを切り替えた。

新人賞 クリス・ハミルトン(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)新人賞 クリス・ハミルトン(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) photo:Satoru.Kato山岳賞 ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ)山岳賞 ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ) photo:Satoru.Kato




ツアー・オブ・ジャパン2016第2ステージ結果
1位 ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) 2時間49分08秒 37.2km/h
2位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) +0秒
3位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ)
4位 ジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京)
5位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)
6位 ロビー・ハッカー(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)
7位 ジョナサン・クラーク(ユナイテッドヘルスケア)
8位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
9位 ベンジャミン・プラデス(チーム右京)
10位 メヘディ・ソフラビ(タブリーズ・シャハルダリ)

個人総合成績
1位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 2時間52分26秒
2位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) +01秒
3位 窪木一茂(NIPPOヴィーニファンティーニ) 
4位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +03秒
5位 ジョン・アベラストゥリイザガ(チーム右京) +04秒
6位 ロビー・ハッカー(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) +05秒
7位 クリス・ハミルトン(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ)
8位 オスカル・プジョル(チーム右京)
9位 ベンジャミン・ヒル(アタッキ・チームグスト) +06秒
10位 ダニエルアレクサンデル・ハラミリョ(ユナイテッドヘルスケア)

ポイント賞
1位 ダヴィデ・チモライ(ランプレ・メリダ) 25p
2位 アンソニー・ジャコッポ(アヴァンティ・アイソウェイスポーツ) 22p
3位 ピエールパオロ・デネグリ(NIPPOヴィーニファンティーニ) 20p

山岳賞
1位 ベナム・マレキ(タブリーズ・シャルハルダリ) 10p
2位 小石祐馬(NIPPOヴィーニファンティーニ) 6p
3位 安原大貴(マトリックスパワータグ) 2p

チーム総合成績
1位 アヴァンティ・アイソウェイスポーツ 8時間37分29秒
2位 チーム右京 +05秒
3位 宇都宮ブリッツェン

photo&text:加藤智/Satoru.Kato