残すところ2ステージとなったツアー・オブ・カリフォルニア。いくつもの丘が現れるクラシックレースのようなステージを制したのはアレクサンダー・クリストフ。アラフィリップは総合優勝に王手をかけた。



スタート前、ファンに囲まれるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)スタート前、ファンに囲まれるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes昨年総合成績を争ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)昨年総合成績を争ったペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)とジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


太平洋へとアプローチするかのような雄大なコースを走る第7ステージ太平洋へとアプローチするかのような雄大なコースを走る第7ステージ photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


サンタローザのスタート地点に集まった選手たちサンタローザのスタート地点に集まった選手たち photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes今日はソックスを履いているブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス)今日はソックスを履いているブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームウィギンス) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らが入った逃げ集団グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)らが入った逃げ集団 photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodesいくつも現れる登りセクションがスプリンターたちを苦しめるいくつも現れる登りセクションがスプリンターたちを苦しめる photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes独走で逃げるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)独走で逃げるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes一人逃げを終え、吸収されるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)一人逃げを終え、吸収されるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes個人TTを終え、総合争いにも一定の目途がついたツアー・オブ・カリフォルニア。第7ステージの舞台となったのは、カリフォルニアワインの産地としても名高いソノマ郡のサンタローザを発着する175km。1級山岳、キングリッジロードへの登りを含む、6つのカテゴリー山岳が登場する一筋縄ではいかないテクニカルコース。

12km地点に現れる最初のカテゴリー山岳、ハリソングレードロード峠を先頭で通過したピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)は14名のライダーとともに逃げ集団を形成することに成功する。

多くのチームが選手を送り込むことに成功したこの逃げには、グリーンジャージを着るペーター・サガン(スロバキア、ティンコフサクソ)や山岳賞トップのエヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)、第5ステージで逃げ切りを果たしたトムス・スクジンス(ラトビア、キャノンデールプロサイクリング)、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)ら注目選手が入る。

しかし、総合で2分差につけるステティーナを警戒する総合リーダー・ジュリアン・アラフィリップ(フランス)擁するエティックス・クイックステップや、スプリント勝負へと持ち込みたいディレクトエネルジーらによって、タイム差は2分前後のまま推移する。

1級山岳のKOMをエヴァン・ハフマンが先頭で通過し、その次の3級山岳もトップ通過することで山岳ジャージを確かなものとする。そして79km地点のハウザーブリッジ峠でサガンがペースアップを図り、逃げ集団を半減させることに成功する。

サガン、グレッグ・ファンアフェルマート、ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)、クリス・ネイランズ(ラトビア、アクセオンハーゲンスベルマン)、ロビー・スクワイア(ホロウスコシタデル)、ハビエル・メイガス(スペイン、ノボノルディスク)ら6名に絞られた先頭集団。

しかし、チームメイトのローハン・デニス(オーストラリア)やブレント・ブックウォルター(アメリカ)らの総合順位を守りたいファンアフェルマートはローテーションを拒否。ペースが上がらない先頭集団に業を煮やしたサガンは二つ目の中間スプリント手前でアタックし、独走態勢に持ち込んだ。

サガンを除く5人は残り28km地点で集団に吸収されるが、その時点でもサガンは2分程度のタイムギャップを得たままエアロポジションを取って逃げ続ける。フランドルで見せた独走力を見せつけるような展開だ。

30km以上を一人で逃げ続けたサガンだが、集団とのタイム差は段々と縮まってくる。スプリント勝負になることを予想したチームカーから指示を受け、ペースを緩めたサガンはラスト20kmを残して集団に吸収されることに。

一つとなって、サンタローザの周回コースへと入った集団。直角コーナーが連続するテクニカルな市街地コースで主導権を握ったのはクリストフを擁するカチューシャ。残り1kmで2人のアシストを受け、ラスト150mでスプリントを開始したクリストフを番手につけたサガンが捲ろうとする。ハンドルを大きく投げたサガンだが、わずかに及ばず。リム差でクリストフが先着した。



スプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)スプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes


ステージ優勝を果たしたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)ステージ優勝を果たしたアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes「とてもハードなステージだったよ、登りでは苦しみ抜いた。」と語るクリストフ。「サガンが2分差でずっと逃げ続けていたのを捕まえるだけで、チームには大きなダメージとなった。そして、最後のスプリントでも、もう少しで捲られるところだった。本当に印象的な走りを披露してくれたけど、なんとか彼に勝つことができたのは良かったね。」とステージを振り返る。

一方、「スタートする前に、とても大きなプレッシャーを感じていた。」と語るのは、集団でフィニッシュしリーダージャージを守ることに成功したアラフィリップ。「沢山のライバルたちがすきを窺っているのが分かった。でも、最終的にこのハードなステージでもジャージを守ることができた。レースは後一日あるけれど、とても安心することができたよ。」

明日は、サクラメント市街を周回する138kmのフルフラットコースとなる。第1ステージ以来となるピュアスプリンター達による迫力のゴールスプリントで1週間のレースは幕を下ろすことになる。



積極的な走りを見せた與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント)積極的な走りを見せた與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント) マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク・リブ)のアタックを追う與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント)マリアンヌ・フォス(オランダ、ラボバンク・リブ)のアタックを追う與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント) photo:www.amgentourofcalifornia.com/Brian Hodes同時開催中の女子レースでは、與那嶺恵理(ハーゲンスベルマン・スーパーミント)が逃げに乗る積極的なレースを見せ、先頭集団でフィニッシュ。以下に與那嶺のコメントを紹介する。

「今日は攻め切る。自分の殻を破る。武井コーチと前日からよくMTGを行い、強く決意をしてスタートしました。スタート後20km地点のKOM手前から積極的に動き、何度か逃げを決める形に入ることが出来ました。60km地点のKOMのあと、世界チャンピオンを含む世界トップの選手たちと共に逃げ、積極的に逃げをけん引することが出来ました。

ラボバンクの世界チャンピオンであるマリアンヌ・フォスが後方集団に残ったため、私を含む8名の逃げ集団で勝利を決めるべく、自分は全力で逃げをけん引しました。しかし、アメリカTTチャンピオン、元世界チャンピオンのクリスティン・アームストロングの協力が上手く得れず、残り15kmほどでフォスに捕まってしまいました。

最後のダウンタウンのクリテリウムでも逃げ切り勝利を狙い、積極的にアタックを行うことが出来ました。今まで、自分の殻を破れない消極的なレースを繰り返してしまっていましたが、今日は本当に自分の殻を破ることが出来た。と実感することが出来ました。

明日はカリフォルニア州サクラメント市内を20LAPするクリテリウムです。積極的に動き、blueジャージ(敢闘賞)を狙って攻めていきます。引き続き、応援よろしくお願いします。」




ツアー・オブ・カリフォルニア2016第7ステージ結果
1位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
3位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)
4位 マイク・テウニッセン(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ブライアン・コカール(フランス、ディレクトエネルジー)
6位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレック・セガフレード)
7位 トラヴィス・マッカビー(アメリカ、ホロウスコシタデル)
8位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ)
10位 ルーベン・グレリオ(ポルトガル、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
4h19'52"











個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
2位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
3位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
4位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
5位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ローソン・クラドック(アメリカ、キャノンデールプロサイクリング)
7位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
8位 ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
9位 ジョージ・ベネット(ニュージランド、ロットNLユンボ)
10位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)
28h46’38”
+16”
+38”
+47”
+1’08””
+1’17”

+1’24”
+1’45”
+1’48”


ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

山岳賞
1位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 

ヤングライダー賞
1位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)

チーム総合成績
1位 BMCレーシング

text:Naoki.YASUOKA
photo:www.amgentourofcalifornia.com



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