太平洋沿いの海岸線を走り、アメリカンモータースポーツの聖地である「ラグナ・セカ」へと至るツアー・オブ・カリフォルニア第4ステージ。フィニッシュ前の山岳と、サーキットのアップダウンを生き残った約10名による小集団スプリントで、ペーター・サガン(ティンコフ)が今大会2勝目をマークした。



太平洋沿いの海岸線を走るメイン集団太平洋沿いの海岸線を走るメイン集団 photo:www.amgentourofcalifornia.com


アメリカンなファンに熱烈な歓迎を受け、苦笑いのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)アメリカンなファンに熱烈な歓迎を受け、苦笑いのペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ) photo:www.amgentourofcalifornia.comマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)ら7名の逃げ集団マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)ら7名の逃げ集団 photo:www.amgentourofcalifornia.comエティックス・クイックステップやティンコフがコントロールするメイン集団エティックス・クイックステップやティンコフがコントロールするメイン集団 photo:www.amgentourofcalifornia.comリーダージャージを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)リーダージャージを着るジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.comコース上の多くの箇所が、海からの霧に覆われたコース上の多くの箇所が、海からの霧に覆われた photo:www.amgentourofcalifornia.comツアー・オブ・カリフォルニアの前半戦を締めくくる第4ステージ。太平洋に面した観光地モロ・ベイをスタートし、世界的に有名なサーキットコースである「マツダ・スピードウェイ・ラグナ・セカ」にフィニッシュする今大会最長の217kmで争われる。コースの大半がアップダウンに富んだ海岸線で、残り10kmを切ってから連続的に登場する2級山岳と3級山岳が勝負所となる。

モロ・ベイをスタートしたレースは、早々に逃げが決まる。この日の先頭集団に入ったのは、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)やミカエル・モルコフ(デンマーク、カチューシャ)、グレゴリー・ダニエル(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)、ライアン・アンダーソン(カナダ、ディレクトエネルジー)ら7名。メイン集団に対して最大5分のタイムギャップを稼ぎ出し、協調しながら約200kmに渡って逃げ続けた。

メイン集団の牽引役を担ったのは、リーダーチームのエティックス・クイックステップや、ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)でのステージ優勝を狙うティンコフ。勝負所となるローレルズ・ロードの2級山岳を前にタイム差を約1分にまで縮め、先頭7名を射程圏内に捉える。

なおも、協調しながら逃げ続ける先頭7名だったが、残り約12kmの地点でアンダーソンのペースアップをきっかけに分裂。そこからアクセオンのダニエルがさらにペースをあげ、単独で先頭に踊り出ると、そのまま山頂を通過する。

一方のメイン集団も、フィニッシュへ向けて活性化。ダニエル・ジャラミロ(コロンビア、ユナイテッドヘルスケア)やジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、ディメンション)がアタックすると、ペースアップによってみるみるとメイン集団は人数を減らしていく。

結局ダニエルはラグナ・セカへアプローチする3級の登りであえなく吸収されるも、斜度が10%を越える急勾配区間でチームメイトのルーベン・ゲレイロ(ポルトガル)がカウンターアタック。ラグナ・セカのサーキット内に入るまで逃げ続け、若手チームらしからぬ勢いを魅せつけた。

ラグナ・セカのサーキット内に入ると「4名を揃えるBMCレーシング」対「単騎のサガン」という構図が鮮明になる。牽制の隙を狙ってネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)やピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)が飛び出しを図るも、サガンがことごとく吸収。この間に約10名ほどに絞られた先頭集団は、ハースを先頭にスプリントを開始する。

下りの勢いを利用して鋭い加速をみせたハースだったが、ピッタリと番手につけるのはサガン。残り200mを切ったタイミングでサガンは先頭に出ると、後続を寄せ付けることなくそのままフィニッシュ。今大会2勝目を飾った。2位にはサガンの番手でスプリントを開始したグレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)、3位にはハースが入っている。



大会名物(?)のテキサスロングホーンと共に独走するグレゴリー・ダニエル(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)大会名物(?)のテキサスロングホーンと共に独走するグレゴリー・ダニエル(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン) photo:www.amgentourofcalifornia.comアメリカンモータースポーツの聖地「ラグナ・セカ」を舞台にスプリントが始まるアメリカンモータースポーツの聖地「ラグナ・セカ」を舞台にスプリントが始まる photo:www.amgentourofcalifornia.com

10名ほどのスプリントでペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が先着10名ほどのスプリントでペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)が先着 photo:www.amgentourofcalifornia.com


第4ステージの上位3名がポディウムに登壇第4ステージの上位3名がポディウムに登壇 photo:www.amgentourofcalifornia.comリーダージャージをキープしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)リーダージャージをキープしたジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ) photo:www.amgentourofcalifornia.com優勝したサガンは「とても嬉しい。ほぼ220kmという長い1日のほとんどで、チームメイトはメイン集団を牽引し続けてくれた。だから、彼らには感謝しなくてはならない。

最後の2つのカテゴリー山岳は、そこまでで力を使ってしまったためチームメイトが残っておらず、1人になってしまったため、とてもハードだった。クライマー達には、食らいつくだけキツいのに、さらにアタックを仕掛けられた。最後の1kmは下りで、このシチュエーションを得意とするファンアフェルマートがいつものように番手をとっていた。最後のコーナーを前に1人の選手(ハース)が加速したけど、それが僕のアシストとなった」と語る。

総合首位のジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)は、サガンと同タイムのステージ10位でフィニッシュし、リーダージャージをキープ。総合上位勢の中では、前日まで7位につけていたラクラン・モートン(オーストラリア、ジェリーベリーp/bマキシス)が遅れ、大きく順位を落としている。

翌第5ステージは、カリフォルニアの州都サクラメントの南に位置するロディをスタートし、レイクタホの南側の湖岸にフィニッシュする214kmで争われる。2級が2つ、3級が1つとカテゴリー山岳の数自体は少ないものの、途中には距離70km/獲得標高2,400mというハードでロングなヒルクライムが登場する。



ツアー・オブ・カリフォルニア2016第4ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)
2位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
3位 ネイサン・ハース(オーストラリア、ディメンションデータ)
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
5位 タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
7位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
8位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、カチューシャ)
9位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)
10位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
5h16'33"











個人総合成績
1位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)
2位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード)
3位 ジョージ・ベネット(オーストラリア、ロットNLユンボ)
4位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
5位 ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)
6位 ローレンス・テンダム(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
7位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、BMCレーシング)
9位 ロブ・ブリットン(カナダ、ラリーサイクリング)
10位 アイマル・スベルディア(スペイン、トレック・セガフレード)
18h06'17"
+22”
+37”
+40”
+43”
+49”
+1’01”

+1’12”
+1’15”


ポイント賞
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

山岳賞
1位 エヴァン・ハフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) 

ヤングライダー賞
ニールソン・パウエルス(アメリカ、アクセオン・ハーゲンス・ベルマン)

チーム総合成績
BMCレーシング

text:Yuya.Yamamoto
photo:www.amgentourofcalifornia.com

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