2016/05/11(水) - 16:10
長さ2kmの美しいビーチがあり、夏場は観光客でごった返す観光地プライア・ア・マーレにジロ・デ・イタリアがやってきた。賑やかで華やかな「ジロらしいジロ」が始まった。
ジロ・デ・イタリアが南イタリアのカラブリア州にやってきた。スタート地点カタンツァーロはイタリア半島のつま先近く、ちょうど拇指球のあたり(そう、雑誌でよく見るクリート位置の指標になるあの部分)。
北イタリアならまだしも、オランダから南イタリアに移動したことによるカルチャーショックは大きい。オランダにはなかったものがここには沢山ある。山があり、青い海があり、派手なキャラバンがあり、痛んだアスファルトがあり、高速道路を走っているとムチウチになりそうな段差が突然現れる。南イタリア(だいたいナポリ以南)は高速道路が無料なのだが、永遠に終わらないんじゃないかと思うほどずっと工事している。
そして賑やかな観客がいて、メカニックの制止を振り切ってバイクを触りまくる観客がいる。ジロがイタリアに根付いた文化なのだと強く感じることができる。オランダでの開幕も素晴らしかったが、やはりジロはイタリアを走ってこそジロだ。シチリア島も近いため、多くのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ファンが駆けつけた。スタート地点やコース上、フィニッシュ地点で青いサメの旗が風になびいた。
青いティレニア海に沿って、SS18号線をひたすら北上する1日。前半は飽き飽きするほど真っ平らで、なんとも変化に乏しい直線路が延々と続いている。海岸線に沿った幹線道路だが、かと言って青い海を含めた絵が撮りにくいことに頭を抱えながらフォトグラファーたちはモトと車を走らせる。
コースマップに記載されていないスプリントポイントが登場したと思えば、それは地元の街が自分たちで設置したオリジナル。非公式ながらスプリントポイントを先頭通過した選手には賞金や特産品が送られる場合が多い。
2つ目の3級山岳で飛び出し、その後も先頭のアタックに加わるアグレッシブな走りを見せたダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)はチームにマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)をもたらした。クネゴがジロの表彰台に登るのは総合優勝を飾った2004年以来、実に12年ぶり。すでに総合では8分39秒遅れており、現実的に総合成績を求めるチームメイトもいないため、クネゴがマリアアッズーラにフォーカスすることも考えられる。
最後尾のグルペットでフィニッシュしたチームメイトの山本元喜はこの日もしっかりブログ「Genki一杯」を更新。レース前半の逃げを捕まえる顛末や選手の気持ちを克明に記している。
マリアローザ候補と呼ばれる選手たちはほぼ全員が同タイムの集団でフィニッシュした。乗り損ねたのはイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、トレック・セガフレード)、マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)ら。
記録だけ見れば「大きく動かなかった」ステージだが、実際に激坂フォルティーノ通りの頂上で有力選手たちの表情を見るとそこには大きな差があった。チーム力を見せたのはアスタナで、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は苦しい表情を見せることなく、後方を確認する余裕を見せながら集団先頭でクリアした。
その後ろにラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)やエスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)が続き、さらにその後ろには歯を食いしばって耐えたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)。
登りでリードを奪うとみられていたミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)はドゥムランの後ろ、バルベルデ&ニーバリから10秒近く遅れて頂上を越えている。ランダはニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)のアシストを受けて何とかタイムを失わずに済んでいる。ライバルたちにまだ本格的な山岳ステージではないし、結果的に遅れていないので何とも言えないが、アスタナ、モビスター、チームスカイの御三家の中でアシストを含めて最も苦しい表情を見せたのはチームスカイだった。
とにかくジロが始まった。明日は今大会最長クラス(最長は240kmの第18ステージ)の233kmステージ。路面の悪さから雨が降ればかなり滑りやすくなる地域だが、幸い今のところ雨の心配はなさそう。ただ、ここまで好天続きのジロだったが、天気予報によると第6ステージは天候があまりよろしくないようだ。
text&photo:Kei Tsuji in Praia a Mare, Italy
ジロ・デ・イタリアが南イタリアのカラブリア州にやってきた。スタート地点カタンツァーロはイタリア半島のつま先近く、ちょうど拇指球のあたり(そう、雑誌でよく見るクリート位置の指標になるあの部分)。
北イタリアならまだしも、オランダから南イタリアに移動したことによるカルチャーショックは大きい。オランダにはなかったものがここには沢山ある。山があり、青い海があり、派手なキャラバンがあり、痛んだアスファルトがあり、高速道路を走っているとムチウチになりそうな段差が突然現れる。南イタリア(だいたいナポリ以南)は高速道路が無料なのだが、永遠に終わらないんじゃないかと思うほどずっと工事している。
そして賑やかな観客がいて、メカニックの制止を振り切ってバイクを触りまくる観客がいる。ジロがイタリアに根付いた文化なのだと強く感じることができる。オランダでの開幕も素晴らしかったが、やはりジロはイタリアを走ってこそジロだ。シチリア島も近いため、多くのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ファンが駆けつけた。スタート地点やコース上、フィニッシュ地点で青いサメの旗が風になびいた。
青いティレニア海に沿って、SS18号線をひたすら北上する1日。前半は飽き飽きするほど真っ平らで、なんとも変化に乏しい直線路が延々と続いている。海岸線に沿った幹線道路だが、かと言って青い海を含めた絵が撮りにくいことに頭を抱えながらフォトグラファーたちはモトと車を走らせる。
コースマップに記載されていないスプリントポイントが登場したと思えば、それは地元の街が自分たちで設置したオリジナル。非公式ながらスプリントポイントを先頭通過した選手には賞金や特産品が送られる場合が多い。
2つ目の3級山岳で飛び出し、その後も先頭のアタックに加わるアグレッシブな走りを見せたダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)はチームにマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)をもたらした。クネゴがジロの表彰台に登るのは総合優勝を飾った2004年以来、実に12年ぶり。すでに総合では8分39秒遅れており、現実的に総合成績を求めるチームメイトもいないため、クネゴがマリアアッズーラにフォーカスすることも考えられる。
最後尾のグルペットでフィニッシュしたチームメイトの山本元喜はこの日もしっかりブログ「Genki一杯」を更新。レース前半の逃げを捕まえる顛末や選手の気持ちを克明に記している。
マリアローザ候補と呼ばれる選手たちはほぼ全員が同タイムの集団でフィニッシュした。乗り損ねたのはイゴール・アントン(スペイン、ディメンションデータ)、ライダー・ヘシェダル(カナダ、トレック・セガフレード)、マキシム・モンフォール(ベルギー、ロット・ソウダル)ら。
記録だけ見れば「大きく動かなかった」ステージだが、実際に激坂フォルティーノ通りの頂上で有力選手たちの表情を見るとそこには大きな差があった。チーム力を見せたのはアスタナで、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)は苦しい表情を見せることなく、後方を確認する余裕を見せながら集団先頭でクリアした。
その後ろにラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)やエスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)が続き、さらにその後ろには歯を食いしばって耐えたトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)。
登りでリードを奪うとみられていたミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)はドゥムランの後ろ、バルベルデ&ニーバリから10秒近く遅れて頂上を越えている。ランダはニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)のアシストを受けて何とかタイムを失わずに済んでいる。ライバルたちにまだ本格的な山岳ステージではないし、結果的に遅れていないので何とも言えないが、アスタナ、モビスター、チームスカイの御三家の中でアシストを含めて最も苦しい表情を見せたのはチームスカイだった。
とにかくジロが始まった。明日は今大会最長クラス(最長は240kmの第18ステージ)の233kmステージ。路面の悪さから雨が降ればかなり滑りやすくなる地域だが、幸い今のところ雨の心配はなさそう。ただ、ここまで好天続きのジロだったが、天気予報によると第6ステージは天候があまりよろしくないようだ。
text&photo:Kei Tsuji in Praia a Mare, Italy
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