アペルドールンのヴェロドロームをスタートするジロ・デ・イタリア初日の個人タイムトライアル。地元オランダの熱い声援に応えるようにトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)がトップタイムを叩き出し、0.01秒差でマリアローザを獲得した。



大勢の観客に埋まるヴェロドローム大勢の観客に埋まるヴェロドローム photo:Kei Tsuji


5月6日(金)第1ステージ ☆☆☆ アペルドールン〜アペルドールン 9.8km(個人TT)5月6日(金)第1ステージ ☆☆☆ アペルドールン〜アペルドールン 9.8km(個人TT) image:Giro d'Italiaジロ・デ・イタリア初日の第1ステージはアペルドールンの街中を走る9.8kmの個人タイムトライアル。今大会最初のマリアローザ着用者を決めるレースは、平均スピードが53km/hを超える短距離&高強度&ハイスピードの戦いとなる。

ステージ4位・8秒遅れ トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)ステージ4位・8秒遅れ トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン) photo:Kei Tsuji前半に好走した25歳のトビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)が11分11秒の暫定トップタイムをマーク。長時間ホットシートに座り続けたが、1時間半後にスタートしたプリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)がルドヴィグソンのタイムを8秒更新した。

ヴェロドロームを駆け出した山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)ヴェロドロームを駆け出した山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji優勝候補の一角と見られたステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)やヨス・ファンエムデン(オランダ、ロットNLユンボ)は両者ともに4.8km地点の中間計測ポイントで好タイムを出しながらもコーナーでオーバーランして落車。優勝のチャンスを失っている。

スタートを切るプリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)スタートを切るプリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Kei Tsujiモレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)とティム・ウェレンス(ベルギー、ロット・ソウダル)が中間計測ポイントでログリッチのタイムを塗り替えたものの、後半にペースを落としてトップタイム更新ならず。

スキージャンプから2012年にロードレースに転向した26歳ログリッチのステージ優勝が現実味を帯びたが、オランダの期待を背負うTTスペシャリストがそれを阻止した。

ドゥムランは中間計測ポイントでログリッチのタイムを3秒更新すると、後半にペースを落としながらもリードを維持。スプリントでフィニッシュに飛び込むと時計は11分03秒でストップし、暫定順位表示は「1」。0.01秒差という僅差でログリッチのタイムを上回った。

ウィルス性胃腸炎から完全に回復しない状態で挑んだファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)もドゥムランには14秒届かず。

最終走者マイケル・ヘップバーン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)が19位でフィニッシュすると、表彰台裏のローラー台でクールダウンしながらウィレム=アレクサンダー国王と映像を見ていたドゥムランの優勝が決まった。



0km〜4.8km地点
1位 トム・ドゥムラン        5’21”
2位 ステファン・キュング      +01”
3位 ティム・ウェレンス       +02”
4位 モレーノ・モゼール       +03”
5位 プリモス・ログリッチ      +03”
6位 アンドレイ・アマドール     +05”
7位 マルティン・ケイゼル      +05”
8位 アントン・ヴォロブネフ     +06”
9位 リー・ハワード         +06”
10位 トビアス・ルドヴィグソン    +06”

4.8km〜9.8km地点
1位 プリモス・ログリッチ      5’39”
2位 トム・ドゥムラン        +03”
3位 アンドレイ・アマドール     +04”
4位 トビアス・ルドヴィグソン    +05”
5位 マルセル・キッテル       +06”
6位 ロジェ・クルーゲ        +08”
7位 ボブ・ユンヘルス        +09”
8位 ファビアン・カンチェラーラ   +09”
9位 チャド・ハガ          +10”
10位 マイケル・ヘップバーン     +10”




11分03秒のトップタイムで優勝したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)11分03秒のトップタイムで優勝したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Kei Tsuji
好ペースで走ったステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)は落車好ペースで走ったステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)は落車 photo:Kei Tsujiステージ5位・11秒遅れ マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)ステージ5位・11秒遅れ マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
ステージ16位・19秒遅れ ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ステージ16位・19秒遅れ ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsujiステージ8位・14秒遅れ ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)ステージ8位・14秒遅れ ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
ステージ190位・1分30秒遅れ 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ)ステージ190位・1分30秒遅れ 山本元喜(NIPPOヴィーニファンティーニ) photo:Kei Tsuji


ステージ優勝を飾ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)ステージ優勝を飾ったトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Kei Tsuji「こんな僅差(0.01秒差)で勝利するなんて、今日は運が味方した」。地元オランダでステージ優勝を飾り、マリアローザを獲得したドゥムランは驚き交じりの表情で話す。

マリアビアンカはトビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)の手にマリアビアンカはトビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)の手に photo:Kei Tsuji「最後まで全開走行を強いる厳しいレースだった。胃腸のトラブルで万全とは言えない状態だったけどとにかく勝ててよかった。勝利して、マリアローザを獲得したんだ。ツール・ド・ロマンディでの準備が功を奏したと思う。最高の走りとは言えなかったけど、最悪の走りでもなかった。もう少し速く走れたと思うけど勝利は勝利。オランダで勝つなんて本当にスペシャルだ」。ジャイアント・アルペシンはドゥムランの他にもルドヴィグソンをステージ4位、チャド・ハガ(アメリカ)をステージ12位に送り込む強さを示し、チーム総合成績でもトップを走る。

スプリンターのマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)はドゥムランから11秒差のステージ5位でフィニッシュ。タイムトライアルを除くステージ優勝者にはボーナスタイム10秒が与えられるため、キッテルはオランダ国内でのマリアローザ獲得に希望を繋げている。

マリアローザ候補の中で好走したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は19秒遅れ。ニーバリはアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)から5秒、ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)から21秒のリードを得ることに成功している。



マリアローザに袖を通したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)マリアローザに袖を通したトム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン) photo:Kei Tsuji




ジロ・デ・イタリア2016第1ステージ結果
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      11’03”
2位 プリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)          +06”
4位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン) +08”
5位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)    +11”
6位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)           +12”
7位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +13”
8位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)    +14”
9位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
10位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)          +16”
16位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)          +19”
23位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)          +24”
33位 エスデバン・シャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)     +30”
41位 ライダー・ヘシェダル(カナダ、トレック・セガフレード)       +33”
60位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ)             +38”
67位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)              +40”
190位 山本元喜(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)         +1’30”

マリアローザ 個人総合成績
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      11’03”
2位 プリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)          +06”
4位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン) +08”
5位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)    +11”
6位 モレーノ・モゼール(イタリア、キャノンデール)           +12”
7位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +13”
8位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)    +14”
9位 マティアス・ブランドル(オーストリア、IAMサイクリング)
10位 シルヴァン・ディリエル(スイス、BMCレーシング)          +16”

マリアロッサ ポイント賞
1位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      15pts
2位 プリモス・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)        12pts
3位 アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)          9pts

マリアアッズーラ 山岳賞
設定されず

マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 トビアス・ルドヴィグソン(スウェーデン、ジャイアント・アルペシン)11’11”
2位 ボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) +05”
3位 ダミアン・ホーゾン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)    +11”

チーム総合成績
1位 ジャイアント・アルペシン                    33’33”
2位 ロットNLユンボ                          +15”
3位 エティックス・クイックステップ                   +20”

text&photo:Kei Tsuji in Apeldoorn, Netherlands

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