ジロ・デル・トレンティーノ第3ステージは、総合争いによって絞られた10名ほどの先頭集団から、一瞬の隙を突いて飛び出したタネル・カンゲルト(アスタナ)が勝利。リーダージャージを着るミケル・ランダ(チームスカイ)はアスタナとAG2Rの攻撃を封じ、総合首位を守っている。
長閑な山岳地帯を行くメイン集団 photo:Bettini
ジロ・デル・トレンティーノ2016第3ステージ コースプロフィール
50km地点で形成された10名の逃げ集団 photo:Bettini
パガネッラ峠の登りで先頭集団から脱落したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Bettini
余裕の表情で、ライバル達のアタックを封じ込めるミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) photo:Bettini
総合首位奪取を狙ってアタックするヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ) photo:Bettini4日間の日程で争われるジロ・デル・トレンティーノ(UCI2.HC)。最終日前日の第3ステージは、ジリアンからメッツォロンバルドに至る204kmで争われた。コースの中には2つの1級山岳が用意され、2つ目の1級山岳パガネッラ峠頂上から14kmのダウンヒルを経てフィニッシュへと飛び込むというプロフィールだ。平均勾配7.5%のパガネッラ峠で、再び総合勢が火花を散らすと予想された。
快晴のジリアンを出発したプロトンは、ハイスピードを保ったまま、下り基調の序盤を消化。ようやく逃げが決まったのは50kmを過ぎたころで、イウリィ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)をはじめとした10名がメイン集団を飛び出す。先頭10名は最大3分半のタイムギャップを得て先行するものの、パガネッラ峠を前に、アスタナなどがコントロールするメイン集団に吸収される。
パガネッラ峠の登りでは、紫色の総合リーダージャージを着るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)から総合首位の座を奪おうと、総合上位勢によるアタックが繰り返される。今年のジロ・デ・イタリア第16ステージにも登場するこの峠で、10秒差の総合2位につけるヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)や、ロメン・バルデ(フランス)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のAG2Rトリオが動きをみせた。
度重なるペースアップの結果、ステージ優勝候補のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が脱落。2週間後に開幕を控えたジロ・デ・イタリアを前に、メッシーナの鮫のコンディションに疑問符がつく結果となった。加えて、総合4位につけていたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)も、先頭から遅れを喫する。
ニーバリとは対照的に、ジロへ向けて好調さをみせつけたのはランダ。アシストを欠き、アスタナとAG2Rラモンディアールに対して数的不利な状況に陥りながらも、余裕の表情でライバル達のアタックを処理していく。
パガネッラ峠でのバトルを終え、先頭に生き残ったのは10名。ここからフィニッシュまでは登りこそ無いものの、総合順位を左右するフィニッシュのボーナスタイムをめぐり、気の抜けない状況が続くが、フィニッシュまで残り1kmで、この均衡を破ったのはタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)。普段はアシストに徹するエストニア人ライダーは、先頭集団後方から勢いをつけて飛び出すと、後続に10秒の差をつけてメッツォロンバルドのフィニッシュへ飛び込んだ。
「今日チームの中で最も脚があったのはフグルサングだし、僕自身は登りで良い感触を掴めなかったというのが正直な所。でも、そこから終盤に向けて息を整え、一発で決められるようにタイミングを探った。そして、全力を出し切った結果として、勝利することができた。」とレースを振り返るカンゲルト。国内選手権以外では、2013年のツール・ド・スイス第8ステージ以来、3年ぶりの勝利となる。
また、今日の結果を受けてカンゲルトの総合成績は2位にジャンプアップ。翌第4ステージについては「ランダからリーダージャージを奪うのは難しいだろう。昨年までチームメイトだった彼のことはよく知っている。我々はアグレッシブに動いて、予測不能な展開に持ち込まなければならない。」と語っている。
カンゲルトから10秒遅れの2位集団は、パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)を先頭にフィニッシュ。ランダは6位でフィニッシュし、総合リーダージャージを守ることに成功した。
約3年ぶりとなる勝利を飾ったタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) photo:Bettini
元チームメイトであるタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)の勝利を祝福するミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) photo:Bettini
ステージ優勝のタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ) photo:Bettini
ランダは「確かに今日はイージーでは無かった。最後の1級山岳では集団をコントロールするように走ったが、それだけでは充分ではなく、フィニッシュまでの下りと平坦も、一切気を抜くことが出来なかった。総合のタイム差は依然として小さく、フィニッシュのボーナスタイムが総合順位に与える影響も大きい。今日も、フグルサングたちが攻撃を仕掛けてきたし、明日もアタックしてくるだろうけど、自分にとっての最大の防御法はアタックすることだ。」とコメントしている。
最終日となる第4ステージはマレからクレスまでの160.9kmで争われる。最後のカテゴリー山岳である1級のフォルチェッラ・ディ・ブレズからフィニッシュまでは約35kmあるものの、その途中には細やかなアップダウンがあり、最後まで気の抜けない展開となりそうだ。
選手コメントは大会公式サイトより。
ジロ・デル・トレンティーノ2016第3ステージ結果
個人総合成績
山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
ヤングライダー賞
1位 アーレイベルナール・イーガン(コロンビア、アンドローニジョカトリ)
チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
text:Yuya.Yamamoto
photo:Bettini






快晴のジリアンを出発したプロトンは、ハイスピードを保ったまま、下り基調の序盤を消化。ようやく逃げが決まったのは50kmを過ぎたころで、イウリィ・フィロージ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ)をはじめとした10名がメイン集団を飛び出す。先頭10名は最大3分半のタイムギャップを得て先行するものの、パガネッラ峠を前に、アスタナなどがコントロールするメイン集団に吸収される。
パガネッラ峠の登りでは、紫色の総合リーダージャージを着るミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)から総合首位の座を奪おうと、総合上位勢によるアタックが繰り返される。今年のジロ・デ・イタリア第16ステージにも登場するこの峠で、10秒差の総合2位につけるヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)や、ロメン・バルデ(フランス)、ジャンクリストフ・ペロー(フランス)、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア)のAG2Rトリオが動きをみせた。
度重なるペースアップの結果、ステージ優勝候補のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)が脱落。2週間後に開幕を控えたジロ・デ・イタリアを前に、メッシーナの鮫のコンディションに疑問符がつく結果となった。加えて、総合4位につけていたミケーレ・スカルポーニ(イタリア、アスタナ)も、先頭から遅れを喫する。
ニーバリとは対照的に、ジロへ向けて好調さをみせつけたのはランダ。アシストを欠き、アスタナとAG2Rラモンディアールに対して数的不利な状況に陥りながらも、余裕の表情でライバル達のアタックを処理していく。
パガネッラ峠でのバトルを終え、先頭に生き残ったのは10名。ここからフィニッシュまでは登りこそ無いものの、総合順位を左右するフィニッシュのボーナスタイムをめぐり、気の抜けない状況が続くが、フィニッシュまで残り1kmで、この均衡を破ったのはタネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)。普段はアシストに徹するエストニア人ライダーは、先頭集団後方から勢いをつけて飛び出すと、後続に10秒の差をつけてメッツォロンバルドのフィニッシュへ飛び込んだ。
「今日チームの中で最も脚があったのはフグルサングだし、僕自身は登りで良い感触を掴めなかったというのが正直な所。でも、そこから終盤に向けて息を整え、一発で決められるようにタイミングを探った。そして、全力を出し切った結果として、勝利することができた。」とレースを振り返るカンゲルト。国内選手権以外では、2013年のツール・ド・スイス第8ステージ以来、3年ぶりの勝利となる。
また、今日の結果を受けてカンゲルトの総合成績は2位にジャンプアップ。翌第4ステージについては「ランダからリーダージャージを奪うのは難しいだろう。昨年までチームメイトだった彼のことはよく知っている。我々はアグレッシブに動いて、予測不能な展開に持ち込まなければならない。」と語っている。
カンゲルトから10秒遅れの2位集団は、パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)を先頭にフィニッシュ。ランダは6位でフィニッシュし、総合リーダージャージを守ることに成功した。



ランダは「確かに今日はイージーでは無かった。最後の1級山岳では集団をコントロールするように走ったが、それだけでは充分ではなく、フィニッシュまでの下りと平坦も、一切気を抜くことが出来なかった。総合のタイム差は依然として小さく、フィニッシュのボーナスタイムが総合順位に与える影響も大きい。今日も、フグルサングたちが攻撃を仕掛けてきたし、明日もアタックしてくるだろうけど、自分にとっての最大の防御法はアタックすることだ。」とコメントしている。
最終日となる第4ステージはマレからクレスまでの160.9kmで争われる。最後のカテゴリー山岳である1級のフォルチェッラ・ディ・ブレズからフィニッシュまでは約35kmあるものの、その途中には細やかなアップダウンがあり、最後まで気の抜けない展開となりそうだ。
選手コメントは大会公式サイトより。
ジロ・デル・トレンティーノ2016第3ステージ結果
1位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
2位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
6位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
7位 エマヌエル・ブックマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
8位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 アーレイベルナール・イーガン(コロンビア、アンドローニジョカトリ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
2位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
3位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
4位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
5位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
6位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
7位 エマヌエル・ブックマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
8位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 アーレイベルナール・イーガン(コロンビア、アンドローニジョカトリ)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5h05'27"
+10"
+10"
個人総合成績
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
2位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 エマヌエル・ブックマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
9位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 ユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)
2位 タネル・カンゲルト(エストニア、アスタナ)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
4位 セルゲイ・フィルサノフ(ロシア、ガスプロム・ラスヴェロ)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 エマヌエル・ブックマン(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
9位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
10位 ユベール・デュポン(フランス、AG2Rラモンディアール)
10h37'23"
+08"
+10"
+15"
+20"
+24"
+26"
+38"
+52"
+08"
+10"
+15"
+20"
+24"
+26"
+38"
+52"
山岳賞
1位 ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)
ヤングライダー賞
1位 アーレイベルナール・イーガン(コロンビア、アンドローニジョカトリ)
チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
text:Yuya.Yamamoto
photo:Bettini
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