連載でお届けするプロバイクレポート。今回は、ロンドとパリ~ルーベの合間に開催されたスプリンター向け石畳クラシックのシュヘルデプライスより、スプリンター達のバイクをメインにピックアップ。キッテル、カヴェンディッシュ、グライペルらのマシンを紹介します。



エティックス・クイックステップ【スペシャライズド S-WORKS VENGE ViAS】

マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)のスペシャライズド S-WORKS VENGE ViASマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)のスペシャライズド S-WORKS VENGE ViAS photo:Makoto Ayano
大会史上最多となる4勝目を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)。バイクは、スペシャライズドのエアロロード「S-WORKS VENGE ViAS」だが、メンテナンス性を考慮した特別仕様が供給されている。

市販品がケーブル類を全てフレームに内装するのに対して、キッテルが駆るバイクは、ハンドル周りのケーブルを外出しとしたオーソドックスなルーティングを採用。これに伴いダウンチューブとフォークショルダーにはケーブルの挿入口が設けられている。また、ハンドルとステムはVENGE ViAS専用品ではなく、キッテルのバイクには汎用規格のものがアッセンブルされていた。

ステムクランプ部の近くまで巻かれたバーテープステムクランプ部の近くまで巻かれたバーテープ photo:Makoto.AYANOスプリンター御用達のジップSL SPRINTステムを使用するスプリンター御用達のジップSL SPRINTステムを使用する photo:Makoto.AYANO

フォークとインテグレーテッド設計とし、空気抵抗低減に貢献するブレーキフォークとインテグレーテッド設計とし、空気抵抗低減に貢献するブレーキ photo:Makoto.AYANOハンドル周りのワイヤーを外出しとしたチーム供給専用フレームを使用ハンドル周りのワイヤーを外出しとしたチーム供給専用フレームを使用 photo:Makoto.AYANO


メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、ブレーキはVENGE ViASの専用品だ。ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールで、キッテルはラインアップ中で最もリムハイトが高いRapide CLX64をチョイス。組み合わせるタイヤはスペシャライズドS-WORKS TURBOだ。

ハンドルはフラット部がエアロ形状のFSA K-Wing Aeroで、組み合わせるステムはスポンサー外のジップSL SPRINTステムとしている。このステムは、より高い剛性を求めて、大柄なスプリンター達がこぞって使用する逸品だ。



ディメンションデータ【サーヴェロ S5、S3】

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)のサーヴェロ S5マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)のサーヴェロ S5 photo:Makoto Ayano
キッテルに次ぐ2着に入ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、ディメンションデータ)のバイクは、サーヴェロのハイエンドエアロロード「S5」だ。機材に多くのこだわりを持つカヴェンディッシュは、スポンサー外の機材を使うことも少なくないが、シュヘルデプライスで使用したバイクは、チェーン以外のすべてのパーツがサプライヤーのアイテムとなっている。

メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2。クランクはローターのサポートを受け、カヴェンディッシュは楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用する。クランク式のパワーメーターは、シャフト内部にセンサーを組み込んだ「INPOWER」をベースに左右計測を可能とした「2INPOWER」。また、リアディレーラーのプーリーはセラミックスピードとし、駆動抵抗の低減を図っている。

空気抵抗削減のためか、サドル下にDi2のジャンクションを配置空気抵抗削減のためか、サドル下にDi2のジャンクションを配置 photo:Makoto.AYANOエンヴィのハンドルとステムを使用するエンヴィのハンドルとステムを使用する photo:Makoto.AYANO

プーリーは純正品からセラミックスピードに換装されているプーリーは純正品からセラミックスピードに換装されている photo:Makoto.AYANOカヴェンディッシュはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用するカヴェンディッシュはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用する photo:Makoto.AYANO

タイラー・ファラー(アメリカ、ディメンションデータ)はセカンドグレードのS3を好んで使用するタイラー・ファラー(アメリカ、ディメンションデータ)はセカンドグレードのS3を好んで使用する photo:Makoto.AYANO泥づまりのリスクを低減したスピードプレイのZero Paveペダル泥づまりのリスクを低減したスピードプレイのZero Paveペダル photo:Makoto.AYANO


ホイールはエンヴィSESのDTスイス240Sハブ仕様で、組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTD。その他、ハンドルとステムはエンヴィ、サドルはカヴェンディッシュが愛用し続けるフィジークARIONE、ペダルはスピードプレイ、ボトル及びケージがタックスだ。



ロット・ソウダル【リドレー NOAH SL】

アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のリドレー NOAH SLアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)のリドレー NOAH SL photo:Makoto.AYANO
毎年石畳クラシックに意欲的なロット・ソウダルのエーススプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ)。バイクはリドレーで、シュヘルデプライスではエアロロードの「NOAH SL」をチョイスした。

コンポーネントはカンパニョーロSUPERRECORD EPS。今季よりジャグワイヤーからケーブルのサポートを受けるものの、何故かカンパニョーロの純正で組み付けられていた。ホイールもカンパニョーロのサポートを受け、50mmハイトのBORA ULTRA 50を選択。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデルCOMPETITION PROLTDだ。

ヘビ柄のバーテープはリザードスキンだヘビ柄のバーテープはリザードスキンだ photo:Makoto.AYANOシートポストを前後逆転させ、サドルを前方にセットシートポストを前後逆転させ、サドルを前方にセット photo:Makoto.AYANO


ハンドルとステムはデダ・エレメンティで、クランプ径を35mmとし剛性を高めた「TRENTACINQUE」シリーズがグライペルのお気に入り。サドルはセライタリアFliteの最新モデルで、シートポストの前後を入れ替えて前気味にセット。その他、ペダルはルックKEO、ボトルと及びケージはエリートだ。



フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト【ルック 795 LIGHT】

ブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)のルック 795 LIGHTブリース・フェイユ(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)のルック 795 LIGHT photo:Makoto.AYANO
今季ブルターニュ・セシェよりチーム名が変更になったフランス籍のフォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプトだが、引き続き同郷のルックのバイクを使用。チームがメインで使用するのはハイエンドモデルの「795」で、内蔵エアロブレーキではなく、メンテナンス性やホイール交換の作業性を考慮して一般的なキャリパーブレーキに対応する「795 LIGHT」を選択している。

コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2をメインに、ルック独自のBB規格「BB65」専用となる「ZED」クランクを組み合わせている。ホイールは出場チーム中では唯一となるアメリカンクラシックで、多くのライダーが38mmハイトの「CARBON 38」を使用。タイヤはイタリアのチャレンジだ。

本来内蔵されるはずのDi2ジャンクションは、ステム側面に取付られる本来内蔵されるはずのDi2ジャンクションは、ステム側面に取付られる photo:Makoto.AYANOアメリカンクラシックのホイールに、チャレンジのタイヤを組み合わせるアメリカンクラシックのホイールに、チャレンジのタイヤを組み合わせる photo:Makoto.AYANO


ハンドルとステムはルック795の専用品で、本来ならばステムに内蔵されるはずのDi2ジャンクションは整備性を考慮してか、ステムの側面に取り付けられていた。その他、サドルはセライタリアを、ボトル及びケージは今季からエリートを採用している。



ディレクトエネルジー【BH G7 DISC】

ジュリアン・モリス(フランス、ディレクトエネルジー)のBH G7 DISCジュリアン・モリス(フランス、ディレクトエネルジー)のBH G7 DISC photo:Makoto.AYANO
パリ~ルーベでのアクシデントを受け、この記事が公開された段階でディスクブレーキについては暫定的な使用停止措置が取られているものの、ディレクトエネルジーはシュヘルデプライスとルーベにBH G7 DISCを投入した。このバイクは、ベースとなったG6よりエアロデザインを踏襲し、シマノが提唱するブレーキ台座規格「FlatMount」とスルーアクスル規格「E-Thru」を採用した1台だ。

メインコンポーネントはシマノで、ブレーキは油圧式のDi2対応レバー「ST-R785」にフラットマウント対応キャリパー「BR-RS805」を組み合わせている。ドライブトレインはDURA-ACE Di2をベースに、クランクをFSAのK-FORCEとしている。パワーメーターはクランク式のPower2maxだ。

シマノが提唱するスルーアクスル規格E-Thruを採用するシマノが提唱するスルーアクスル規格E-Thruを採用する photo:Makoto.AYANO油圧ブレーキとDi2シフトに対応対応するST-R785レバー油圧ブレーキとDi2シフトに対応対応するST-R785レバー photo:Makoto.AYANO


足回りは、40mmハイトのヴィジョンMetronホイールに、ハッチンソンのタイヤをアッセンブル。ハンドルとステムはFSA、サドルはプロロゴ、ペダルはルック、ボトル及びケージはタックスとしている。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto