石畳アタック合戦の末にヴェロドロームでのスプリント対決に持ち込まれた第114回パリ〜ルーベ。優勝者マシュー・ヘイマン(オリカ・グリーンエッジ)や、5度目の勝利を逃したトム・ボーネン(エティックス・クイックステップ)らのコメントを紹介します。



1位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

スプリントでボーネンを下したマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)スプリントでボーネンを下したマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waeleまだ信じられない。パリ〜ルーベで勝つなんて現実離れしている。スタートの時点で「今日は君が優勝する」なんて言われても絶対に信じなかったと思う。

石畳のトロフィーにキスするマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)石畳のトロフィーにキスするマシュー・ヘイマン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele5週間前のオンループで右腕を骨折して戦線を離脱。医師にはクラシックシーズンは絶望的と言われたけど、できるだけ早く復帰したいと願いながらローラー台でトレーニングを続けていた。1日に2回はガレージにこもって、自分の世界の中で黙々と漕いでいたんだ。昨年10月に始まったクラシックシーズンに向けての厳しいトレーニングをたった一つの落車で無駄にはしたくなかった。

過去15年間、パリ〜ルーベではツキに見放されていたけど、今日は全てが上手く行った。イェンス・ケウケレールのアシストとして走ったものの、逃げに乗って常にレースを先頭で展開。精神的にも落ち着いていたし、プレッシャーを感じることなく勝負に挑めた。フィニッシュが近づくにつれて信じられない気持ちが増えたけど、同時にリラックスしていたし、レースを楽しんでいる自分がいた。

過去にはオグレディやファンスーメレンがサプライズ勝利を飾っているし、ルーベではアウトサイダーにもチャンスがあるんだ。今日、ヴェロドロームの太陽は自分を照らしていた。今日は自分の出番だった。

石畳では自分のペースで走り続けた。ライバルたちの強力なアタックにも問題なく対処できた。残り1kmの時点では「表彰台に登れたら御の字だ』」と思っていたよ。脚はまだ回っていたし、尊敬するトムと一緒にヴェロドロームに入る感覚は最高だった。

トムが記録を伸ばせなかったことを残念に思う。彼こそがこのレースの王様だ。仮に彼に負けて2位だったとしても幸せだったと思う。彼のファンにも申し訳ないことをしたけど、勝ったのは自分なんだ。

2位 トム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)

先頭グループを形成するトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら先頭グループを形成するトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ら photo:Makoto Ayano5回目のルーベ制覇の目論見は失敗に終わった。先頭でヴェロドロームの最終コーナーに入るつもりだった。あと30m早く仕掛ける予定だったけど、セプ(ファンマルク)が隣にいたので飛び出せなかった。その30mが勝敗を分ける形になった。

ヴェロドロームに向かってアタックするトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ)ヴェロドロームに向かってアタックするトム・ボーネン(ベルギー、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleここにたどり着くまでに沢山の障害物を越えてきた自分を誇りに思う。振り返ってみると困難の連続だった。今朝、アブダビで(側頭骨骨折の)治療を担当してくれた医師からメッセージが届いたんだ。回復に時間がかかるため、本来なら今頃ようやくバイクトレーニングを再開する時期なのにと言われた。だからスケジュールを大幅に前倒ししてレースに復帰したことになる。怪我からここまでパフォーマンスを戻し、勝負に挑むことができて本当に良かった。

チームとしてハードな展開に持ち込めたし、16名が先行してから、協力して後続を引き離すことができた。全力でアシストしてくれたトニ・マルティンの走りは素晴らしかったよ。落車やパンクが続出し、クレイジーで混沌としたいつも通りのパリ〜ルーベだった。

最後に残った先頭5人は誰もが疲れ切っていた。何度かアタックしたものの逃がしてもらえず。その中でマシュー(ヘイマン)は最強だった。自分のリザルトを追い求めず、長年アシストとしてエースに仕えてきた彼の勝利を祝福したい。

2位という結果は来年以降に向けてのモチベーションにつながる。今の段階では、来年またルーベに戻ってきたいと思っている。

3位 イアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)

終盤にアタックするイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ)終盤にアタックするイアン・スタナード(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele表彰台獲得を嬉しく思う。勝利は近くにあるけど、果てしなく遠い。

昨日の雨の影響で石畳はスリッピーだったけど、天候が良かったので観客は多め。セプ(ファンマルク)のアタックは強力だったけど、調子も良かったし、ボーネンらと協力して彼を吸収。今日はボーネンとエドヴァルド(ボアッソンハーゲン)とのスプリントに持ち込みたくなかったからアタックを繰り返した。アタックせずに消極的に走っていればより良い順位が巡ってきたかもしれないけど、それがレースなんだ。

最後は先頭5人全員が限界を迎えていた。ナーバスで、タフなレースだった。本来スプリントで強い選手が勝てないような状況。元チームメイトのマット(ヘイマン)は今でも良き友人であり、スプリントでボーネンに勝つなんてインプレッシブだ。彼が自分を犠牲にしてエースに尽くす姿を見てきただけに、彼の勝利を嬉しく思う。

4位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)

アランベールの森を走るセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ)アランベールの森を走るセプ・ファンマルク(ベルギー、ロットNLユンボ) photo:Makoto Ayanoスペシャルなレースだった。スタートから全開で、精鋭グループに乗っかって先行する理想的な展開だった。一旦はポジションを下げたけど、チームメンバーに助けられて復帰。終盤はサガンのいる集団とのタイム差を確認しながらアタックを処理して、カルフール・ド・ラルブルでアタックした。結果的にライバルたちを引き離せなかったけど、石畳では自分が最強だったと思う。ただ完全に独走に持ち込むには力が足りなかった。

5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

とてもハードなレースだったけど、内容は良かった。トラブルなく終盤の勝負に挑んだものの、特に残り10kmを切ってからのアタック合戦は壮絶で、5位以上の結果は不可能だった。それでもパリ〜ルーベにおける過去最高位であり、結果は悪くない。もちろん表彰台には登りたかったけどね。

9位 イマノル・エルビーティ(スペイン、モビスター)

最後のスプリント勝負に残れなかったことは残念だけど、結果には満足している。チームメイトの力を借りて逃げに乗り、またトップ10内でフィニッシュするなんて。ロンドに続いてルーベでも直前に雨が降ったおかげで空気が澄んでいた。おかげで苦手なアレルギーが抑え込まれたんだ。

ボーネンのグループが後ろから迫っていたので、逃げグループはペースを落とせなかった。ボーネンらが追いついてからは石畳が拷問だった。自分と同じ前半からの逃げメンバーであるヘイマンの勝利を嬉しく思う。

11位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ)

スタート前に「今日は勝てそうか?」なんて質問を何度も受けたけど、パリ〜ルーベは予測不能なレース。すべてのチームがそれぞれの戦略を練ってレースに挑んでいる。歴史ある偉大なレースであり、そう簡単に勝てるものじゃない。

今日は優勝候補2人(サガンとカンチェラーラ)が落車で集団から脱落した一方で、その他のチームは前に人数を残して有利にレースを展開した。アランベールを前に2回目も落車で脚止めを食らったおかげでセカウンドグループに取り残され、そこには協調性がなかった。その時点で集団復帰は難しい状況だった。オスカル(ガット)も激しく落車したし、本当にクレイジーな1日だった。

ファビアン(カンチェラーラ)と協力して前を追いかけたけど、彼が落車してその勢いが止まった。落車した彼を何とかジャンプして飛び越え、運良く落車せずに済んだものの、そこでレースが終わってしまった。

14位 ルーク・ロウ(イギリス、チームスカイ)

モンサン・ぺヴェル手前の落車で脱落し、集団に復帰するために力を使ってしまった。何とか集団に戻ってからヨギ(スタナード)に「今日は君のために走る。だから動きを指示してくれ。その通りに動くから」と伝えた。誰もが次なる一手を待っている状態で、カルフール・ド・ラルブル手前の横風区間で一気にペースを上げた。最後の力を振り絞ってヨギをアシストして、彼がそこからアタック。世界を代表するクラシックレースで表彰台に上った彼を誇りに思う。

40位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)

アランベールの森を抜けるファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)アランベールの森を抜けるファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Makoto Ayano1回目の落車は上手く避けて、畑にジャンプして回避。2回目の落車は運がなかった。そして(モンサン・ぺヴェルでの)3回目の落車は、アイススケートのようにタイヤが滑って、なす術がなかった。そこでルーベが終わった。

モンサン・ぺヴェルで落車したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード)モンサン・ぺヴェルで落車したファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele良い睡眠と良い朝食をとって、全てが順調だった。ポポ(ポポヴィッチ)が逃げに乗る理想的な展開。でも(落車のタイミングでボーネンらが先行して)突然ピンチを迎えた。もちろん集団分裂を元に戻すのは簡単なことじゃないけど、ルーベは他に類を見ないほどタフなレースであり、まだゲームオーバーではなかった。諦めたらそこでレースが終わる。諦めずに戦い続けた。でも3回目の落車の後、10〜15kmにわたって追走してから、もう無理だと判断した。

先週(ロンド)のほうが受け入れがたい結果だった。ヴェロドロームにたどり着いた瞬間に気が緩んだよ。ファンの前での落車はなんてことない。あの落車がキャリアに響くこともないし、今は全てが終わってホッとしている。一緒に最後のルーベを走ったポポとこの瞬間を分かち合いたい。勝利は掴めなかったけど、今夜は彼と祝福したい。勝つ日もあれば負ける日もある。それがスポーツだから。

text:Kei Tsuji
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