前日の第3ステージでエースの座を奪われたミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)が逃げた。何度もアタックを仕掛けて独走に持ち込んだラスムッセンだったが、レース終盤に合流したダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)にステージ優勝を奪われてしまった。

標高2000mオーバーの高地を進む標高2000mオーバーの高地を進む photo:www.vueltaachihuahua.com
中盤に2つのカテゴリー山岳が設定されているが、前日ほど難易度は高くない第4ステージ。前日のステージで、逃げに乗ったグレゴリオ・ラディーノ(コロンビア)にエースの座を奪われてしまったラスムッセンが攻撃に出た。

「今日は怒りに燃えていた。チーム内で最も強いのは私のはずだが、昨日チームは戦略的にミスを犯してしまった(ラディーノが逃げた)。だから今日はもう一度存在感を見せてやろうと考えた」。そう語るラスムッセンは29km地点でアタックを仕掛け、単独エスケープを試みた。

攻撃的なアタックを成功させて単独で逃げるミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)攻撃的なアタックを成功させて単独で逃げるミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック) photo:www.vueltaachihuahua.com独走したラスムッセンは最大3分12秒のリード。しかし横風に伴うメイン集団のペースアップによってタイム差は縮まり、98km地点で一旦吸収されてしまう。横風によって集団は大きく縮小。EQA・梅丹本舗・グラファイトデザインは第1集団に選手を送り損ねてしまった。

一度は捕まってしまったラスムッセンだが、128km地点で再びアタックを成功させて独走スイッチオン。再び2分のリードを築き上げると、集団からはモレーノがカウンターアタックを決め、単独でラスムッセンを追走した。

ゴールまで12kmを残してモレーノは先頭ラスムッセンを捉え、集団を振り切ってゴールへ。最後は2人によるスプリント一騎打ちに持ち込まれたが、「序盤から力を使いすぎた」と振り返るラスムッセンは失速。モレーノが余裕で先頭ゴールを決めた。後続はリーダージャージのオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)を先頭に19秒遅れでゴールした。

優勝したモレーノは山岳力に長けた28歳のオールラウンダーで、昨年ケースデパーニュに移籍し、グランツールではバルベルデの山岳アシストとして活躍。今シーズンツール・ド・ポローニュで総合2位に入っている。

ラスムッセンをスプリントで破ったダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)ラスムッセンをスプリントで破ったダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ) photo:www.vueltaachihuahua.com「2人の一騎打ちはいつでも緊張するけど、今日は比較的簡単に勝てた。総合優勝の可能性が潰えた今、ステージ優勝出来て良かった。これが今シーズン初勝利なんだ。今でも自分がこのチワワで一番強い選手だと思っているよ」と、自信溢れるコメントを残している。モレーノはジャパンカップに来日予定だ。

リーダージャージを守るとともにライバルからタイム差を稼いだセビリャは「しっかりレース状況をコントロール出来ていた。何と言ってもマンセーボという最高の相棒がいるんだ。本当に心強いよ。まだ決まった訳じゃないけど、大会制覇に一歩近づいた」と語っている。

リーダージャージを着るオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)リーダージャージを着るオスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング) photo:Cor Vos集団分裂の影響で大きく遅れたEQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン勢は、ギヨーム・ポン(フランス)が15分遅れの第4集団、他の5名は一番大きなグルペット集団でゴールした。残りの2ステージで巻き返しを図る。

【浅田監督コメント】
結果的に今日が一番厳しいステージとなった。チームは全体的に集団待機の姿勢だったがそれが裏目に出て位置取りで失敗した。今日は良いところが無かったが、その分当初から狙っている残りの2ステージでよい結果を残したい。

【ギーヨム・ポンのコメント】
今日は強風の中、完全に位置取り争いで負けてしまった。援護してくれるはずのチームメイトも周りに残れず取り残されてしまう結果となった。昨日は良いポジションで峠を越えられていて自分の力を信じていただけに悔しい。

レース展開ならびに選手コメントはレース公式サイト、チーム公式サイトより。


ブエルタ・チワワ2009第4ステージ結果
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)4h17'32"
2位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)+02"
3位 オスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)+19"
4位 ミシェル・クレダー(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)
5位 フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)+22"
6位 ヘスス・デルネロ(スペイン、フジ・セルヴェット)
7位 ファンホセ・コーボ(スペイン、フジ・セルヴェット)
8位 グレゴリオ・ラディーノ(コロンビア、テコス・トレック)
9位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+24"
10位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク・コンチネンタル)

31位 ギヨーム・ポン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+15'42"
71位 中島康晴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+28'51"
81位 グレゴール・ガズヴォダ(スロベニア、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
82位 清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
83位 ミカエル・ダミアン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)
93位 宮澤崇史(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+24'16"

個人総合成績
1位 オスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)14h50'19"
2位 グレゴリオ・ラディーノ(コロンビア、テコス・トレック)+06"
3位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ケースデパーニュ)+1'03"
4位 ダリオダヴィデ・チオーニ(イタリア、ISD)+5'13"
5位 ダニエル・モレーノ(スペイン、ケースデパーニュ)+7'18"
6位 ミカエル・ラスムッセン(デンマーク、テコス・トレック)+7'20"
7位 フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)+7'39"
8位 ヘスス・デルネロ(スペイン、フジ・セルヴェット)+7'54"
9位 エセキエル・モスケラ(スペイン、シャコベオ・ガリシア)+7'58"
10位 アルベルト・ロサダ(スペイン、ケースデパーニュ)+8'01"

27位 ギヨーム・ポン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+24'12"
54位 グレゴール・ガズヴォダ(スロベニア、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+49'10"
64位 宮澤崇史(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+55'46"
66位 清水都貴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+56'33"
89位 ミカエル・ダミアン(フランス、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+1h07'02"
90位 中島康晴(日本、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)+1h08'03"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, www.vueltaachihuahua.com