午前のロードレースでマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)がスプリント勝利。午後の最終個人タイムトライアルで4位に入ったリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)が逆転でデパンヌ・コクサイデ3日間レース総合優勝を飾った。



第3aステージ 大戦の名残がフランドル地方に点在する第3aステージ 大戦の名残がフランドル地方に点在する photo:Tim de Waele


第3aステージ デパンヌ最終日を走るマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)第3aステージ デパンヌ最終日を走るマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele例年通りデパンヌ・コクサイデ3日間レースの最終日は111.5kmのロードレース(第3aステージ)と14.2kmの個人タイムトライアル(第3bステージ)の2レースが行われる。いずれもデパンヌを発着する平坦コースだ。

第3aステージ スプリント勝利したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)第3aステージ スプリント勝利したマルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele午前中に行われたロードレースは7名が先行する展開になるも、距離の短さからタイム差は広がらない。逃げグループは残り6kmで吸収され、続いてカウンターアタックを仕掛けたケニース・ファンビルセン(ベルギー、コフィディス)も残り3kmで捕らえられる。

第3bステージ トップタイムで勝利したマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ)第3bステージ トップタイムで勝利したマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ) photo:Tim de Waeleこの日も人数を揃えてリードアウトトレインを走らせたのはエティックス・クイックステップだった。カチューシャと主導権を奪い合いながらフラムルージュ(残り1kmアーチ)を通過。残り350mの直角右コーナーで集団落車が発生したため後方のスプリンターは脱落する。前日の優勝者エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)はここでチャンスを失った。

第3bステージ 2位に入ったトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)第3bステージ 2位に入ったトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waeleジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、カチューシャ)に最終ストレートで発射されたリーダージャージのアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)が好位置からスプリント。総合優勝を狙うクリストフがステージ2勝目に向かって突き進んだものの、キッテルが持ち前のスピードで追い抜く。最後まで伸び続けたキッテルが先着した。

第3bステージ 最終タイムトライアルを走るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)第3bステージ 最終タイムトライアルを走るエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Tim de Waele今シーズン6勝目を掴んだキッテルは「昨日の敗北の埋め合わせになる勝利。エティックス・クイックステップ加入後のここまでの成績には満足している。次なる目標である手ヘルデプライスとジロ・デ・イタリアに向けて自信になる勝利だ」とコメント。エティックス・クイックステップはベルギーレースで久々の勝利。シーズン勝利数をUCIワールドチームの中で断トツの19勝まで伸ばしている。

第3bステージ 逆転をかけて走るリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)第3bステージ 逆転をかけて走るリエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ) photo:Tim de Waeleボーナスタイムを獲得したクリストフはアレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)から7秒、リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)から12秒の総合リードで最終個人タイムトライアルに挑むことに。

第3bステージ リーダージャージを着て走るアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)第3bステージ リーダージャージを着て走るアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele連続コーナーと直線路で構成された14.2kmコースで最速タイムを叩き出したのはマチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ)。平均スピード48.27km/hで17分39秒のトップタイムをマークしたボドナールが、トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)とトム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)を0秒以下の僅差で下した。

最終走者クリストフはステージ8位(28秒遅れ)に入ったものの、総合3位ヴェストラがステージ3位(3秒遅れ)と好走。クリストフは総合リードを守りきることができず、ヴェストラが最終的に13秒リードで総合優勝に輝いた。

「とても神経質になったよ。ステージ優勝者ボドナールには3秒及ばなかったものの、クリストフから重要な25秒リードを奪うことができた」とヴェストラ。ステージ7位に入って総合3位をキープしたチームメイトのルトセンコとともに総合表彰台に上った。

大会連覇を逃したクリストフは「もちろん総合優勝したかったけど、ヴェストラは優れたTTスペシャリストであり、自分の走りには満足している」とコメントする。

「コンディションは日に日に上がっており、ステージ優勝と2回のステージ3位、そして総合表彰台は悪くない結果。正直言うと昨年の方がコンディションは良かったし、日曜日(ロンド)の優勝最有力候補とは言えないだろう。カンチェラーラやサガン、ファンアフェルマートの方が有力だと思う」。発熱によってヘント〜ウェヴェルヘムを欠場したクリストフ。コンディショニングが遅れたものの、ロンド・ファン・フラーンデレンに向けて回復傾向にある。

選手コメントは各チーム公式サイトより。



デパンヌ・コクサイデ3日間レース総合表彰台デパンヌ・コクサイデ3日間レース総合表彰台 photo:Tim de Waele


デパンヌ・コクサイデ3日間レース2016第3aステージ
1位 マルセル・キッテル(ドイツ、エティックス・クイックステップ)    2h27’03”
2位 フィル・バウハウス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
4位 アモリー・カピオ(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
5位 ルーカ・メスゲツ(スロベニア、オリカ・グリーンエッジ)
6位 マルク・サロー(フランス、FDJ)
7位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、コフィディス)
8位 エリック・バスカ(スロバキア、ティンコフ)
9位 ライモント・クレダー(オランダ、ルームポット・オラニエ)
10位 マルコ・クンプ(スロベニア、ランプレ・メリダ)
63位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)            +38”

デパンヌ・コクサイデ3日間レース2016第3bステージ
1位 マチェイ・ボドナール(ポーランド、ティンコフ)           17’39”
2位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)
3位 トム・ボーリ(スイス、BMCレーシング)
4位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)              +03”
5位 ヨアン・レボン(フランス、FDJ)                   +19”
6位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)      +22”
7位 アレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)           +24”
8位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)        +28”
9位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)            +29”
10位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)    +31”
76位 小石祐馬(日本、NIPPOヴィーニファンティーニ)          +2’03”

個人総合成績
1位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、アスタナ)            12h08’19”
2位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)        +13”
3位 アレクセイ・ルトセンコ(カザフスタン、アスタナ)           +16”
4位 トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)      +35”
5位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)      +59”
6位 ルーク・ダーブリッジ(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)   +1’04”
7位 ステファン・キュング(スイス、BMCレーシング)           +1’06”
8位 マッズ・ペデルセン(デンマーク、ストルティングサービス)      +1’19”
9位 ニルス・ポリット(ドイツ、カチューシャ)
10位 ヨアン・レボン(フランス、FDJ)

ポイント賞
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)

山岳賞
1位 ロイック・フリーゲン(ベルギー、BMCレーシング)

スプリント賞
1位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、チームスカイ)

チーム総合成績
1位 アスタナ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele