ゴールに辿り着いたのはわずか28名。過酷な消耗戦の末、独走でフィニッシュラインを切ったのはオランダナショナル王者のニキ・テルプストラだった。持ち前の独走力を活かし、今季初勝利を飾った。
石畳を走るメイン集団 photo:CorVos
パヴェでアタックを仕掛けるニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosUCI1.1にカテゴライズされるセミクラシックレース、ル・サミン。ベルギーのワロン地方で開催される定番レースで、地理的にもルーベなどから近くコースも類似するため、調整を兼ねて多くの選手が参加することが通例だ。
独走でゴールに飛び込むニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVos
積極的に動いたフロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス) photo:CorVos48回目の大会に参加したのは7のUCIワールドチーム(ロット・ソウダル、AG2R、BMC、エティックス、FDJ、カチューシャ、ロットNLユンボ)を筆頭とした25チーム。基本的には平坦基調ながら三ツ星難易度のパヴェ(石畳)や急坂が登場し、ゴールはパヴェをクリアして3km後の緩やかな登坂をクリアした先にある。
小集団スプリントでの決着が通例であるため、地元のスター選手であるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)らスプリント力のあるクラシックハンターがエースナンバーを背負ったが、今年は過酷な天候が各チームの戦略を打ち砕くことに。
嵐のような強風と冷雨が入り混じるコンディションの中、各チームの激しいアタックと共にレースは幕開ける。決定的な逃げが決まらないまま集団はいくつにも分かれ、コース中盤からの周回コース(4ラップ)に入る頃にはジルベールを始め、半数以上の選手がリタイアを選択する事態に。あまりの悪条件に、最終的な完走人数は28名にまで絞られた。
何度か15名ほどが先行を試みたものの、決定的な差は生まれない。そして集団の人数が30名ほどまでに絞られた残り30km、ニルス・ポリット(ドイツ、カチューシャ)が単独アタックを試みた。
やがて勢いを失いはじめたポリットだが、後方からフロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス)が合流したことで再び15秒ほどのリードを稼ぎ出す。しかし10名ほどの追走グループも2名を見過ごさず、ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)とスコット・スウェイツ(イギリス、ボーラ・アルゴン18)、ディラン・グルーネウェーゲン(オランダ、ロットNLユンボ)という3名が合流。しかし悪天候に協調体制が取れず、再び後続グループの合流を許してしまう。
消耗戦を経て戦略的に動けるチームは存在せず、選手個々の力が試される状況に。そんな中、グルーネウェーゲンの加速を発射台にテルプストラが仕掛けた。
唯一番手についたスウェイツを牽き千切り、残り15kmから独走態勢に持ち込んだテルプストラ。スウェイツも粘り強く単独追走を試みるも、距離を重ねるごとにオランダナショナルチャンピオンとの距離は開いていく。登りやパヴェでもテルプストラの勢いは弱ることなく、結局スウェイツを19秒引き離してゴールに飛び込んだ。
今シーズン1勝目を挙げたテルプストラは「レース序盤から最後まで本当に厳しいレースだったし、特にラスト10kmは最も苦しんだ。スウェイツから15秒差を維持できていたし、全力で攻め続けなければならないとも分かっていた。さらに残り3kmからは登坂で、しかも向かい風という最悪な状況。天候は美しくも厳しかったけれど、とにかくこの勝利は嬉しい」とレースを振り返る。今後はロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに連戦出場する予定だ。
ル・サミン2016表彰台。ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)が中央に立つ photo:CorVos
ル・サミン2016結果
text:So.Isobe
photo:CorVos




小集団スプリントでの決着が通例であるため、地元のスター選手であるフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシング)やジュリアン・アラフィリップ(フランス、エティックス・クイックステップ)、スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)らスプリント力のあるクラシックハンターがエースナンバーを背負ったが、今年は過酷な天候が各チームの戦略を打ち砕くことに。
嵐のような強風と冷雨が入り混じるコンディションの中、各チームの激しいアタックと共にレースは幕開ける。決定的な逃げが決まらないまま集団はいくつにも分かれ、コース中盤からの周回コース(4ラップ)に入る頃にはジルベールを始め、半数以上の選手がリタイアを選択する事態に。あまりの悪条件に、最終的な完走人数は28名にまで絞られた。
何度か15名ほどが先行を試みたものの、決定的な差は生まれない。そして集団の人数が30名ほどまでに絞られた残り30km、ニルス・ポリット(ドイツ、カチューシャ)が単独アタックを試みた。
やがて勢いを失いはじめたポリットだが、後方からフロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス)が合流したことで再び15秒ほどのリードを稼ぎ出す。しかし10名ほどの追走グループも2名を見過ごさず、ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)とスコット・スウェイツ(イギリス、ボーラ・アルゴン18)、ディラン・グルーネウェーゲン(オランダ、ロットNLユンボ)という3名が合流。しかし悪天候に協調体制が取れず、再び後続グループの合流を許してしまう。
消耗戦を経て戦略的に動けるチームは存在せず、選手個々の力が試される状況に。そんな中、グルーネウェーゲンの加速を発射台にテルプストラが仕掛けた。
唯一番手についたスウェイツを牽き千切り、残り15kmから独走態勢に持ち込んだテルプストラ。スウェイツも粘り強く単独追走を試みるも、距離を重ねるごとにオランダナショナルチャンピオンとの距離は開いていく。登りやパヴェでもテルプストラの勢いは弱ることなく、結局スウェイツを19秒引き離してゴールに飛び込んだ。
今シーズン1勝目を挙げたテルプストラは「レース序盤から最後まで本当に厳しいレースだったし、特にラスト10kmは最も苦しんだ。スウェイツから15秒差を維持できていたし、全力で攻め続けなければならないとも分かっていた。さらに残り3kmからは登坂で、しかも向かい風という最悪な状況。天候は美しくも厳しかったけれど、とにかくこの勝利は嬉しい」とレースを振り返る。今後はロンド・ファン・フラーンデレンとパリ〜ルーベに連戦出場する予定だ。

ル・サミン2016結果
1位 ニキ・テルプストラ(オランダ、エティックス・クイックステップ)
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ボーラ・アルゴン18)
3位 フロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス)
4位 ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ニルス・ポリット(ドイツ、カチューシャ)
6位 ディラン・グルーネウェーゲン(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)
8位 ティム・デクレルク(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
9位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ロットNLユンボ)
10位 トニ・ウレル(フランス、ディレクトエネルジー)
2位 スコット・スウェイツ(イギリス、ボーラ・アルゴン18)
3位 フロリアン・セネシャル(フランス、コフィディス)
4位 ロイック・ヴリーヘン(ベルギー、BMCレーシング)
5位 ニルス・ポリット(ドイツ、カチューシャ)
6位 ディラン・グルーネウェーゲン(オランダ、ロットNLユンボ)
7位 スヴェンエリック・ビストロム(ノルウェー、カチューシャ)
8位 ティム・デクレルク(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
9位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ロットNLユンボ)
10位 トニ・ウレル(フランス、ディレクトエネルジー)
4h52’52”
+19”
+37”
+44”
+46”
+48”
+1’00”
+19”
+37”
+44”
+46”
+48”
+1’00”
text:So.Isobe
photo:CorVos
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