チームスカイのマヨルカ島キャンプを訪問した宮澤崇史さん。今回は専属料理人が語る食へのコダワリを紹介する。すべてのステージレースにシェフが帯同するという徹底ぶりだ。


チームスカイの専属料理人、ヘンリック・オレ氏と、ジェームズ・フォルシス氏チームスカイの専属料理人、ヘンリック・オレ氏と、ジェームズ・フォルシス氏 photo:Makoto.AYANO
今までにも、ツール・ド・フランスなどのビッグレースに調理のできるキッチントラックを随行させてたチームはいつくかあった。昨年のサクソ・ティンコフもそのひとつだった。しかしチームスカイは今季、プロチームで初めて専属コックをステージレースにフルタイム帯同させるという。基本的には「1週間以上の単位で開催されるステージレースにはすべて」だ。

チームの食へのこだわりをたっぷりと語ってくれたチームの食へのこだわりをたっぷりと語ってくれた photo:Makoto.AYANOニュートリション(栄養)担当の料理人、ヘンリック・オレ氏と、ジェームズ・フォルシス氏がチームスカイの食へのこだわりを話してくれた。ともにレストランで長年の調理経験を持ち、さらにスポーツ・ニュートリション(栄養学)をマスターしたシェフだ。

チームには調理専用のトラックが導入され、もはやホテル側で用意された食事を食べなくても良い環境が整った。今まで、チームが滞在するホテルは、チーム側からの食事に関するリクエストを受け、それに近い食事を提供してくれていた。もちろんそれには感謝しなくてはならない。しかし、スポーツ専門の料理人でないホテルのコックがつくる食事は、完璧とはいえなかった。そこに目をつけたのが、妥協を許さないチームスカイだ。

ホテル側の用意してくれる料理は、選手が食べたいものや量がどうしてもイメージとは異なり、今までは選手が我慢して食べることがあったのが現実だ。しかしチーム専属の料理人が常時帯同することで、選手にとって必要な栄養素をストレスなく食べることができるようになる。

オーガニックで美味しそうな料理が並ぶオーガニックで美味しそうな料理が並ぶ photo:Makoto.AYANO
チームスカイのキッチントラックは1台。スカイのようなワールドツアーチームではステージレースが重なることがある。例えばパリ〜ニースとティレーノ・アドリアティコ。どちらにキッチンカーを派遣するかは協議するが、料理人は分かれて派遣される。カーの派遣はヨーロッパ大陸以外には無理だとのこと。

シェフが説明するチームスカイの食へのコダワリ。それは、「徹底して素材としての素性が良い食材を仕入れ、シンプルながらも自然に近い調理法で、素材の良さを引き立てる料理として出すこと」だと言う。たっぷりの野菜と、魚、肉、レース中の燃料となる炭水化物をパスタなどで供する。「必要とされる量だけでなく、料理店のような美味しさにこだわり、食べる喜びを感じてもらうことが大切だ」と言う。

栄養素補給としてだけでなく、味にもこだわると言うのだ。つまり、食は単なる「燃料補給」ではないのだ。

見ただけで食材から厳選されたものであることが分かる見ただけで食材から厳選されたものであることが分かる photo:Makoto.AYANOダリオダヴィデ・チオーニ監督が経営する畑で造られる一級品のオリーブオイルと、手の消毒液がテーブルに並ぶダリオダヴィデ・チオーニ監督が経営する畑で造られる一級品のオリーブオイルと、手の消毒液がテーブルに並ぶ photo:Makoto.AYANO


さらにレース中の食事としてのアレンジは、走るステージごとの違い、例えば難関山岳ステージなど肉体的にも厳しい、筋肉に大きな負荷がかかる日の夕食はダメージを受ける筋肉のリカバリーのために十分な量の良質なタンパク質を摂取できるように、などと走る内容に応じた量・栄養素の調整を加えるのだと言う。

そしてふたりのシェフが言う「私たちチームSKYでは、選手とスタッフは同じものを食べている」という言葉にもびっくりした。

バナナなどのフルーツやシリアル類も常時用意されているバナナなどのフルーツやシリアル類も常時用意されている photo:Makoto.AYANO普通スタッフにとっては食事の場はストレスを発散する場であったり、選手の立場から見れば「ジャンキーなもの」を好んで食べることもあるが、チームスカイのシェフたちは「それはしない」と言う。スタッフも選手と同じものを、選手たちと一緒に食べるのだという。

3週間のグランツール後半では、なるべく胃腸に負担のかからない消化の良いものがレース食として出されるが、そういったものをスタッフも共に食べることで、一緒にレースを戦っているのかもしれない。

そして、トレーニング中であってもこだわりはある。普段はバランスの良い食事を出すことを心がけるが、合宿後半や疲労が溜まった時には無理に食べさせず、選手の要望を聞いたり、見た目にもナイスなデザートを出し、選手の気持ちをリラックスさせることも忘れないのだと言う。

補給食はSISを使用。私・宮澤も選手時代に摂り馴れた製品群だ補給食はSISを使用。私・宮澤も選手時代に摂り馴れた製品群だ photo:Makoto.AYANOそして、シェフからの一方的な押し付けにならないように、シーズンオフや選手がレースを離れる期間がある場合は、好きなものを食べてもらうためにも、選手のリクエストを聞く事が多々ある、とのことだ。例えばクリス・フルームはハンバーガーが大好きだし、たまにはそういったものを出すこともあるそうだ。

このあたりのさじ加減は選手自身に任せてしまうと、とりとめなく食べてしまうことがあるが、料理人がコントロールすることによって、罪悪感もなくリラックスして食べられる。というわけだ。

「とくにフルームは普段から食事にはかなり気をつけていて、ハードなトレーニングの後でも自分をコントロールし、家に帰ってもそのスタイルは変わらない」と言う。例えばある日、トレーニングを終えたフルームの食事がゆで卵と野菜だけだったことがある。フルームはその時、体重を絞る時期だったのかもしれないが、シェフから見て、その神経の遣いようは尋常ではないと言う。

やはりトップ選手はトレーニングの内容が最も大事だが、日々の食事であっても、小さなことに気遣っているのだな、と感じた。

日本ではどうしてもダイエットしていることが前に出てしまって、トレーニングの内容の話にならないことが多い。それは、我慢していることが素晴らしいという文化がまだ残っているからなのだろう。

TV局も訪れて番組を収録していたTV局も訪れて番組を収録していた photo:Makoto.AYANOワウト・ポエルスの顔プレート。何かの好き・嫌いQ&A番組だろうか?(笑)ワウト・ポエルスの顔プレート。何かの好き・嫌いQ&A番組だろうか?(笑) photo:Makoto.AYANO


世界のトップ選手は驚くほどたくさん食べる。食べることは身体のバランスを良くし、力を発揮する栄養素になる。たくさん食べることによって可能になるトレーニングをハードに行うなかで、ストレス無く身体が自然と絞れていき、パワーを落とさず体作りができるベースがあって初めて、こういったチームの調理人からも多くのことを学んで家で実践しているのだろう。

チームスカイの専属料理人、ヘンリック・オレ氏と、ジェームズ・フォルシス氏とチームスカイの専属料理人、ヘンリック・オレ氏と、ジェームズ・フォルシス氏と photo:Makoto.AYANO二人のシェフの話は、「選手を調理スタッフのコントロール下に置く」というイメージよりも、選手を支えるスタッフでありたい、というこだわりが印象として強く残った。

この日の体験は、「一度はすべてのチームの食事を体験して、比べてみたい!」そんな気持ちにさせてくれるものだった。

スタッフ1人1人がプロフェッショナルだからこそ、チーム全体の雰囲気がよくなり、最高のパフォーマンスを発揮する。スーパーエースが居さえすれば勝てるほど甘くないはないことが、チームスカイ全員の仕事ぶりを見ているうちに知ることができた。


文:宮澤崇史
写真:綾野 真
story:Takashi.MIYAZAWA
photography&edit:Makoto.AYANO



宮澤崇史さん宮澤崇史さん photo:Makoto.AYANO宮澤崇史プロフィール
1978年2月27日生まれ 長野県出身 自転車プロロードレーサー(2014年引退)
高校卒業後、イタリアのチームに所属しロードレーサーとしての経験を積む。しかし23歳の時に母に肝臓の一部を生体移植で提供、成績振るわず戦力外通告によりチーム解雇される。その後フランスで単独活動、オリンピック出場や 日本チャンピオン、アジアチャンピオンなど実績を重ねる。イタリアのアミーカチップス、ファルネーゼヴィーニを経て34歳の時にUCIプロチーム サクソバンクに所属。在籍中にリーダージャージ(個人総合時間賞)・ポイントジャージ(スプリントポイント賞)に日本人選手として唯一袖を通した。18年間の海外レース活動を経て、2014年に引退。現在はチームマネジメントやコーチング、スポーツサイクリング関連のアドバイザーやメディア出演など多方面で活躍。

【主な戦歴】
2006年〜2007年 ツール・ド・おきなわ 大会史上初の2年連続優勝
2007年 アジア選手権ロード優勝 アジアチャンピオン
2008年 北京オリンピック出場
2008〜2009年 ツール・ド・北海道 大会史上初2年連続総合優勝
2010年 全日本選手権ロードレース優勝
2010年 アジア大会ロード出場(アジアオリンピック)銀メダル獲得

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