ツアー・オブ・オマーン初登場のKOMクリヤット山頂フィニッシュ。先頭で頂上にやってきたのはクライマーではなくスプリンターだった。ステージ優勝したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が総合首位に立っている。



巨大なモスクに向かってプロトンは進む巨大なモスクに向かってプロトンは進む photo:Tim de Waele
道幅のある幹線道路を走る道幅のある幹線道路を走る photo:Tim de Waele赤いリーダージャージを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)赤いリーダージャージを着るボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ) photo:Tim de Waele


ツアー・オブ・オマーン2016第2ステージツアー・オブ・オマーン2016第2ステージ image:Tour of Omanツアー・オブ・カタールの個人タイムトライアルで圧勝し、総合優勝を目前にしながら不運な第4ステージのパンクでチャンスを失ったボアッソンハーゲンが、オマーンで再びその調子の良さを見せている。初登場KOMクリヤット(登坂距離2.8km/平均勾配6.5%)の山頂フィニッシュでノルウェーチャンピオンがクライマーたちに勝負を挑んだ。

最大4分15秒のリードを得た逃げグループ最大4分15秒のリードを得た逃げグループ photo:Tim de Waeleレースはピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)やアレクサンダー・カンプ(デンマーク、ストルティングサービス)らUCIプロコンチネンタルライダー6名が逃げ、リーダージャージ擁するエティックス・クイックステップが追いかける展開。最大4分15秒まで広がったタイム差は、マスカット南方の内陸部を進むうちに削り取られていく。

オマーン内陸部の幹線道路を進むオマーン内陸部の幹線道路を進む photo:Tim de Waele分裂しながらも逃げ続けたカンプ(敢闘賞獲得)らだったが、残り20kmでメイン集団に飲み込まれる。そこから追い風を利用したペースアップが始まり、リッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)やダニエル・マーティン(アイルランド、エティックス・クイックステップ)が中切れの犠牲に。先行した約50名の先頭集団がKOMクリヤットに突入した。

追い風に乗って50名の集団が先行する追い風に乗って50名の集団が先行する photo:Tim de Waeleディメンションデータが先頭で淡々とハイペースを刻むと、集団の人数は徐々に絞られていく。我慢比べの末、頂上まで1kmを残してついにリーダージャージのボブ・ユンヘルス(ルクセンブルク、エティックス・クイックステップ)は脱落。そこからステージ優勝を懸けた戦いが始まる。

山頂フィニッシュを制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)山頂フィニッシュを制したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele残り500mで口火を切ったのはドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)で、これにはヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)がすかさず反応する。しかしその後ろには常にボアッソンハーゲンの姿が。先行した9名によるスプリントが始まると、残り100mで仕掛けたボアッソンハーゲンに敵う者はいなかった。

トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)が6秒遅れ、リーダージャージのユンヘルスが59秒遅れでフィニッシュする中、並み居るクライマーを下したボアッソンハーゲンが勝利。ボーナスタイムによってボアッソンハーゲンがカタールに続くリーダージャージ着用を決めている。

「チームの力を借りながら集団前方のポジションをキープして最後の登りへ。タイラー(ファラー)が登り口まで牽引して、そこからネイサン(ハース)にバトンタッチ。登坂中は誰もアタックできない絶妙なテンポで集団を引き続けた。ヨウセフ(レグイグイ)とジャック(ヤンセファンレンズバーグ)が常に傍でサポートしてくれた。チーム全体が一丸となって掴んだ勝利だけに嬉しいよ」と、新リーダーのボアッソンハーゲンは語る。

第2ステージを終えてボアッソンハーゲンはニーバリから4秒、グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)から6秒の総合リードを得ている。第4ステージのKOMジャバル・アル・アクダル(通称グリーンマウンテン 登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)山頂フィニッシュではクライマー勢に太刀打ちできないと見られているが、その先に待つクラシックシーズンで主役を担うと見て間違いなさそうだ。

選手コメントはチーム公式サイトより。



総合首位に立ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)総合首位に立ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele



ツアー・オブ・オマーン2016第2ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)  4h12’00”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
5位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
6位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、エティックス・クイックステップ)
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
9位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
10位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)          +06”

個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)  7h49’31”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)              +04”
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング)         +06”
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ)           +08”
6位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)      +10”
7位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
8位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
9位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
10位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)          +16”

ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

ヤングライダー賞
1位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)

総合敢闘賞
1位 アレクサンダー・カンプ(デンマーク、ストルティングサービス)

チーム総合成績
1位 ディメンションデータ

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele