勝負のキーは砂浜のライン。「重いけれど最短」ラインを踏み抜いた全米王者のジェレミー・パワーズが食らいつく小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)を振り切り優勝。CL1では全日本王者の坂口聖香(パナソニックレディース)が圧勝を飾った。


エリート男子スタート前エリート男子スタート前 photo:Kei Tsuji / CX TOKYO

エリート男子 早くも先頭に立つジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)エリート男子 早くも先頭に立つジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOエリート男子 1周目からアグレッシブに走った竹之内悠(Toyo Frame)エリート男子 1周目からアグレッシブに走った竹之内悠(Toyo Frame) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOエリート男子 ジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)と竹之内悠(Toyo Frame)エリート男子 ジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)と竹之内悠(Toyo Frame) photo:So.Isobe「一度砂のラインを間違えただけで5秒から10秒は開いてしまうんです。砂が昨日よりも固く乗車率が高かったので、ワンミスが命取りになってしまうようなレースでした」。真新しい東洋フレームのジャージを着た竹之内悠はそのようにレースを振り返る。

エリート男子 特別ジャージで3位を走るベン・ベルデン(ベルギー、W-cup)エリート男子 特別ジャージで3位を走るベン・ベルデン(ベルギー、W-cup) photo:So.Isobe午前中に吹き荒れた嵐はエリート選手の試走前に露と消え、大量に降り注いだ雨粒は砂浜区間を硬く締め上げた。潮の引いた波打ち際には幾つものラインが現れ、林間区間はスリッピーな泥コンディションに。エリート選手たちは飛ぶようなスピードを披露し、15000人(公式発表)というギャラリーを大きく沸かせることとなる。

2日間のシクロクロス東京の最終レース、エリート男子のレース時間は60分。国内外の招待選手とJCXランキングで上位につける選手を合わせた31名が13時40分、号砲と共にお台場の砂浜へ弾けるように飛び出した。

ホールショットを獲ったギャリー・ミルバーン(オーストラリア、トレック・チャンピオンシステム)に代わり、先頭に立ったのは全米王者のジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)と全日本王者の竹之内悠(Toyo Frame)だった。

1周目、既に後続との差を付け始めた日米王者。次いで砂を得意とするベン・ベルデン(ベルギー、W-cup)が一定間隔で追走し、3連覇が懸かったザック・マクドナルド(ストリームライン・インシュアランスサービス)はシートポストの脱落によって後方に沈んでしまう。

2013年大会の焼き直しかのように、後続を引き離しにかかると思われた先頭2名。しかし両者ともに暑さによって思うようにペースが上がらない。一時パワーズがリードを得たものの再びパックとなり、中盤を過ぎる頃には後方からベルデンと小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)が間隔を詰めてきた。

各選手が前ジッパーを大きく開けて走るほどの高気温の中、残り3周回で「砂に合わせてタイヤを1.2気圧にセッティングしたので、林間区間で何度もミスをしてしまった」と言うベルデンに代わって小坂が3位に浮上し、1〜4位がおよそ20m以内にまで急接近。すると小坂が一気に先頭に立ち、この加速にたまらずベルデンが脱落。勝負は小坂、竹之内、パワーズに委ねられた。

エリート男子 フライオーバーを越える竹之内悠(Toyo Frame)ら3名エリート男子 フライオーバーを越える竹之内悠(Toyo Frame)ら3名 photo:Kei Tsuji / CX TOKYO

エリート男子 最終周回に先頭に立った小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)エリート男子 最終周回に先頭に立った小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOエリート男子 小坂光を追うジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)エリート男子 小坂光を追うジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOエリート男子 最後の砂浜セクションを走るジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)エリート男子 最後の砂浜セクションを走るジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)と小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム) photo:Kei Tsuji / CX TOKYO残り2周回の砂浜区間、「東京では今まで良い走りができていなかったのですが、今日は違った。自分のラインで走れたし、落ち着いて走ることができました」と言う小坂がリードするその後ろで竹之内が痛恨のミス。3番手にいたパワーズもストップを喫し、宇都宮応援団の声援に後押しされた小坂を先頭に最終周回の鐘が鳴る。

エリート男子 小坂光を振り切ったジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)エリート男子 小坂光を振り切ったジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング) photo:Kei Tsuji / CX TOKYO15秒ほどのビハインドを負ったパワーズと竹之内だったが、ここから全米王者が巻き返しを図る。全開で加速したパワーズは竹之内を切り離すと、最後の砂浜に突入する頃には遂に小坂を射程圏内に捕らえた。

砂浜区間で小坂はこれまでと同じように抵抗の少ない轍を選んだが、パワーズはあえてトルクを要求される水際の最短ラインをチョイス。「今日一番の高出力で踏んだ」と言うパワーズが先頭に立ち、必死の形相で食らいつく小坂を従えてラインが限定されたシングルトラックをクリア。最後のストレートで小坂が踏み込むも届かず、パワーズが2013年に続く2度目のCX東京優勝を成し遂げた。

「最初から独走に持ち込むつもりだったけれど、レース中盤に暑さにやられて脚が攣ってしまい、無理をせずにペースを抑えて様子を見ることにした」とパワーズはレースを振り返る。「途中で砂浜での自分のラインが間違っていることにも気づいた。ベンが途中追いついてきたのが何故か分からなかったから、彼の走りを観察した。僕は水際の最短ラインを使っていたけれど、最速は乾いた高いラインだった。でも最終周はあえて低いラインを選んだ。それが勝因につながった」とも。

最終盤に日本人初優勝を期待させる走りを見せた小坂は「森林区間では優勢でしたが、やはりパワーで負けていた。最後にリードしたからといって気を抜くことはできませんでした」と悔しさをにじませつつコメントする。小坂はこのレースをもってJCXシリーズランキングの総合優勝に輝いている。

15000人というギャラリーを沸かせた、CX東京史上最も激しい展開のレース。2枚目のチャンピオンジャージを受け取ったパワーズは、「シクロクロスという競技にこれだけ多くの観客が集まったことはとても良いことだ。駆け引きの面白さも知ってもらえたと思うし、僕にとっても貴重な経験になった。また東京や野辺山でレースをするために戻ってきたい」と、ファンへの感謝と共に会場を後にした。

周回が短いことに加え、レース先頭が高速化した影響で、トップと同周回でレースを終えたのは僅かに9名。4位ベルデンの後ろではギャリー・ミルバーン(オーストラリア、トレック・チャンピオンシステム)が入り、ティム・アレン(アメリカ、フィードバックスポーツ)が6位。以降は丸山厚(BOMA RACING)、門田基志(TEAM GIANT)、前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)が続いた。


エリート男子 トップスリーによるビールファイトエリート男子 トップスリーによるビールファイト photo:Kei Tsuji / CX TOKYO
レインボーブリッジを背にした表彰式レインボーブリッジを背にした表彰式 photo:Kei Tsuji / CX TOKYOJCXシリーズのC1年間ランキング表彰JCXシリーズのC1年間ランキング表彰 photo:Kei Tsuji / CX TOKYO


CL1スタートCL1スタート photo:Kei Tsuji / CX TOKYOCL1 泥に覆われた林間セクションを走る坂口聖香(パナソニックレディース)CL1 泥に覆われた林間セクションを走る坂口聖香(パナソニックレディース) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOエリート男子に先立って開催されたCL1にも全日本選手権さながらの20名が集い、ハイレベルな戦いを繰り広げることになった。

号砲と共に、今週木曜日から渡米しメンバーとして走るアメリカのチームジャージを着用した與那嶺恵理(フォルツァ・ヨネックス)や武田和佳(Liv)らが先頭に立つも、すぐに全日本チャンピオンジャージを着る坂口聖香(パナソニックレディース)が躍り出た。

「前日も今日も試走で良い感触を得ることができなかったので、安全にレースを運ぼうと思った」という坂口は大きくリードを得たものの、中盤以降には與那嶺や、武田を交わした宮内佐季子(Club La. sista Offroad Team)らがじわりと差を詰めてくる。

しかし堅実な走りの坂口は冷静なレース運びを最後まで崩さず、2位以下をおよそ1分引き離したまま先頭でフィニッシュし、CX東京初優勝を勝ち取った。レース後には「今日は父やチームスタッフのアドバイスに大きな力をもらいました。世界選でこれまで積み上げたものが一気に崩れるほどにカルチャーショックを受けたのですが、それを糧に来シーズンに繋げていきたい」と来季への展望を語った。


CL1 単独2位を走る與那嶺恵理(フォルツァ・ヨネックス)CL1 単独2位を走る與那嶺恵理(フォルツァ・ヨネックス) photo:Kei Tsuji / CX TOKYOCL1 3位に浮上した宮内佐季子(Club La. sista Offroad Team)CL1 3位に浮上した宮内佐季子(Club La. sista Offroad Team) photo:Kei Tsuji / CX TOKYO

CL1 独走のままフィニッシュした坂口聖香(パナソニックレディース)CL1 独走のままフィニッシュした坂口聖香(パナソニックレディース) photo:Kei Tsuji / CX TOKYO
CL1表彰台CL1表彰台 photo:Kei Tsuji / CX TOKYO

エリート男子結果
1位 ジェレミー・パワーズ(アメリカ、アスパイアレーシング)
2位 小坂光(宇都宮ブリッツェン シクロクロスチーム)
3位 竹之内悠(Toyo Frame)
4位 ベン・ベルデン(ベルギー、W-cup)
5位 ギャリー・ミルバーン(オーストラリア、トレック・チャンピオンシステム)
6位 ティム・アレン(アメリカ、フィードバックスポーツ)
7位 丸山厚(BOMA RACING)
8位 門田基志(TEAM GIANT)
9位 前田公平(弱虫ペダルシクロクロスチーム)
10位 ザック・マクドナルド(ストリームライン・インシュアランスサービス)

CL1結果
1位 坂口聖香(パナソニックレディース) 
2位 與那嶺恵理(フォルツァ・ヨネックス)
3位 宮内佐季子(Club La. sista Offroad Team)
4位 武田和佳(Liv)
5位 豊岡英子(パナソニックレディース)
6位 今井美穂(CycleClub.jp)
7位 上田順子(ダム部)
8位 西山みゆき(Toyo Frame)
9位 橋口陽子(TEAM 轍屋)
10位 唐見実世子(弱虫ペダルシクロクロスチーム)

text:So.Isobe
photo:Kei.Tsuji/CXtokyo

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