ベルギー・ゾルダーにて開催された2016年のシクロクロス世界選手権より、同大会を走ったプロバイクを3編に分けて紹介。Vol.1ではファンデルハールのジャイアント、メーウセンのリドレーなど4名のライダーのバイクをピックアップします。



ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)
ジャイアント TCX ADVANCED PRO


ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のジャイアント TCX ADVANCED PROラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)のジャイアント TCX ADVANCED PRO photo:Makoto.AYANO
ラボバンク・ディベロップメントチームもTCX ADVANCED PROを使用するラボバンク・ディベロップメントチームもTCX ADVANCED PROを使用する photo:Makoto.AYANOシマノのCX用レースホイールのプロトタイプシマノのCX用レースホイールのプロトタイプ photo:Makoto.AYANO


アルカンシェル獲得まであと一歩にまで迫ったラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)。バイクは、スルーアクスル&ディスクブレーキを採用するジャイアント「TCX ADVANCED PRO」。タイヤクリアランスが大きく泥づまりに強いことや、D型断面のシートピラー「D-Fuse」により衝撃吸収性に優れることが特徴の1台だ。

シマノのサポートを受けることから、パーツのほどんどがシマノもしくはPRO。ドライブトレインにはシマノDURA-ACE Di2を採用する。フロントクランクには、プロのみに供給される46TのDURA-ACEアウターチェーンリングが取り付けられていた。ブレーキは油圧式で、Di2対応レバーのST-R785とポストマウント対応キャリパーBR-R785の組み合わせとしている。

サドルはPROで、フラットな座面を持つTURNIXを選択サドルはPROで、フラットな座面を持つTURNIXを選択 photo:Makoto.AYANOPROの最上位グレードVIBEでハンドル周りを統一。カーボンではなくアルミモデルを選択したPROの最上位グレードVIBEでハンドル周りを統一。カーボンではなくアルミモデルを選択した photo:Makoto.AYANO

油圧ブレーキ&Di2対応のST-R785油圧ブレーキ&Di2対応のST-R785 photo:Makoto.AYANOタイヤはデュガスで、深い泥に対応する「Rhino Cotton」をチョイスタイヤはデュガスで、深い泥に対応する「Rhino Cotton」をチョイス photo:Makoto.AYANO

ストレートプルスポーク対応ハブを組み込んだホイールもストレートプルスポーク対応ハブを組み込んだホイールも photo:Makoto.AYANO前後共にエンドはスルーアクスル仕様だ前後共にエンドはスルーアクスル仕様だ photo:Makoto.AYANO


ホイールはシマノのプロトタイプをセットする。リムはブレーキ面を持たないディスクBR専用品。組み合わせるJベンドスポーク対応ハブはXTRのようにも見えるが、製品版とは表面の仕上げが異なる。また、ストレートスポークに対応したリアハブを組み込んだホイールも確認されており、まことしやかに噂されるシマノ初のCX専用レースホイールの開発が進んでいることを伺わせる。タイヤは定番のデュガスで、ファンデルハールは深い泥に対応する「Rhino Cotton」をチョイスした。

ハンドルとステムはPROのハイエンドグレード「VIBE」で、カーボンではなくアルミをチョイス。サドルも同じくPROで、フラットな座面の「TURNIX」としている。ペダルはシマノSPDだ。



トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)
リドレー X-NIGHT SL


トム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)のリドレー X-NIGHT SLトム・メーウセン(ベルギー、テレネット・フィデア)のリドレー X-NIGHT SL photo:Makoto.AYANO
ディスクブレーキ仕様のX-NIGHT SLも用意されていたディスクブレーキ仕様のX-NIGHT SLも用意されていた photo:Makoto.AYANO4ZAのホイールに、デュガスのタイヤを組み合わせている4ZAのホイールに、デュガスのタイヤを組み合わせている photo:Makoto.AYANO


エリート男子を8位でフィニッシュしたトム・メーウセン(ベルギー)。レースの舞台となったゾルダーサーキットの近くを拠点を置くリドレーのバイクを使用する。モデルは軽量性と振動吸収性を高レベルでバランスさせた「X-NIGHT SL」だ。レース前にはディスクブレーキ仕様も用意されていたが、メーウセンが選択したのはカンチブレーキ仕様。19歳にしてU23男子を制したエリ・イゼルビット(ベルギー)もX-NIGHT SLのカンチブレーキ仕様を使用した。

コンポーネントはスラムのサポートを受けており、フロントシングル仕様のForce1を採用。チェーンリングの歯数は44Tであった。カンチブレーキはAvidのShorty Ultimateとしている。ペダルは泥はけ性を重視してか、シマノSPDの最廉価モデルであるPD-M540を選択している。

サドルはフィジークALIANTEの新型サドルはフィジークALIANTEの新型 photo:Makoto.AYANOレバーはフードがイエローに変更されているレバーはフードがイエローに変更されている photo:Makoto.AYANO

コンポーネントはフロントシングルのスラムForce1コンポーネントはフロントシングルのスラムForce1 photo:Makoto.AYANOハンドル周りはリドレーのパーツブランドである4ZAで固められているハンドル周りはリドレーのパーツブランドである4ZAで固められている photo:Makoto.AYANO

泥はけ性を重視してか、シマノSPDの最廉価モデルであるPD-M540を選択泥はけ性を重視してか、シマノSPDの最廉価モデルであるPD-M540を選択 photo:Makoto.AYANOカンチブレーキはAvidのShorty UltimateカンチブレーキはAvidのShorty Ultimate photo:Makoto.AYANO


ホイールやステム、ハンドル、シートポストは、リドレーがプロデュースするパーツブランドの4ZA(フォルツァ)で統一。上記のファンデルハールと同じく、タイヤは深い泥に対応するデュガスの「Rhino Cotton」をチョイスした。サドルはフィジーク「ALIANTE」の新型だ。



フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPコレンドン)
スティーブンス SUPER PRESTIGE DISC


フィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPコレンドン)のスティーブンス SUPER PRESTIGE DISCフィリップ・ワルスレーベン(ドイツ、BKCPコレンドン)のスティーブンス SUPER PRESTIGE DISC photo:Makoto.AYANO
フィリップ・ワルスレーベンのバイクは、母国ドイツのハンブルグを本拠とする「STEVENS(スティーブンス)」だ。国内では聞き慣れないブランドだが、シクロクロス界では数々の輝かしい戦歴を残している。モデルは、ディスクブレーキ仕様のトップレンジ「SUPER PRESTIGE DISC」である。

シマノのサポートを受けることから、パーツのほどんどがシマノもしくはPROとされている。ドライブトレインにはシマノDURA-ACE Di2を採用。フロントクランクには、プロのみに供給される46TのDURA-ACEアウターチェーンリングが取り付けられていた。ブレーキは油圧式で、Di2対応レバーのST-R785とポストマウント対応キャリパーBR-R785の組み合わせとしている。ペダルもシマノSPDだ。

プロトタイプのシマノ製CXレースホイールを使用するプロトタイプのシマノ製CXレースホイールを使用する photo:Makoto.AYANO1mm単位で揃えられるPROのプロ供給専用ステムを使用1mm単位で揃えられるPROのプロ供給専用ステムを使用 photo:Makoto.AYANO

ドライブトレインはシマノDURA-ACEだドライブトレインはシマノDURA-ACEだ photo:Makoto.AYANOSUPER PRESTIGEはワルスレーベンらBKCPコレンドンが使用する1台だSUPER PRESTIGEはワルスレーベンらBKCPコレンドンが使用する1台だ photo:Makoto.AYANO


ホイールはシマノが開発を続けているシクロクロス用のプロトタイプ。ハブの固定方式はクイックレリーズだ。タイヤは定番のデュガスで、2台あるうちの1台にはオールラウンド系の「Typhoon Cotton」、もう1台には深い泥に対応する「Rhino Cotton」をアッセンブルした。

ハンドル周りはPROで統一。ハンドルはVIBEカーボンで、ステムは1mm単位で長さが揃えられるプロ供給専用品。サドルもPROで、ワルスレーベンはフラットな座面のTURNIXを選択している。ただ、何故かシートポストのみはFSAのK-FORCE CARBONで、ロゴを消して使用している。



フランシス・ムレー(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)
ルック X-85


フランシス・ムレー(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)のルック X-85フランシス・ムレー(フランス、フォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプト)のルック X-85 photo:Makoto.AYANO
フランスシクロクロス界の第一人者であり、9度のナショナルチャンピオン獲得を誇るフランシス・ムレー。所属チーム移籍に伴い、今シーズンよりバイクをラピエールからルックへとスイッチ。ディスクブレーキ装備の「X-85」を使用する。なお、ペダルはルックS-TRACKではなくシマノSPDだ。

パーツは、所属するロードのUCIプロコンチームのフォルトゥネオ・ヴァイタルコンセプトに沿ったアッセンブルとなっている。コンポーネントはシマノで、ドライブトレインはDURA-ACE Di2。ブレーキは油圧式で、Di2対応レバーのST-R785とポストマウント対応キャリパーBR-R785の組み合わせとしている。

ホイールはアメリカン・クラシックで、タイヤはチャレンジ。ハンドル、ステム、シートポストはルック製で統一。なぜか、トップチューブと面一になるように設計されたルック675専用のステムを使用していた。サドルはセライタリアの初代Fliteとしている。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto