ロード世界選手権U23のロード世界選手権は、若手の登竜門ツール・ド・ラヴニールで総合優勝を飾ったロメン・シカール(フランス)が、終盤に抜け出し独走勝利。半数以上の選手がリタイアする中、日本勢は小森亮平が71位で完走した。

日本人3名を含む166名がスタート日本人3名を含む166名がスタート photo:Cor Vos23歳未満で争われるU23レースには、ロードレースの将来を担う若手166名が終結。コースはエリート男子と同じ13.8kmの周回コースで、1周につき高低差は245m。U23はこの「アックア・フレスカ」と「ナヴァッツァーノ」を含む難関コースを13周。合計179km(獲得標高差3185m)で争われた。

レースは決定的な逃げが決まらないまま進行し、ゴールまで2周を残して集団は60名弱に。この残り2周で、レース開催前から有力候補に上げられていたシカールが動いた。

観客が詰めかけたメンドリシオの周回コースをこなすU23の選手たち観客が詰めかけたメンドリシオの周回コースをこなすU23の選手たち photo:Cor Vosフランスチームのエースを務めるシカールは、オランダのミシェル・クレダーとともに集団からアタック。追走集団の中からニコラ・エデ(フランス)が飛び出して追走したが、シカールはチームメイトを待つことなく最終周回に突入した。

やがて急勾配のアックア・フレスカでクレダーが脱落すると、ゴールまで10kmを残してシカールの独走状態に。後続の集団はナヴァッツァーノの上りでクレダーを飲み込み、カルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア)とエゴール・シリン(ロシア)がカウンターアタックを仕掛けてシカールを追走。しかしシカールを捉えることは出来なかった。

終盤に飛び出したロメン・シカール(フランス)とミシェル・クレダー(オランダ)終盤に飛び出したロメン・シカール(フランス)とミシェル・クレダー(オランダ) photo:Cor Vos最後まで独走態勢を守ったシカールは、余裕をもってガッツポーズを繰り出し、歓喜のゴール。27秒遅れの2位争いはベタンクールゴメスが制して銀メダル。敗れたシリンは銅メダルを獲得した。カヴェンディッシュと同じマン島出身で、来季チームスカイに加入するピーター・ケノー(イギリス)が4位に入っている。

アルカンシェルに袖を通したシカールは「フランスチームは結束力が強くてスーパーだった。彼らのサポートがこの勝利に繋がったと思う」と語る。

独走でゴールに飛び込むロメン・シカール(フランス)独走でゴールに飛び込むロメン・シカール(フランス) photo:Cor Vos1996年にスタートしたU23カテゴリーで、フランス人選手として初めてアルカンシェルを獲得。シカールは若手の登竜門として知られるツール・ド・ラヴニールで総合優勝を飾っており、この世界選優勝で若手トップ選手の名声を不動のものにした。

フランス南部のバスク地方出身のシカールは、来季エウスカルテルへの移籍が決定している。バスクチームの中で唯一のフランス人選手になる。

2位争いのスプリントを制したカルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア)2位争いのスプリントを制したカルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア) photo:Cor Vos将来についてシカールは「上りが得意なのでステージレースで活躍出来るような選手になりたい。ツール・ド・ラヴニールは上りが厳しくて僕向きだった。個人TTも苦手ではない。まだまだ進化の途中だよ。来シーズンはとにかくプロレースのリズムに順応すること。そして1週間ぐらいの短いステージレースで活躍したい」と語っている。

目標に掲げるレースを聞かれたシカールは「もちろんツール・ド・フランスやパリ〜ニース、そしてリエージュ〜バストーニュ〜リエージュなどのクラシックレース」と返答。「でも夢見る前に努力しなくちゃ」。世界タイトルに慢心することなく、一歩ずつプロの階段を上る意気込みを見せた。

表彰台、左から2位カルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア)、優勝ロメン・シカール(フランス)、3位エゴール・シリン(ロシア)表彰台、左から2位カルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア)、優勝ロメン・シカール(フランス)、3位エゴール・シリン(ロシア) photo:Cor Vos「近年稀に見る難コース」と称されている今年のメンドリシオ世界選。スタートした166名のうち、完走者は半分に満たない72名だった。

サバイバルレースの様相を呈す中で、小森亮平は71位で完走している。伊丹健治は中盤60km地点でアタックする積極性を見せたがリタイア。平塚吉光も途中リタイアに終わった。

選手コメントはフランス・レキップ紙より。


ロード世界選手権2009U23ロードレース結果
1位 ロメン・シカール(フランス)4h41'54"
2位 カルロスアルベルト・ベタンクールゴメス(コロンビア)+27"
3位 エゴール・シリン(ロシア)
4位 ピーター・ケノー(イギリス)+49"
5位 ジェローム・ボグニース(ベルギー)+54"
6位 マルコ・クンプ(スロベニア)
7位 エフゲニー・ネポムヤチシー(カザフスタン)
8位 サルミエント・ホセカイェタノ(コロンビア)
9位 マティアス・ブランドル(オーストリア)+1'00"
10位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア)+1'33"
71位 小森亮平(TREK-LIVESTRONG U-23 TEAM)+18'14"
DNF 平塚吉光(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)
DNF 伊丹健治(チームブリヂストン・アンカー)

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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