大雨被害の影響でコースが変更されたジャパンカップ。萩の道と鶴カントリーの登りが省略され、古賀志林道の通過回数が増えたことによってコースの難易度はアップすると予想される。土曜日のクリテリウムも合わせて、開催を前にコースの見どころをチェックしておこう。



古賀志林道に向かってスタートが切られる古賀志林道に向かってスタートが切られる photo:Kei Tsuji


メモリアル大会としてスタートした日本最大のワンデーレース

観客が詰めかけた宇都宮大通りをプロトンが行く観客が詰めかけた宇都宮大通りをプロトンが行く photo:Kei Tsuji今から24年前の1990年に宇都宮でロード世界選手権は開催された。使用されたのは宇都宮市と鹿沼市をまたぐ時計回り(現在と逆回り)の周回コース。公式の記録によると、コースに詰めかけた観客の数は12万人。ルディー・ダーネンスとディーク・デヴォルフのベルギーコンビがワンツー勝利を飾っている。

ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)を先頭に古賀志林道を進むベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)を先頭に古賀志林道を進む photo:Kei Tsujiその2年後の1992年、ジャパンカップはロード世界選手権のメモリアルレースとして初開催された。初回大会を制したのはパリ〜トゥールでの優勝をひっさげて来日したヘンドリック・ルダン(現ユナイテッドヘルスケア監督)。1993年からは、世界屈指のクライマーとして知られたクラウディオ・キャプッチ(イタリア)が3連覇を果たしている。

1996年にはUCIワールドカップの最終戦に組み込まれ、「ウツノミヤ」や「ジャパンカップ」の名前がヨーロッパでも知られた存在に。以降、毎年晩秋の宇都宮に世界のトップ選手が集結し、シーズン最後のレースとしてバトルを繰り広げた。1997年には、当時の世界トップチームであるマペイに所属していた阿部良之が日本人選手として初めてジャパンカップを制している。

2008年からは、アジア最高峰のカテゴリーであるHC(超級クラス)レースとして開催。2010年からは宇都宮市のど真ん中でクリテリウムレースが併催され、2日間にわたって宇都宮を盛り上げる巨大イベントに成長した。



ジャパンカップクリテリウム:宇都宮の目抜き通りを駆ける

宇都宮市大通り周回コース
周長:1周=1.55km
総距離:35.65km(1.55km/パレード3周+レース20周)

幾重にも観客が詰めかけた宇都宮大通り幾重にも観客が詰めかけた宇都宮大通り photo:Kei Tsuji2010年に初開催されたクリテリウム。今年もHCレース前日の土曜日に開催される。宇都宮市の目抜き通りである宇都宮市大通りを規制して作られた1周1.55kmの直線的なコースが舞台だ。

選手たちはパレード走行としてこの周回を3周後、20周に及ぶバトルに挑む。クライマー有利なジャパンカップ本戦とは異なり、クリテリウムはスプリント力のある選手たちの活躍の場。毎年平均45km/h前後のハイスピードなバトルが繰り広げられる。

ラスト650mの最終180度ターンを好位置で抜け、熾烈なポジション争いを制し、宇都宮の空に両手を突き上げるのは果たして誰か?今年も幾重にも重なった大観衆が選手たちの闘いを待っている。

ジャパンカップクリテリウム2015周回コースジャパンカップクリテリウム2015周回コース image:Japan Cup


ジャパンカップ:古賀志林道を14回通過する全長144.2kmコース

宇都宮市森林公園周回コース
周長:1周=10.3km
総距離:144.2km(10.3km×14周)

ジャパンカップ2015周回コースジャパンカップ2015周回コース image:Japan Cup2015年の注目はコース変更がレースにどう影響するかだ。1997年以降、14.1kmの宇都宮市森林公園周回コースを11周回(10周回+小周回)する全長151.3kmで行われてきたが、台風の大雨被害によって萩の道がダメージを受けたため、萩の道から多気、射撃場、そして鶴カントリーの登りがカット。これまで最終周回として使われてきた10.3kmを使用することとなった。なお、古賀志林道も同様にダメージを受けたが、復旧作業によって使用にGOサインが出ている。

古賀志林道の頂上をクリアする逃げグループ古賀志林道の頂上をクリアする逃げグループ photo:Kei Tsuji周回コースの距離が短縮するため周回数は11周から14周に増加。コース全長は151.3kmから144.2kmになったが、コース最大の難所として知られている古賀志林道の登りの通過回数が増えるため獲得標高差は3000mを超える。そのためコース全体の難易度は上がっていると言っていいだろう。

標高差185mを一気に駆け上がる古賀志林道には、毎年大勢の観客が詰めかけ、思い思いの方法で選手たちに声援を送る。周回数増加に伴い、古賀志林道の頂上に設定された山岳賞は3回から4回(3、6、9、12周回)に増やされた。

頂上を越えると、カーブが連続するハイスピードダウンヒルが登場。普段から交通量が少ないため、苔に覆われている箇所もあり、雨が降れば危険な下りになる。危険が伴うため古賀志林道の頂上から県道に至るまでの約3.5kmは観客の立ち入り禁止区域。この下りで集団から飛び出す選手も出てくるだろう。

下りを終えて県道に入り、田野町交差点を左折してからは細かいアップダウンの繰り返し。スプリント勝負に持ち込みたくないチーム/選手がこの起伏を利用してアタックしてくるだろう。なお、古賀志林道の頂上からゴールまでは約8kmだ。



ジャパンカップ2015スケジュール
10月16日(金)
19:00〜21:00 チームプレゼンテーション(オリオンスクエア)

10月17日(土)
9:00〜 オープニングフリーラン(森林公園周回コース)
9:50〜 チャレンジレース(森林公園周回コース)
11:00〜 オープンレース男子/女子(森林公園周回コース)
14:40〜 ホープフルクリテリウム(宇都宮市大通り周回コース)
15:10〜 ガールズケイリンスペシャルレース(宇都宮市大通り周回コース)
15:50〜 ジャパンカップクリテリウム(宇都宮市大通り周回コース)

10月18日(日)
10:00〜 ジャパンカップ(森林公園周回コース)

text:Kei Tsuji