日本を発祥として、現在はアメリカを本拠とする総合バイクブランド・FUJI(フジ)。2011年のブエルタ・ア・エスパーニャを制したレーシングモデル「ALTAMIRA」のDNAを継承しつつ、さらなる軽量化を図った「SL」が登場。フレーム重量695gを実現したブランド史上最軽量のクライミングマシンを紹介しよう。



フジ SL1.1(Carbon / Citrus)フジ SL1.1(Carbon / Citrus) (c)アキボウ
激戦となった2011年のブエルタ・ア・エスパーニャで、ファンホセ・コーボ(スペイン)の個人総合優勝に貢献したフジのオールラウンドモデル「ALTAMIRA」。今回登場した「SL」は、そのDNAを継承しながらも、「Worth The Weight」をコンセプトに、さらなる軽さを追い求め生まれた1台だ。

SLの軽さに最も大きく貢献しているのが、「High Compaction Molding」というフジ独自のカーボン成型法だ。これは、応力集中を引き起こす各チューブの接続部のシワやヒダ、そして重量増の原因となる余分なレジンを徹底的に取り除き、同時にカーボンの積層を強力に圧縮して滑らかに仕上げるテクノロジーのこと。ALTAMIRAでもこの製法は採用されていたものの、さらにSLではシートチューブやフォーククラウンに適用している。

High Compaction Molding製法による滑らかなチューブ内面(右)High Compaction Molding製法による滑らかなチューブ内面(右) (c)アキボウより高張力なカーボンを使用するためにダウンチューブを8角形断面としたより高張力なカーボンを使用するためにダウンチューブを8角形断面とした (c)アキボウ

最後に焼き固めて成型する前段階のジョイント部を4箇所とした最後に焼き固めて成型する前段階のジョイント部を4箇所とした (c)アキボウケーブルストッパーにもハイグレードな素材を使用し、軽量化を徹底したケーブルストッパーにもハイグレードな素材を使用し、軽量化を徹底した (c)アキボウ


さらに、SLは前三角と左右のシート+チェーンステーという3パーツのみとし、最後に焼き固めて成型する前段階のジョイント部をALTAMIRAの8箇所から4箇所へと低減。より素材の性質を引き出すことを可能に。この他にもケーブルストッパーなどのスモールパーツに軽量素材を採用するなど、徹底的に無駄を削ぎ落とすことで、軽量化を追求。結果フレーム単体としてはブランド史上最軽量の695gを実現した。

一方で、プロユースにも耐えうる剛性を兼ね備えるSL。より高張力なカーボンを使用するためにダウンチューブを従来の円断面から8角形断面へと変更し、BBにはPF30規格を採用することで軽量化と同時にパワー伝達効率を向上。フロントフォークのブレード内にはリブを設けており、2種類のフォークオフセットと3種類のヘッドアングルの組み合わせによるトレイル値の最適化と合わせて、安定感に優れながらもシャープなハンドリングフィールを手に入れた。

ALTAMIRAから板バネの様にしなる極薄のシートステーを踏襲ALTAMIRAから板バネの様にしなる極薄のシートステーを踏襲 (c)アキボウフォークブレード内にはリブを設け剛性を強化しているフォークブレード内にはリブを設け剛性を強化している (c)アキボウ

フレーム一体型のチェーンキャッチャーとシートステーガードが標準装備されるフレーム一体型のチェーンキャッチャーとシートステーガードが標準装備される (c)アキボウサイズごとにトレイル値を最適化し、安定感高いハンドリングフォールを実現サイズごとにトレイル値を最適化し、安定感高いハンドリングフォールを実現 (c)アキボウ


もちろん快適性やトラクション性能にも配慮されており、ALTAMIRAから板バネの様にしなる極薄のシートステーを踏襲する。加えてフレームサイズごとに調整されるチューブ径やレイヤリングによって過剛性を防止。軽量高剛性フレームにありがちなピーキーな乗り味を抑え、急勾配の登りから荒れた路面の下りまで幅広いシチュエーションをカバーするオールラウンドな走行性能を実現するに至った。なお、クランク周りにはチェーン落ちによる破損を防ぐためのプロテクターが標準装備となっている。

ラインアップは素材別に2種類が設定されている。ハイエンドに位置づけられる「SL1.1」は、今年のブエルタにも出場したスペインのプロコンチーム・カハルーラルを支えるプロユースモデル。超圧縮により密度1.8g/cm3、重量比強度590kg/mm2という機械的性質を実現した新開発のハイエンドカーボン「C15」をフレーム全体とフォークに採用し、軽さを追求しつつもプロユースに耐えうる剛性を確保した。販売はフレームセットで行われ、プライスタグは260,000円(税別)と、コストパフォーマンスは抜群だ。

ブエルタ・ア・エスパーニャではカハル―ラルがSL1.1を駆ったブエルタ・ア・エスパーニャではカハル―ラルがSL1.1を駆った (c)アキボウ
フジ SL2.5(Navy / Blue)フジ SL2.5(Navy / Blue) (c)アキボウ
SL1.1について、昨年国内レースでも走っていたエドワード・プラデス(スペイン、カハル―ラル)は次の様にコメントしている。「軽くて機敏で難なく操作できるバイクだと感じた。登りの間もペダルへの入力のスムーズさに驚いたほどで、長い登りになるとALTAMIRAとの軽さと硬さの違いに気付く。下りでは優れたスタビリティと計算されたジオメトリーのおかげで、最適なコーナーラインをトレースすることができた。」

セカンドグレードの「SL2.5」は、カーボンのグレードを変更しながらも上位モデルと共通のフレーム設計を採用することで、先代のフラッグシップALTAMIRA SLとほぼ同等のフレーム重量900gを実現。加えて105完成車で8.1kgをマークした。フジの関係の深いオーヴァルコンセプツ社のパーツを多くアッセンブルしたことによる統一感高いルックスも特徴で、コンポやホイ―ルのアップグレードにも対応してくれる。



サイズはともに46cm、49cm、52cm、54cm、56cmの5種類展開で、ジオメトリーは共通。カラーはそれぞれ1色展開で、1.1がCarbon / Citrus、2.5がNavy / Blueとなる。デリバリー開始は2015年10月から。取り扱いはアキボウ。



フジ SL1.1(フレームセット)
メインフレーム:C15 ultra high-modulus carbon w/ High Compaction Molding System, integrated head
        tube w/ 1 1/2” lower, oversized press fit BB30 shell, double water bottle mounts
リア三角:C15 ultra high-modulus carbon thin seatstays, oversized chainstays, carbon dropout w/      replaceable hanger
フォーク:FC-330 carbon monocoque w/ tapered carbon steerer & carbon dropout
ヘッドセット:FSA Super Lite, 1 1/8” upper - 1 1/2” lower, integrated w/ carbon top cover
サイズ:46cm、49cm、52cm、54cm、56cm
カラー:Carbon / Citrus
価 格:260,000円(税別)

フジ SL2.5(完成車)
メインフレーム:C10 ultra high-modulus carbon, integrated head tube w/ 1 1/2” lower, oversized press fit         BB30 shell, double water bottle mounts
リア三角:C10 high-modulus carbon thin seatstays, oversized chainstays, carbon dropout w/ replaceable      hanger
フォーク:FC-440 carbon w/ tapered carbon steerer & carbon dropout
メインコンポーネント:シマノ 105
クランク:オーヴァルコンセプツ 520, forged 6066 arms, 50/34T
ブレーキ:シマノ BR-561
チェーン:KMC X11, 11-speed
ホイ―ル:オーヴァル 327 aero alloy clincher, 20 / 24h
タイヤ:ヴィットリア Zaffiro Pro Slick, 700×25, 60tpi, folding
ハンドル、ステム、シートポスト、サドル:オーヴァルコンセプツ
サイズ:46cm、49cm、52cm、54cm、56cm
完成車重量:8.1kg
カラー:Navy / Blue
価 格:295,000円(税別)


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