9月20日、伝統の秩父宮杯埼玉県自転車道路競争大会こと「秩父宮杯」が、埼玉県秩父市で開催された。シルバーウィーク真っ最中の秋晴れの日に行われたレースの模様をレポートする。



武甲山を望む絶景ポイントを行く一般男子集団武甲山を望む絶景ポイントを行く一般男子集団 photo:Satoru.Kato
今年で63回を数える「秩父宮杯」。大会名にもなっている秩父宮家ゆかりの地である埼玉県秩父市での開催となって今年で8回目。関東圏の、とりわけ埼玉県在住のレーサーには、年間の目標とする人も多い大会だ。

一般男子 3周目 20秒差で先行する6人一般男子 3周目 20秒差で先行する6人 photo:Satoru.Kato一般男子 2周目 登りで8人が先行する一般男子 2周目 登りで8人が先行する photo:Satoru.Kato一般男子 5周目 高木三千成(立教大学)を先頭に登りを行く先頭集団一般男子 5周目 高木三千成(立教大学)を先頭に登りを行く先頭集団 photo:Satoru.Kato一般男子 5周目 追うメイン集団はペースが上がらない一般男子 5周目 追うメイン集団はペースが上がらない photo:Satoru.Katoコースは秩父市郊外に設定された1周10.8km。昨年とは逆回りとなり、およそ3kmのアップダウン区間と、7kmの平坦基調区間の構成は同じものの、登りの斜度はきつくなる。距離は約1kmと短いものの、8%から10%の勾配が続き、高低差約100mを一気に駆け登ってコース最高点へ。頂上を過ぎると、ゴールまで3km。途中短い登りが1箇所あるものの、下り基調が続く。

今年の大会は9つのカテゴリーに、昨年を上回る計605人が出走。埼玉県内は数日前まで不安定な気候が続いていたものの、大会当日は暑いくらいの秋晴れとなった。

一般男子 残り1kmで抜け出した杉野元基が優勝

男子エリート+U23に相当する一般男子は、コースを6周半する75.3km。秩父駅前からのパレードを終え、正式スタートが切られた1周目からアタックがかかる。数名が抜け出しては集団が吸収するのを何度か繰り返した2周目、登りで8人が先行。3周目までに数名が入れ替わって6人が残り、メイン集団に20秒差をつける。メンバーはLink TOHOKU Team E1の半澤雄高と高橋義博、池西拓海(明治大学)、相川翔(シクロクラブ)、吉田勝雅(ALTOPIANO)、高橋利尚(パインヒルズ90)。

4周目、先行する6人から高橋が遅れ、駒沢大学の杉野元基と富家悠太、高木三千成(立教大学)、今井基裕(大阪大学 Cuesta Azul)、佐々木貴則(SEKIYA)、丸志信(東洋大学)らが合流し、13人に。これが最終列車となり、30秒程度だったメイン集団との差は、最終周回の6周目には1分20秒まで開く。勝負は先行する13人に絞られた。

最後の登り区間でアタックがかかるものの、勝負を決定づける動きにならない。あとはゴールまで下るだけの残り1km、杉野が抜け出して独走状態に。そのまま逃げ切りに成功した杉野は、残り50mでジャージのファスナーを上げてからガッツポーズを決める余裕を見せてゴールした。

最後の数kmの攻防を杉野は振り返る。「登りで1人先行していて、2人が追いかけていた。自分は無理しないようにペースを守って登り切り、下りで先行する人達との差を詰めた。その後、残り1km手前の短い登りで捕まえて前に出て、その後はゴールまで鬼踏(おにぶみ)みした」。

杉野は昨年の大会でも終盤に逃げ、最後は遅れて10位に沈んだ。「このコースは平坦が長くて逃げが決まりづらいので、登りでしかけるしかないと思っていた。嫌いじゃないコースだったので、優勝を狙って出場した。勝てて率直に嬉しい」と、昨年の雪辱を晴らした喜びを語った。

一般男子 杉野元基(駒澤大学)が残り1kmを逃げ切って優勝一般男子 杉野元基(駒澤大学)が残り1kmを逃げ切って優勝 photo:Satoru.Kato
一般男子 2位争いのスプリントは高木三千成(立教大学)一般男子 2位争いのスプリントは高木三千成(立教大学) photo:Satoru.Kato一般男子 表彰一般男子 表彰 photo:Satoru.Kato


一般男子(75.3km) 結果
1位 杉野元基(駒澤大学) 2時間4分28秒
2位 高木三千成(立教大学) +6秒
3位 佐々木貴則(SEKIYA)
4位 半澤雄高(Link TOHOKU Team E1) +7秒
5位 丸 志信(東洋大学)
6位 今井基裕(大阪大学 Cuesta Azul) +8秒

一般男子 団体戦結果
1位  Link TOHOKU Team E1 6時間15分46秒
2位 多摩ポタ +3分50秒



高校生A 伊藤元弥が最後に抜け出して優勝高校生A スタート高校生A スタート photo:Satoru.Kato高校生A 単独ゴールする伊藤元弥(埼玉県立川越工業高校)高校生A 単独ゴールする伊藤元弥(埼玉県立川越工業高校) photo:Satoru.Kato

一般男子と共に秩父駅前からパレードし、コースを3周半の42.9kmで行われた高校生A。序盤から昨年優勝した中川涼(埼玉県立浦和興業高校)が積極的なレース運びをする中、最終周回までに8人が先頭集団に残る。その中から、伊藤元弥(埼玉県立川越工業高校)が単独で抜け出しに成功し、後続に10秒近い差をつけて優勝した。

高校生Aクラス(42.9km) 結果
1位 伊藤元弥(埼玉県立川越工業高校)1時間16分26秒
2位 納家一樹(東京都立八王子桑志高校) +8秒
3位 中川 涼(埼玉県立浦和工業高校) +9秒
4位 渡辺慶太(埼玉県立浦和工業高校)
5位 鳴海 颯(G.S.positivo) +10秒
6位 熊田湧太(東京都立八王子桑志高校)

高校生A 団体戦結果
1位 埼玉県立浦和工業高校A 3時間49分58秒
2位 埼玉県立浦和工業高校B +2分46秒
3位 成城高校自転車競技部A +2分59秒
4位 埼玉県立川越工業高校 +3分8秒
5位 埼玉県立浦和工業高校C +3分25秒
6位 成城高等学校自転車競技部B +11分54秒



市民レーサーA スプリント勝負を制した井上善裕(INOUE RACING CYCLE)市民レーサーA スプリント勝負を制した井上善裕(INOUE RACING CYCLE) photo:Satoru.Kato女子 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校)が連覇女子 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校)が連覇 photo:Satoru.Kato市民レーサーC 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム)が優勝市民レーサーC 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム)が優勝 photo:Satoru.Katoスタートする高校生Bスタートする高校生B photo:Satoru.Kato市民レーサーA(42.9km)
1位 井上善裕(INOUE RACING CYCLE) 1時間18分3秒
2位 佐藤和昭(Elnino Rcords) +0秒
3位 梅野優哉(ケイドサイクリングクラブ)
4位 十時正嗣(八王子桑志高校・教)
5位 岸 亮汰(INOUE RACING CYCLE)
6位 向後章夫(インバスタ−)

市民レーサーB(32.4km)
1位 川松英樹(ブルーグラス所沢) 50分13秒
2位 杉山克憲(SMbros.) +0秒
3位 小山智也(TEAMWHITE)
4位 水野広大(K&K) +1秒
5位 笹井飛鳥(アングルドロア)
6位 永家俊宏(CYCLE WHITCHES)

市民レーサーC(21.6km)
1位 白鳥興寛(ARCCレーシングチーム) 32分32秒
2位 浜名哲也(ビーワークスレーシング) +0秒
3位 谷津田 崇(ARCCレーシングチーム) +3秒
4位 吉村武夫(かねこレーシング) +10秒
5位 重田一義(スズパシゲパワー) +12秒
6位 庄司貴哉(TEAM CROCERISTA) +13秒

高校生B(21.6km)
1位 村山悠人(埼玉県立川越工業高校) 33分50秒
2位 横田隼人 +0秒
3位 倉科翔伍(埼玉県立川越工業高校) +4秒
4位 田口浩太朗(埼玉県立川越工業高校)
5位 野村陸久(埼玉県立川越工業高校)
6位 吉田優太(埼玉県立川越工業高校)

マスターズ(21.6km)
1位 小野 忠(パインヒルズ90) 33分3秒
2位 松村 悟(パインヒルズ90) +0秒
3位 金子和浩(Blue Grass)
4位 秋郷伸一(パインヒルズ90) 34秒
5位 齊藤しげる(メイドさん学科自転車部) +1分0秒
6位 近藤年昭(synerzy) +1分12秒

女子(10.8km)
1位 細谷夢菜(埼玉県立浦和工業高等学校) 18分47秒
2位 須藤むつみ(Ready Go JAPAN) +2秒
3位 藤田まりあ(埼玉県立浦和工業高等学校) +22秒
4位 島崎典子(シャークアイランド) +23秒
5位 村松早苗(かねこれーしんぐ) +36秒
6位 吉岡梨紗(学習院大学) +39秒

中学生(10.8km)
1位 柳澤 創(チームオーベスト・スパライオンズ) 17分48秒
2位 海野晋作(バイクルプラザR・T) +19秒
3位 外園晋之介(川口自転車競技連盟) +48秒
4位 小沼良太郎(みさかRC) +1分25秒
5位 菅野航基(ベロクラブ福島) +1分38秒
6位 石井麻希斗(tacke) +1分47秒

text&photo:Satoru.Kato
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