今大会最長227.4kmコースの勝負を決めたのは2cmに満たない差。接戦スプリントでエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)を下したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)が今シーズン16勝目をマークした。
アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)率いる逃げグループ photo:Kei Tsuji
ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ)がディスクブレーキをテスト photo:Kei Tsuji
こうしてIAMサイクリングのお尻は守られる photo:Kei Tsuji
ツアー・オブ・ブリテン2015第7ステージ image:www.tourofbritain.co.uk前日までとは打って変わってフラットな227.4km(今大会最長)で行われた第7ステージ。イングランド東部のノーフォーク州フェイクナムからサフォーク州イプスウィッチまで、北海に近い高低差0m前後の平野部を駆ける。
集団前方でアタックを見つめるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji例年と比べると好天続きだったツアー・オブ・ブリテンも週末にかけて天気が下り坂。フェイクナムのスタート地点は雨雲に覆われ、気温15度ほどの冷たい雨が時折強く降る。レインジャケットをしっかり着込んだ104名がスタートを切った。世界選手権を見据えて悪天候レースを避けたテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシング)はスタートせず。
逃げグループを率いるアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター) photo:Kei Tsuji2日連続でステージ2位に入ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)がほぼ総合首位を固めた一方で、まだ行方が決まっていないのが山岳賞ジャージ。山岳賞2位のトム・スチュアート(イギリス、マディソン・ジェネシス)が1つめの3級山岳を2番手通過し、山岳賞トップのピーター・ウィリアムス(イギリス、ワンプロサイクリング)と同ポイントで並ぶことに成功する。
その後アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)、グラハム・ブリッグス(イギリス、JLTコンドール)、ガブリエル・クラーイ(イギリス、イギリスナショナルチーム)の3名の先行が決まるとようやくメイン集団はスローダウン。前日に45分以上遅れてフィニッシュしているエスケープトリオがリードを広げ始めた。
イエロージャージ擁するMTNキュベカが集団先頭に立ってコントロール。世界選手権にアメリカ代表として出場予定のタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)もボアッソンハーゲンのために集団牽引する。タイム差が7分まで広がったところで今後はロット・ソウダルが集団先頭へ。
レース中盤に差し掛かる頃にはすっかり雨は上がり、暖かい太陽が顔を出す。気温は23度前後までぐんぐん上昇し、むしろ汗ばむほどの陽気となった。
大勢の観客に見守られながらレースは進む photo:Kei Tsuji
レインジャケットを着て走るエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ) photo:Kei Tsuji
強力に逃げグループを牽引するアレックス・ダウセット(イギリス、モビスター) photo:Kei Tsuji
イエロージャージを着るエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ) photo:Kei Tsuji
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)が先頭でスプリント photo:Kei Tsujiイギリスを代表する独走力の持ち主ダウセット率いる逃げは粘りを見せたが、平坦基調で直線的なコースはメイン集団に味方した。集団スプリント狙いのロット・ソウダルと、山岳賞逆転狙いのマディソン・ジェネシスの集団コントロールによって逃げは吸収される。
先頭で競り合うアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiマディソン・ジェネシスの積極的な動きは届かず、今大会最後の3級山岳を先頭通過したウィリアムスが山岳賞トップの座を守ることに成功。ウィリアムスは山岳賞とスプリント賞のダブル受賞を確定させている。
お互いのタイヤ先を見つめるアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiすでにカヴェンディッシュとガビリアを失っているエティックス・クイックステップのゼネク・スティバル(チェコ)がカウンターアタックを仕掛けたものの、ロット・ソウダルとチームスカイが支配するメイン集団を振り切ることは出来ず。赤いトレインと黒いトレインが並走しながらイプスウィッチの街に差し掛かった。
残り1kmでマルセル・シーベルグ(ドイツ)がイェンス・デブシェール(ベルギー)とグライペルを引き連れて先頭に上がり、グライペルの背中をヴィヴィアーニがぴったりマーク。残り200mでデブシェールに発射されたグライペルにヴィヴィアーニが挑んだ。
パワフルなペダリングで巨体を前に押し進めるグライペルと、空気抵抗の少ない低い姿勢でコンパクトに加速するヴィヴィアーニ。横並びでハンドルを投げ込んでフィニッシュしたが、あまりの僅差に両者ともに勝利を確信出来ず。写真判定の結果、2cmに満たないまさに「タイヤの差」でグライペルの勝利が決まった。
「接戦だった。でも写真判定では自分が先着したことが明らかだったはず」。大会7日目にしてようやくステージ優勝を果たしたグライペルがレース後の記者会見でレースを振り返る。
「序盤からレースをコントロールしたのは我々で、どのチームも協力しようとしなかった。勝利に値するチームの働きだったと思う。ハードな1週間を終えて誰もが疲れていた。雨の予報が出ているけど、明日も他のチームの力を借りずにステージ優勝を狙うよ。イェンス(デブシェール)か自分がスプリントすることになると思う」。
総合成績に大きな変動はなく、ステージ5位に入ったボアッソンハーゲンが総合首位を堅守。翌日にボアッソンハーゲンがイエロージャージを着て終着地ロンドンに凱旋することとなった。
スプリントの映像を確認するエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ) photo:Kei Tsuji
勝利の確証を持てぬまま表彰台に向かうアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
今大会ステージ1勝目を飾ったアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) photo:Kei Tsuji
ツアー・オブ・ブリテン2015第7ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 5h14’42”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 ソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー、IAMサイクリング)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
6位 オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ)
7位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー)
8位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
9位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン)
10位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ) 33h02’36”
2位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) +13”
3位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー) +43”
4位 オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ) +44”
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +51”
6位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン) +59”
9位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
10位 サンドロ・メウリセ(ベルギー、アンポスト・チェーンリアクション) +1’02”
ポイント賞
オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ)
山岳賞
ピーター・ウィリアムス(イギリス、ワンプロサイクリング)
スプリント賞
ピーター・ウィリアムス(イギリス、ワンプロサイクリング)
チーム総合成績
キャノンデール・ガーミン
text&photo:Kei Tsuji in Ipswich, United Kingdom






その後アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)、グラハム・ブリッグス(イギリス、JLTコンドール)、ガブリエル・クラーイ(イギリス、イギリスナショナルチーム)の3名の先行が決まるとようやくメイン集団はスローダウン。前日に45分以上遅れてフィニッシュしているエスケープトリオがリードを広げ始めた。
イエロージャージ擁するMTNキュベカが集団先頭に立ってコントロール。世界選手権にアメリカ代表として出場予定のタイラー・ファラー(アメリカ、MTNキュベカ)もボアッソンハーゲンのために集団牽引する。タイム差が7分まで広がったところで今後はロット・ソウダルが集団先頭へ。
レース中盤に差し掛かる頃にはすっかり雨は上がり、暖かい太陽が顔を出す。気温は23度前後までぐんぐん上昇し、むしろ汗ばむほどの陽気となった。







残り1kmでマルセル・シーベルグ(ドイツ)がイェンス・デブシェール(ベルギー)とグライペルを引き連れて先頭に上がり、グライペルの背中をヴィヴィアーニがぴったりマーク。残り200mでデブシェールに発射されたグライペルにヴィヴィアーニが挑んだ。
パワフルなペダリングで巨体を前に押し進めるグライペルと、空気抵抗の少ない低い姿勢でコンパクトに加速するヴィヴィアーニ。横並びでハンドルを投げ込んでフィニッシュしたが、あまりの僅差に両者ともに勝利を確信出来ず。写真判定の結果、2cmに満たないまさに「タイヤの差」でグライペルの勝利が決まった。
「接戦だった。でも写真判定では自分が先着したことが明らかだったはず」。大会7日目にしてようやくステージ優勝を果たしたグライペルがレース後の記者会見でレースを振り返る。
「序盤からレースをコントロールしたのは我々で、どのチームも協力しようとしなかった。勝利に値するチームの働きだったと思う。ハードな1週間を終えて誰もが疲れていた。雨の予報が出ているけど、明日も他のチームの力を借りずにステージ優勝を狙うよ。イェンス(デブシェール)か自分がスプリントすることになると思う」。
総合成績に大きな変動はなく、ステージ5位に入ったボアッソンハーゲンが総合首位を堅守。翌日にボアッソンハーゲンがイエロージャージを着て終着地ロンドンに凱旋することとなった。



ツアー・オブ・ブリテン2015第7ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル) 5h14’42”
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、チームスカイ)
3位 ソンドレホルスト・エンゲル(ノルウェー、IAMサイクリング)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、エティックス・クイックステップ)
5位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ)
6位 オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ)
7位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー)
8位 ヨナス・ファンへネヒテン(ベルギー、IAMサイクリング)
9位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン)
10位 イェンス・デブシェール(ベルギー、ロット・ソウダル)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、MTNキュベカ) 33h02’36”
2位 ワウト・ポエルス(オランダ、チームスカイ) +13”
3位 ラスムス・グルトハマー(デンマーク、クルトエナジー) +43”
4位 オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ) +44”
5位 ゼネク・スティバル(チェコ、エティックス・クイックステップ) +51”
6位 ルーベン・フェルナンデス(スペイン、モビスター)
7位 ステフェン・クルイスウィク(オランダ、ロットNLユンボ)
8位 ディラン・ファンバールレ(オランダ、キャノンデール・ガーミン) +59”
9位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、ティンコフ・サクソ)
10位 サンドロ・メウリセ(ベルギー、アンポスト・チェーンリアクション) +1’02”
ポイント賞
オーウェン・ドゥール(イギリス、チームウィギンズ)
山岳賞
ピーター・ウィリアムス(イギリス、ワンプロサイクリング)
スプリント賞
ピーター・ウィリアムス(イギリス、ワンプロサイクリング)
チーム総合成績
キャノンデール・ガーミン
text&photo:Kei Tsuji in Ipswich, United Kingdom
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