アンドラ公国で開催されているMTB世界選手権。5日、15時よりU23男子のレースが行われた。日本から出場の沢田時(ブリヂストンアンカー)は−1Lapで完走できず。鈴木雷太監督と本人のレポートで紹介する。



U23スタート直後 選手たちが一斉に下りを攻めるU23スタート直後 選手たちが一斉に下りを攻める photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia


スタート後の混戦状態を走り抜けるスタート後の混戦状態を走り抜ける photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia泥の下りを行く沢田時(ブリヂストンアンカー)泥の下りを行く沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmediaコースコンディションが非常に悪く、6周から5周へスタート直前に変更となったU23男子。沢田時(ブリヂストンアンカー)は集団左側からいいスタートを切ったが、スタート直後の混戦でペースをつかみきれず苦しい走りとなり、2周目後半から失速してしまい、−1ラップの69位でレースを終えた。優勝を飾ったのはニュージーランドのアントン・クーパーだった。

「予想以上の泥と標高の高さに翻弄され、苦しいレースに」沢田時(ブリヂストンアンカー)

スタート後の混戦状態を走り抜けるスタート後の混戦状態を走り抜ける photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia結果は−1ラップの69位。またしても完走できませんでした。
レース前の調整はばっちりいき、水曜日のチームリレーでの1周全力T.Tでは、まずまずのタイム&調子の良さを確認。この時は高地の影響もさほど感じませんでした。今思えばリレーでは最初の登りを自分のペースで走り始められるのが良かったのでしょう。

レース当日も今年1番と言えるような良い感覚。まるで常に追い風が吹いているよう。スタート前も緊張し過ぎず、冷めすぎてもいない。周りがよく見える。これまでで最高のレースができる自信がありました。

そしてスタート。去年のように集団に埋もれることはなく順調に走り出し、スタート位置よりは前に上がることに成功。最初の登りを終えてボジションを落とさない程度に一息つく予定が、待っていたのは予想以上に泥々な路面。

スタート直前に雨が止んだことで泥が固まり、今までとは全く別物のコースになっていました。タイヤもドライ系なセッティングであったため、全く乗車することができず、ランニング大会が始まる。CXの経験から反射的に押し区間でも順位をあげようと無理に抜きにかかるが、自分の現状の体力と2000m越えの高地では、この走り方は間違っていました。

下りも渋滞で殆ど乗車できずに長いランニングが続き、ストップ&ゴーで身体は完全に酸欠状態。泥区間を終えて勝負どころの登りに入るも、リレーの時はアウターローで登っていた坂が、インナーローでも苦しい。止まりそうな速度で全く前に進まない。ここからはひたすら苦しい時間でした。



「様々な気持ちが錯綜して、全くレースに集中できていませんでした。」「様々な気持ちが錯綜して、全くレースに集中できていませんでした。」 photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia


泥で下りはランニングを強いられることも泥で下りはランニングを強いられることも photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia80%で降ろされる80%で降ろされる photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia「正直今はとても前向きな気持ちにはなれませんが、過去は変えられないので前に進むしかありません」「正直今はとても前向きな気持ちにはなれませんが、過去は変えられないので前に進むしかありません」 photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmediaあまりにも泥が酷くて前日までの試走で確認したラインもほぼ役に立たず、リズムを取り戻せない。全く思うように走れていない自分への絶望と、結果よりも今この時を全力で走って前に進まなければという気持ちが錯綜して、全くレースに集中できていませんでした。

残り1周を残して80%で切られた時は、とにかくこの苦しみから解放されたという安堵だけで、悔しいという感情も浮かんできませんでした。そしてそんな風に思ってしまう自分がたまらなく嫌でした。もう消えてしまいたいくらいに。応援して頂いた方々を裏切るような走りで本当に申し訳ないです。

ただただ自分が弱かった。それに尽きます。予想外のことが起きるのがレースで、その予想外を少しでも想定して準備しておくのが勝負の世界だと思います。自分には何もかも足りていませんでした。このレースが良い経験になったとは思えません。これから先もずっと苦くて忘れたい経験のままだと思います。正直今はとても前向きな気持ちにはなれませんが、過去は変えられないので前に進むしかありません。気持ちが復活するまでしっかり休んで、次に進みたいと思います。(沢田時)

また、同日行われたDHIジュニア男子には泉野龍雅が出走した。

DHIコースコンディションは泥と霧で最悪な状況で、泉野はワールドカップで負傷した手首の具合が完治しておらず、ゴールまで走りきらない作戦でDNFとなった。(シーディングランは決勝の出走順を決定するもので、スタートさえ行えば日曜日の決勝は走ることが可能。DHIでは今回のようなシーディングランをスキップする方法はコンディションによってよく行われる)。

6日はいよいよXCOエリートが開催される。男子は山本幸平、武井亨介、門田基志の3名、女子は末政実緒がスタートする。天候は晴れ予報。いいコンディションの中、素晴らしいレースを行いたい。ご声援よろしくお願いします。(鈴木 雷太)



MTB世界選手権2015 U23結果
1位 アントン・クーパー(ニュージーランド)1:22:03
2位 ヴィクトル・コレツキー(フランス)+”2
3位 グラント・フェルグソン(イギリス)+”22
-1Lap 沢田時(ブリヂストンアンカー)

photo:Hiroyuki NAKAGAWA/SLmedia


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