ツール・ド・フランスを走った全22チームのバイクを、2チームごとに11回にわけて紹介。第9弾ではルーベン・プラサ(スペイン)が第16ステージで逃げ切り優勝を果たしたランプレ・メリダと、スイス色の強いパーツアッセンブルが特徴のIAMサイクリングのバイクをピックアップします。



ランプレ・メリダ【メリダ SCULTRA、REACTO EVO、WARP TT(TTバイク)】

ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)のメリダ SCULTRAルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)のメリダ SCULTRA photo:Makoto.AYANO
ルイ・コスタのみプーリーゲージをバーナーに換装しているルイ・コスタのみプーリーゲージをバーナーに換装している photo:Makoto.AYANO両端にチームカラーのヴァイオレットの差し色が入ったバーテープはプロロゴの新モデル両端にチームカラーのヴァイオレットの差し色が入ったバーテープはプロロゴの新モデル photo:Makoto.AYANO


ランプレ・メリダのバイクはもちろん、タイトルスポンサーの1つであるメリダ。昨年はほぼ全てのツール出場メンバーが選択していたエアロロードの「REACTO EVO」と、エアロ性能と運動性能を強化したオールラウンドモデル「SCULTRA」の新型という2台体制で今大会を走った。

メインコンポーネントはシマノDURA-ACE Di2で、ペダルもDURA-ACEとした一方、クランクにはローターを組み合わせている。元世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル)ら数名が楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用。アスクル内に計測ユニットを組み込んだ新型クランク式パワーメーター「inPower」が導入されていた。

フィリポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO EVOフィリポ・ポッツァート(イタリア、ランプレ・メリダ)のメリダ REACTO EVO photo:Makoto.AYANO
サドルはプロロゴで、表面にすべり止めを配したCPCモデルを選択するライダーが多いサドルはプロロゴで、表面にすべり止めを配したCPCモデルを選択するライダーが多い photo:Makoto.AYANOフルクラムの新型ホイール「SPEED 40T」フルクラムの新型ホイール「SPEED 40T」 photo:Makoto.AYANO


ホイールはフルクラムで、新型モデル「Speed T40」を導入。その特徴は40mmハイトの幅広リムにあり、カンパニョーロの新型BORAシリーズとほぼ共通のハブを組み合わせている。重量は既存のモデルと大きく変わらないものの、空力的に優れ、ありとあらゆるシーンに対応するオールラウンドモデルに位置づけられているという。この他、従来よりラインアップされる「Racing Speed XLR」シリーズの35mmハイトと50mmハイトを合わせた3モデルを使い分けた。組み合わせるタイヤはコンチネンタルのプロ供給専用モデル「COMPETITION PROLTD」だ。

ハンドル、ステム、シートポストはチームカラーのヴァイオレットを差し色としたランプレ供給用のFSA K-Forceシリーズがメイン。ルイ・コスタらは、系列ブランドのヴィジョンのハンドルを選択していた。サドルとバーテープはプロロゴで、レーシングカーにも採用されるという滑り止め素材を表皮に配した「CPC」モデルが多く選択されている。そして、両端に差し色を配し、TV中継でもよく目立っていたバーテープは新型である。

ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)が駆るナショナルチャンピオンカラーのWARP TTネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)が駆るナショナルチャンピオンカラーのWARP TT photo:Makoto.AYANO
TTバイクは、メリダ独自のNACA Fastbackチューブや専用ハンドルバーによって空力性能を追求した一方、ダイレクトマウントブレーキや可変式のサドル取付部など汎用性にも優れる「WARP TT」。TTナショナルチャンピオンのネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル)はポルトガルカラーのバイクを駆った。ホイールはフロントがRacing Speed XLRシリーズの80mmハイトもしくは50mmハイト、リアがRacing Speed Discという組み合わせだ。



IAMサイクリング【スコット Foil、Addict、Plasma 5(TTバイク)】

マルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)のスコット Foilマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)のスコット Foil photo:Makoto.AYANO
IAMサイクリングのバイクサプライヤーは、チームと同じくスイスに拠点を構えるスコット。ホイールのDTスイス、ブレーキシューのスイスストップとあわせて、スイス色の濃いパーツアッセンブリーが特徴である。スコットは、オリカ・グリーンエッジと同様にIAMサイクリングにもフルモデルチェンジを果たした「Foil」を投入。一方では旧型のFoilも引き続き使用され、軽量オールラウンドモデル「Addict」とあわせて、ライダーは3モデルを好みやコースに合わせて使い分けた。

コンポーネントにはシマノDURA-ACE Di2を、ペダルまでフルセットで採用するものの、シマノからのサポートは受けていない。クランクはDUAR-ACEタイプのSRMでマルセル・ウィス(スイス)のみローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用。プーリーはサイクリング・セラミック社に換装されている。

マルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)のスコット Addictマルセル・ウィス(スイス、IAMサイクリング)のスコット Addict photo:Makoto.AYANO
マルセル・ウィスはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用するマルセル・ウィスはローターの楕円チェーンリング「Q-Rings」を使用する photo:Makoto.AYANOホイールサプライヤーはDTスイスホイールサプライヤーはDTスイス photo:Makoto.AYANO


ホイールはDTスイスで、「RC55 Spline T」と「RC38 Spline T」の2モデルをメインとしつつ、恐らくテスト中だと思われるモデル名表記のないも。ホイールの固定には、DTスイスの特徴的な製品の1つであり、レバーをねじ込むことで締め付けを行う「RWS」をフロントに使用する一方で、リアはポピュラーなQRレバータイプとしている。恐らく、ホイール交換時の作業時間が早いためだと考えられる。

組み合わせるタイヤはシュワルベで、アーガイル模様のトレッドパターンが特徴的な「ONEチューブラー」をメインとしつつ、石畳が登場した第4ステージでは新型チューブレスタイヤ「PRO ONE」を投入。ただ、ブランドルのみは何故か他ブランドのタイヤを、ロゴを隠して使用していた。

ハンドル、ステム、シートポストはリッチーで、最上位グレード「WCS」シリーズで統一されている。サドル及びバーテープはプロロゴで、F1マシンにも採用されるすべり止め素材を座面に配した「CPC」シリーズのサドルを選択するライダーが多い。ボトルケージはエリートCANNIBALのカーボンモデルとしている。

IAMサイクリングのスコット Plasma 5IAMサイクリングのスコット Plasma 5 photo:Makoto.AYANO
ホイールやコンポーネントなど、スペアバイクはパーツアッセンブルが異なるホイールやコンポーネントなど、スペアバイクはパーツアッセンブルが異なる photo:Makoto.AYANOTTバイクは、昨年のツールでデビューを果たした「Plasma 5」。従来モデルの設計コンセプトを踏襲しつつも、シートチューブ集合部やBB下のリアブレーキ取り付け部の形状を変更し、更にエアロ性能を高めた1台だ。前大会は一部のライダーにのみ供給されていたものの、今大会は全ライダーの配備された。

ホイールは前後共に新型で、フロントが65mmハイトの「RRC65 DiCUT T」、リアが「RRC 2.0 Disc Dicut T」という組み合わせだ。なお、RRC 2.0 Disc Dicut Tはその見た目からもわかる通り、ライトウェイトとのコラボレーションモデルであり、ハブをDTスイス製とし、780gという優れた軽量性を実現している。なお、スペアバイクのリアホイールは従来モデルの「RRC 1055 T」としていた。



photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto

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