「ここまで2位続きだったけど、一生2位のままでいるわけにはいかない。今日は1位になった。時に勝利し時に敗北する、それがロードレースだ」。ツールで実に5回もステージ2位を経験したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)が待ちに待った勝利を手にした。



1級山岳プエルト・デル・レオンを進むメイン集団1級山岳プエルト・デル・レオンを進むメイン集団 photo:Tim de Waele
ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージ image:Unipublicブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージ image:Unipublic


オリカ・グリーンエッジ率いるメイン集団がアンダルシアを行くオリカ・グリーンエッジ率いるメイン集団がアンダルシアを行く photo:Tim de Waeleブエルタ・ア・エスパーニャ第3ステージ引き続きアンダルシア州を走る。今大会最初の平坦コースで、序盤に3級山岳アルト・デ・ミハスと中盤に1級山岳プエルト・デル・レオンをクリア。標高925mのプエルト・デル・レオンは登坂距離16km/高低差835mで、登りの中盤にかけて勾配が最大15%まで上昇するが、大きく集団から遅れない限りフィニッシュまでの平坦路で挽回は可能だ。

胃腸のトラブルによって集団から脱落し、その後リタイアしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)胃腸のトラブルによって集団から脱落し、その後リタイアしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele前日の落車で膝を痛めたマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)と失格処分が与えられたヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)を欠く193名がこの日はスタート。直後にシルヴァン・シャヴァネル(フランス、IAMサイクリング)、マーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ)、マーティン・ベリトス(スロバキア、エティックス・クイックステップ)、そして山岳賞ジャージを着るワルテル・ペドラサ(コロンビア、コロンビア)がアタックした。

逃げグループを率いるナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)逃げグループを率いるナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ) photo:Tim de Waele10km地点でアレクシ・グジャール(フランス、AG2Rラモンディアール)、オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)、ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)、イリア・コシェヴォイ(ベラルーシ、ランプレ・メリダ)が追いついて先頭は8名。

マイヨロホ擁するオリカ・グリーンエッジが集団先頭でローテーションを開始する中、第2ステージの落車の被害者パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)と、胃腸にトラブルを抱えていたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)がバイクを降りている。

1級山岳プエルト・デル・レオンの麓に差し掛かった時点でタイム差は最大4分20秒をマーク。登りに入るとティンコフ・サクソとジャイアント・アルペシンがメイン集団をペースアップ。タイム差が3分を下回るとともに、集団からはカレイブ・イワン(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)やファンポッペル兄弟(オランダ、トレックファクトリーレーシング)らが脱落してしまう。オリカ・グリーンエッジがエスデバン・シチャベス(コロンビア)の総合首位キープにフォーカスしたため、アシスト無しのイワンが集団に復帰することはなかった。



マイヨロホを着るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が第3ステージを走るマイヨロホを着るエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)が第3ステージを走る photo:Tim de Waele


快晴続きのアンダルシア州快晴続きのアンダルシア州 photo:Tim de Waele先頭ではフライレが山岳ポイントを連取し、シャベスから山岳賞ランキング首位を奪うことに成功する。1級山岳プエルト・デル・レオンの頂上通過後にシャヴァネルらがアタックすると逃げグループは分裂した。

残り14kmまで独走に逃げるマーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ)残り14kmまで独走に逃げるマーティン・チャリンギ(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele6名に絞られた逃げグループは1分15秒リードで残り50kmへ。ティンコフ・サクソ率いるメイン集団ではナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)やダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)が絡む落車が発生したものの、両者とも再スタートを切っている。

スプリントで競り合うデゲンコルブ、サガン、ブアニスプリントで競り合うデゲンコルブ、サガン、ブアニ photo:Tim de Waeleリードを失いつつあった逃げグループからはグジャールとチャリンギが先行し、1分40秒リードで残り20km。しかし幹線道路でメイン集団を振り切ることが出来ずに残り14kmで逃げは吸収。

集団スプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)集団スプリントを制したペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele続くアントワーヌ・デュシェーヌ(カナダ、ユーロップカー)の飛び出しも引き戻され、危険回避の総合系チームとスプリンターチームが織り交ざりながらハイスピードでマラガの街に向かった。

マイヨロホを守ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)マイヨロホを守ったエステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Tim de Waele幾つものトンネルを抜け、残り3kmを切ったところでジャイアント・アルペシンがリードアウトトレインを組んで先頭へ。ジャーマンチームが主導権を握ったまま高速巡航し、クーン・デコルト(オランダ)がジョン・デゲンコルブ(ドイツ)をスプリントへと誘う。デゲンコルブの後ろにはペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)とナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)が位置取った。

残り200mでデゲンコルブとサガン、ブアニがほぼ同時にスプリントを開始。好位置からのスプリントに持ち込んだデゲンコルブだったが、いち早くトップスピードまで加速したサガンが先頭に立つ。デゲンコルブ、サガン、ブアニによる横並びスプリントの結果、サガンが先着した。

「ようやく待ちに待った勝利がやってきた!チームメイトたちは一日中メイン集団をコントロールしてくれたし、彼らの努力に感謝している。ブエルタで良いスタートを切ることが出来たよ」。ツール・ド・フランスでステージ2位を5回経験し、6月のスロバキア選手権ロードレース以来の勝利をつかんだサガンは久々の勝利を喜んだ。

「今日はデゲンコルブとブアニの日でもあったけど、彼らのチームは残り3kmでようやく集団先頭に出てきた。ベンナーティが落車で集団に残っていなかったので、最後はデゲンコルブの番手を取ってスプリント。正しい判断だった」。サガンはシャベスと同ポイントのポイント賞2位に。翌日の第4ステージでは緑のマイヨプントスを着る。

「自分がゴールスプリントを任されたが調子も100%ではなく、良い位置が確保できずにスプリントの感覚が戻っていなかったため、躊躇してしまった」と語る新城幸也(ユーロップカー)は52位で大会最初の平坦ステージを終えている。

選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。



表彰台でシャンパンを開けるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)表彰台でシャンパンを開けるペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele

Summary - Stage 3 (Mijas / Málaga) - Vuelta a... 投稿者 la_vuelta


ブエルタ・ア・エスパーニャ2015第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)       4h06’46”
2位 ナセル・ブアニ(フランス、コフィディス)
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・アルペシン)
4位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
5位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)
6位 ヨウセフ・レグイグイ(アルジェリア、MTNキュベカ)
7位 ミッチェル・ドッカー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ヤスパー・ストゥイフェン(ベルギー、トレックファクトリーレーシング)
9位 ビセンテ・レイネス(スペイン、IAMサイクリング)
10位 トム・ファンアスブロック(ベルギー、ロットNLユンボ)
52位 新城幸也(日本、ユーロップカー)

DNF ファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)
DNF パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
DNS マークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシング)

マイヨロホ(個人総合成績)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)  8h04’01”
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)      +05”
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)         +15”
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、キャノンデール・ガーミン)  +24”
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)          +35”
6位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)            +36”
7位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)         +38”
8位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)            +40”
9位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)
10位 ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)               +47”

マイヨプントス(ポイント賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)   25pts
2位 ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)       25pts
3位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)     20pts

マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)          13pts
2位 ワルテル・ペドラサ(コロンビア、コロンビア)          7pts
3位 ナトナエル・ベルハネ(エリトリア、MTNキュベカ)        7pts

マイヨコンビナーダ(複合賞)
1位 エステバン・チャベス(コロンビア、オリカ・グリーンエッジ)   7pts
2位 トム・ドゥムラン(オランダ、ジャイアント・アルペシン)     11pts
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、チームスカイ)        16pts

チーム総合成績
1位 チームスカイ                        24h23’14”
2位 アスタナ                            +21”
3位 ロット・ソウダル                       +1’17”

ステージ敢闘賞
オマール・フライレ(スペイン、カハルーラル)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele

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