2015/08/23(日) - 22:52
岩手県紫波町での都道府県ロード。女子は上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)が優勝。男子は仕切りなおしのレースを高校生の竹井彗(香川・高松工芸高)が制した。
3日間にわたる岩手県紫波町での都道府県対抗大会も3日目最終日。8月23日(日)に男女個人ロードレースが行なわれた。男女ともに少年・成年の区分なく同一で実施。女子は2016年岩手国体からトラックが正式種目となるが、ロードはまだ先。なので40人が出走した女子にとっては数少ない全国大会であることに変わりない。
コースは紫波総合運動公園をパレードスタートし5km走って周回コースへ。ここを5km進んでコントロールラインがあり、そこから13.4kmのコースを周回するもの。コントロールラインの前後4kmほどが断続的な上り区間で、ほか9kmは緩斜面から平坦路。道幅の狭い区間もあり、特にコントロールライン手前1kmは狭いカーブとアップダウンが組み合わさりテクニックを要する区間だ。フィニッシュまで200mは緩い上りに。このフィニッシュエリアは「佐比内サイクルパーク」と名づけられ紫波町の事業として周辺道路整備とともに2016年の国体に向け整備されたもの。
女子は上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)が連覇
女子は45人がエントリーし40人が出走。10.2km+13.4kmx4周=63.8kmでレースは行なわれた。大人数でスタートした集団もコントロールライン後の上り区間を中心にふるいがかかり2周目には15人ほどに。3周目の上りで5人に、さらに最終4周目には上りで合田祐美子(岡山・BH Astifo)を中心にペースが上がり先頭は合田、上野、中原恭恵(広島)の3人に。この3人でフィニッシュへ向けてスプリント。これを上野が制し、2014年和歌山大会に続いて都道府県対抗ロード連覇を達成。
優勝した上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)のコメント
「最近はトラック中心でロードレースを走っていなかったので最初からきつかったです。何人かの動きで人数が絞られました。最終周回の合田さんの上りでの走りについていけたのが中原さんと私でした。最後のカーブはノーブレーキで曲がれるのでアウターのままスプリントです。上りが短く平坦が長いので逃げにくかったですね」
男子は仕切りなおしの1周レースに
男子は10.2km+13.4kmx7周=104.0kmのレース。序盤からアタックはかかるが数人が抜け出しても集団に戻る動きを繰り返し集団はひとつのまま。最終周回の7周目に入る時点で打鐘が鳴らず残り2周と示される。これに対してメーターで距離を確認し最終周回と判断した選手と、表示のままにあと2周あると判断した選手にわかれ、前者がゴールスプリント。倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)が先頭でフィニッシュしたが、その先でもう1周あると判断した選手たちと混ざり選手たちの自主判断でいったんストップする。
あらためて審判団からニュートラルをかけ、もう1周してフィニッシュとの判断が下され1周弱のレースとして再スタート。40人ほどの集団のままフィニッシュへ向かい、250m手前のテクニカルなカーブやコーナーを曽我部厚誠(大阪・城東工科高)を先頭に小川智也(熊本・千原台高)、竹井彗(香川・高松工芸高)らの順にクリアしてフィニッシュまでの上りへ。曽我部が先行したがこれを竹井がかわして優勝。高校生が3位までを独占した。
優勝した竹井彗(香川・高松工芸高)のコメント
「喜んでもいいのか複雑な気持ちです。今日はどちら(7周または1周)にしてもゴールスプリントに持ち込む展開でいこうと考えていました。ゴール直前のダウンヒルで3人くらいに絞れたので全力で踏みました。先行していた選手はいましたがゴールスプリントで届く自信はありました。ロードの全国優勝は初めてです。全日本はスプリントに絡めずインターハイは落車していたので、この都道府県は順位を狙っていました」
竹井はこの都道府県トラック団体追抜きで3位となった香川県チームの中心メンバー。1kmTTでも1分08秒709で3位に入っている。なお女子競輪の竹井史香選手(106期)は実姉。
異例の周回表示ミス
周回表示が間違い規定周回の7周目終了時にゴールと思った選手ともう1周あると思った選手が入り混じる異例の事態に。フィニッシュライン後方約200m地点にいったん選手と審判車両が停止。その後にニュートラルをかけ、ここから1周弱のレースをすることとされた。ゴールであると本来正しく判断しそれへ向けてレースを組み立て、スプリントした選手たちにとっては徒労に終わった。倉林のほか近谷涼(富山・三和シャッター/マトリックスパワータグ)や皿屋豊(三重・イナーメアイランド信濃山形)らは、2回とも上位に来ているとはいえ結果に影響したであろうことは否めない。
レース後に競技委員長から各チームの監督へ、かかる事態の説明と謝罪がなされた。そして発行された大会コミュニケには「男子ロードレースにおいて、審判団のミスにより周回数の間違いがございました。最終の1周コントロールライン先200m にてニュートラルをかけ再スタートし、着順を確定しました。この結果を男子ロードレースの結果といたします。申し訳ございませんでした」とある。
都道府県対抗大会はステータスの高い全国大会であり、決して国体の予行演習ではない。同種同所の大会に限らず、全国の大会関係者にも今一度確認を願いたい事案だ。
結果
男子個人ロードレース 104km+13.4km
1位 竹井彗(香川・高松工芸高)3時間17分22秒
2位 曽我部厚誠(大阪・城東工科高)+01秒
3位 小川智也(熊本・千原台高)
4位 近谷涼(富山・三和シャッター/マトリックスパワータグ)+02秒
5位 倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)
6位 皿屋豊(三重・イナーメアイランド信濃山形)
7位 日野竜嘉(愛媛・松山聖陵高)
8位 栗原悠(熊本・千原台高)+03秒
女子個人ロードレース 63.8km
1位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)1時間54分33秒
2位 中原恭恵(広島)
3位 合田祐美子(岡山・BH Astifo)+01秒
4位 森本朱美(鳥取・ラバネロ)+53秒
5位 星川恵利奈(香川・ASAHI MUUR ZERO)+56秒
6位 細谷夢菜(埼玉・浦和工高)+3分08秒
7位 下山美寿々(大阪・天王寺高)
8位 高橋智香(愛知・桜丘高)+3分09秒
都道府県対抗順位
男子総合
1位 和歌山 46点
2位 愛媛 46点
3位 岐阜 38点
4位 群馬 36点
5位 三重 33点
6位 香川 32点
7位 岩手 30点
8位 大分 21点
女子総合
1位 埼玉 31点
2位 青森 28点
3位 鹿児島 21点
4位 愛知 18点
5位 東京 14点
6位 鳥取 13点
7位 福岡 10点
8位 京都 8点
photo&text:高木秀彰
3日間にわたる岩手県紫波町での都道府県対抗大会も3日目最終日。8月23日(日)に男女個人ロードレースが行なわれた。男女ともに少年・成年の区分なく同一で実施。女子は2016年岩手国体からトラックが正式種目となるが、ロードはまだ先。なので40人が出走した女子にとっては数少ない全国大会であることに変わりない。
コースは紫波総合運動公園をパレードスタートし5km走って周回コースへ。ここを5km進んでコントロールラインがあり、そこから13.4kmのコースを周回するもの。コントロールラインの前後4kmほどが断続的な上り区間で、ほか9kmは緩斜面から平坦路。道幅の狭い区間もあり、特にコントロールライン手前1kmは狭いカーブとアップダウンが組み合わさりテクニックを要する区間だ。フィニッシュまで200mは緩い上りに。このフィニッシュエリアは「佐比内サイクルパーク」と名づけられ紫波町の事業として周辺道路整備とともに2016年の国体に向け整備されたもの。
女子は上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)が連覇
女子は45人がエントリーし40人が出走。10.2km+13.4kmx4周=63.8kmでレースは行なわれた。大人数でスタートした集団もコントロールライン後の上り区間を中心にふるいがかかり2周目には15人ほどに。3周目の上りで5人に、さらに最終4周目には上りで合田祐美子(岡山・BH Astifo)を中心にペースが上がり先頭は合田、上野、中原恭恵(広島)の3人に。この3人でフィニッシュへ向けてスプリント。これを上野が制し、2014年和歌山大会に続いて都道府県対抗ロード連覇を達成。
優勝した上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)のコメント
「最近はトラック中心でロードレースを走っていなかったので最初からきつかったです。何人かの動きで人数が絞られました。最終周回の合田さんの上りでの走りについていけたのが中原さんと私でした。最後のカーブはノーブレーキで曲がれるのでアウターのままスプリントです。上りが短く平坦が長いので逃げにくかったですね」
男子は仕切りなおしの1周レースに
男子は10.2km+13.4kmx7周=104.0kmのレース。序盤からアタックはかかるが数人が抜け出しても集団に戻る動きを繰り返し集団はひとつのまま。最終周回の7周目に入る時点で打鐘が鳴らず残り2周と示される。これに対してメーターで距離を確認し最終周回と判断した選手と、表示のままにあと2周あると判断した選手にわかれ、前者がゴールスプリント。倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)が先頭でフィニッシュしたが、その先でもう1周あると判断した選手たちと混ざり選手たちの自主判断でいったんストップする。
あらためて審判団からニュートラルをかけ、もう1周してフィニッシュとの判断が下され1周弱のレースとして再スタート。40人ほどの集団のままフィニッシュへ向かい、250m手前のテクニカルなカーブやコーナーを曽我部厚誠(大阪・城東工科高)を先頭に小川智也(熊本・千原台高)、竹井彗(香川・高松工芸高)らの順にクリアしてフィニッシュまでの上りへ。曽我部が先行したがこれを竹井がかわして優勝。高校生が3位までを独占した。
優勝した竹井彗(香川・高松工芸高)のコメント
「喜んでもいいのか複雑な気持ちです。今日はどちら(7周または1周)にしてもゴールスプリントに持ち込む展開でいこうと考えていました。ゴール直前のダウンヒルで3人くらいに絞れたので全力で踏みました。先行していた選手はいましたがゴールスプリントで届く自信はありました。ロードの全国優勝は初めてです。全日本はスプリントに絡めずインターハイは落車していたので、この都道府県は順位を狙っていました」
竹井はこの都道府県トラック団体追抜きで3位となった香川県チームの中心メンバー。1kmTTでも1分08秒709で3位に入っている。なお女子競輪の竹井史香選手(106期)は実姉。
異例の周回表示ミス
周回表示が間違い規定周回の7周目終了時にゴールと思った選手ともう1周あると思った選手が入り混じる異例の事態に。フィニッシュライン後方約200m地点にいったん選手と審判車両が停止。その後にニュートラルをかけ、ここから1周弱のレースをすることとされた。ゴールであると本来正しく判断しそれへ向けてレースを組み立て、スプリントした選手たちにとっては徒労に終わった。倉林のほか近谷涼(富山・三和シャッター/マトリックスパワータグ)や皿屋豊(三重・イナーメアイランド信濃山形)らは、2回とも上位に来ているとはいえ結果に影響したであろうことは否めない。
レース後に競技委員長から各チームの監督へ、かかる事態の説明と謝罪がなされた。そして発行された大会コミュニケには「男子ロードレースにおいて、審判団のミスにより周回数の間違いがございました。最終の1周コントロールライン先200m にてニュートラルをかけ再スタートし、着順を確定しました。この結果を男子ロードレースの結果といたします。申し訳ございませんでした」とある。
都道府県対抗大会はステータスの高い全国大会であり、決して国体の予行演習ではない。同種同所の大会に限らず、全国の大会関係者にも今一度確認を願いたい事案だ。
結果
男子個人ロードレース 104km+13.4km
1位 竹井彗(香川・高松工芸高)3時間17分22秒
2位 曽我部厚誠(大阪・城東工科高)+01秒
3位 小川智也(熊本・千原台高)
4位 近谷涼(富山・三和シャッター/マトリックスパワータグ)+02秒
5位 倉林巧和(群馬・日本体育大院/群馬グリフィン)
6位 皿屋豊(三重・イナーメアイランド信濃山形)
7位 日野竜嘉(愛媛・松山聖陵高)
8位 栗原悠(熊本・千原台高)+03秒
女子個人ロードレース 63.8km
1位 上野みなみ(青森・鹿屋体育大院)1時間54分33秒
2位 中原恭恵(広島)
3位 合田祐美子(岡山・BH Astifo)+01秒
4位 森本朱美(鳥取・ラバネロ)+53秒
5位 星川恵利奈(香川・ASAHI MUUR ZERO)+56秒
6位 細谷夢菜(埼玉・浦和工高)+3分08秒
7位 下山美寿々(大阪・天王寺高)
8位 高橋智香(愛知・桜丘高)+3分09秒
都道府県対抗順位
男子総合
1位 和歌山 46点
2位 愛媛 46点
3位 岐阜 38点
4位 群馬 36点
5位 三重 33点
6位 香川 32点
7位 岩手 30点
8位 大分 21点
女子総合
1位 埼玉 31点
2位 青森 28点
3位 鹿児島 21点
4位 愛知 18点
5位 東京 14点
6位 鳥取 13点
7位 福岡 10点
8位 京都 8点
photo&text:高木秀彰
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