ステージ優勝を狙ったチームと、リスクを負わずに安全に走りきったチーム。総合ニュートラル扱いによって戦略に明確な差が生まれたブエルタ・ア・エスパーニャ初日のチームタイムトライアルを選手たちのコメントで振り返ります。



マイヨロホを獲得したペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)

マイヨロホに袖を通したペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング)マイヨロホに袖を通したペーター・ベリトス(スロバキア、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleスーパーハッピーだ。全てが完璧。全てが事前の打ち合わせ通りだった。

誰が先頭でフィニッシュラインを切るかということだけ決めていなかったんだ。残り1kmはとにかくハイスピードだったので、ポジションを交代する余裕や誰が先頭を走っているか考える余裕なんてなかった。チームとして出来る限り短時間でフィニッシュすることだけを考えていたので、偶然自分に出番が回ってきたんだ。明日は誇りを持ってこのレッドジャージを着たい。

優勝メンバーのティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)

世界チャンピオンとしてのモチベーションを胸にスタートに並び、全力でレースに挑んだ。今日のようなコースでは5人以上で走ってもスピードを上げることが出来ない。だから最後まで残る5人を最初から決めて、残りのメンバーがスタートから1kmずつ全開で走って離脱する作戦をとった。その作戦はパーフェクトだったと思う。

僅差でステージ優勝を逃したラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)

ステージ2位・1秒差 ティンコフ・サクソステージ2位・1秒差 ティンコフ・サクソ photo:Tim de Waeleニュートラル扱いとなって総合成績に反映されないことが決まったものの、ステージ優勝を目指してベストを尽くすことにした。もちろん不必要なリスクは冒していない。かと言ってイージーライドをするために出場したわけじゃない。トリッキーでテクニカルなコース素晴らしいパフォーマンスを見せたチームを祝福したい。1秒に満たない差でステージ優勝を逃したものの、ブエルタはまだ始まったばかりだ。

ステージ3位に入ったキャメロン・マイヤー(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

たった1秒。ステージ優勝を僅差で逃したことは残念だけど、チームとして全力を尽くした結果であり、3週間のレースに向けて良い状態が整っていることを確認出来た。レース前の24時間はコース映像の分析に時間を割いたのでストレスフルだった。いろんな意見があったけど、全力でレースに挑むことに決めた。全員が目標に向かって走ることに決めたんだ。

試走で何度もスピードを上げたけど、やはりレーススピードは別物。特に砂が溜まったり凸凹の路面を高速で走った時に何が起こるかは想定不可能だった。レース中は何度かナーバスになる瞬間があったけど安全に切り抜け、チームとして最速の走りが出来たと思う。

ステージ4位に入ったマルティン・ケイゼル(オランダ、ロットNLユンボ)

今日はチャンスがあると思っていた。金曜日に試走した後、チームとして全開で走ることで一致した。さらにレース当日の午前中に3回試走した結果、ステージ4位の成績。メンバーの中にルーキーが3人いることを考えると素晴らしい成績だと思う。

ステージ6位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

ステージ6位・11秒差 トレックファクトリーレーシングステージ6位・11秒差 トレックファクトリーレーシング photo:Tim de Waeleメンバー全員が全力を尽くした。序盤の入りが遅かったのだと思うけど、短いタイムトライアルでその辺りのバランスを取るのは難しい。7kmちょっとの距離をハイスピードで走っただけなので、今日の結果がチームの状態を表しているとは言えない。トレックファクトリーレーシングの走りは悪くなかったけど、特別な何かを生み出すことは出来なかった。

まだ脚が完璧に仕上がっていないと感じた。いつもならもう少し良い成績を残せたはず。これから毎日徐々にコンディションを戻して行きたい。

安全に初日のチームTTを終えたゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

ステージ20位・1分11秒差 チームスカイステージ20位・1分11秒差 チームスカイ photo:Tim de Waele安全に走り切ることを優先した。当初は全開で走ってステージ優勝を狙う作戦だったので、ニュートラル扱いになったことは残念だ。総合タイムが争われないことが発表されてから、落車しないことを優先してイージーに走ることを決めた。バンピーでしかも小石や砂が積もったコースだったのでサイドバーを握りっぱなしだった。全員が全開で走ればかなりデンジャラスなコースだった。

残りのステージが楽しみだ。モチベーションの高いフルーミーと一緒に走る初めてのブエルタ。ニコ(ロッシュ)のコンディションも良く、ツールを走った3人衆(フルーム、ロッシュ、トーマス)は精神的にも準備が出来ている。脚がどこまで動くのかは3週間走ってみないと分からない(笑)他のメンバーの状態も良く、良いレースになりそうだ。

初出場のブエルタの初日を終えた新城幸也(日本、ユーロップカー)

今日はとにかく安全第一で走ることが目標でした。エキシビジョンみたいな感覚ですね。初めてのブエルタの感想と言うほどレースをした印象はまだありませんが、明日(第2ステージ)は、いきなり厳しいステージなりそう。レース感を取り戻すためにも頑張って動きます。日に日にコンディションを上げていこうと思っています。

選手コメントはチーム公式サイトならびにTeamユキヤ通信より。

text:Kei Tsuji