ツール・ド・フランスを走った全22チームのバイクを、2チームごとに10回にわけて紹介。第3弾は、ペーター・サガン(スロバキア)が4年連続となるマイヨヴェールを獲得したティンコフ・サクソと、ワイルドカードでの出場を果たしたボーラ・アルゴン18のチームバイクをピックアップします。



ティンコフ・サクソ
【スペシャライズド S-WORKS VENGE ViAS、VENGE、TARMAC、ROUBAIX、SHIV TT(TTバイク)】


アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMACアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC photo:Makoto.AYANO
ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMACダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、ティンコフ・サクソ)のスペシャライズド S-WORKS TARMAC photo:Makoto.AYANOサガンにのみ供給されたS-WORKS VENGE ViASをセッティングするメカニックたちサガンにのみ供給されたS-WORKS VENGE ViASをセッティングするメカニックたち photo:Makoto.AYANO


ペーター・サガン(スロバキア)が4年連続となるマイヨヴェールを獲得し、アスパン峠とトゥールマレー峠が登場した第11ステージをラファル・マイカ(ポーランド)が制したティンコフ・サクソ。バイクサプライヤーはスペシャライズドで、TTバイクを含め5台ものマシンを使い分けた。

選手別に見ていくと、サガンは平坦ステージで新型エアロモデル「S-WORKS VENGE ViAS」、アップダウンに富んだコースでは従来型の「S-WORKS VENGE」を主に使用。アルベルト・コンタドール(スペイン)やマイカはオールラウンドモデルの「S-WORKS TARMAC」をメインバイクとした。なお、パリ~ルーベの石畳が登場した第4ステージでは全ライダーがエンデュランスモデルの「S-WORKS ROUBAIX」を駆った。

サドルサプライヤーはプロロゴだサドルサプライヤーはプロロゴだ photo:Makoto.AYANOティンコフ・サクソにもFSAのプロトタイプコンポーネントが供給されたティンコフ・サクソにもFSAのプロトタイプコンポーネントが供給された photo:Makoto.AYANO

ホイールはロヴァール Rapide CLX。コースに応じて40mmと60mmの2種類のハイトを使い分けるホイールはロヴァール Rapide CLX。コースに応じて40mmと60mmの2種類のハイトを使い分ける photo:Makoto.AYANOヴィジョンがテストするプロトタイプのエアロステムヴィジョンがテストするプロトタイプのエアロステム photo:Makoto.AYANO

コンタドールのみアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を使用コンタドールのみアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を使用 photo:Makoto.AYANOTT用のエアロチェーンリングを装着したバイクもTT用のエアロチェーンリングを装着したバイクも photo:Makoto.AYANO


コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはSRMの「K-FORCE LIGHT」モデルを組み合わせている。また、大きな歯数のヴィジョン製TT用チェーンリングを選択するライダーも。一方で、コンタドールのみメインコンポーネントに機械式のDURA-ACEを選択し、シフトとブレーキ共にアルミリンク式のアウターワイヤー「i-Link」を組み込んだ。

そして、2回目の休息日開けからは、他のFSAサポートチーム同様に「セミワイヤレス方式」とされるプロトタイプの電動コンポーネントが投入された。なお実際にレースで使用したかは不明。ホイールはスペシャライズドがプロデュースするロヴァールRapide CLXで、平坦ステージでは60mmハイト、山岳ステージでは40mmハイトをメインとした。タイヤにはスペシャライズドのTURBOシリーズを組み合わせている。

ペーター・サガン(スロバキア)のスペシャライズド S-WORKS VENGEペーター・サガン(スロバキア)のスペシャライズド S-WORKS VENGE photo:Makoto.AYANO
サガンはスポンサー外のジップSL SPRINTステムを、ロゴを隠して使用するサガンはスポンサー外のジップSL SPRINTステムを、ロゴを隠して使用する photo:Makoto.AYANO個人的にサポートを受けるオーガニック食品メーカーのキャラクターが、トップチューブには貼られている個人的にサポートを受けるオーガニック食品メーカーのキャラクターが、トップチューブには貼られている photo:Makoto.AYANO


ハンドル、ステム、シートポストはFSAで、ハイエンド「K-FORCE LIGHT」シリーズをメインに、ヴィジョンのプロトタイプステムやアルミ製ハンドルバーなど、選手の好みに応じてセッティングを細かく変更している。

ただし、サガンのみ剛性を重視したジップのフルカーボンステム「SL SPRINT」を、ロゴを隠して使用。加えて、バーテープはプロロゴがサプライヤーながら、サガンのみ個人サポートを受けるスパカズとしている。その他、サドルはプロロゴ、ボトルケージはタックス Deva、ペダルはルックKeO Bladeだ。


ティンコフ・サクソのスペシャライズド S-WORKS SHIV TTティンコフ・サクソのスペシャライズド S-WORKS SHIV TT photo:Makoto.AYANO
TTバイクはローングセラーモデルの「S-WORKS SHIV TT」。ロードと異なり、ホイールはフロントがヴィジョンの「METRON」シリーズ、リアがライトウェイト製のディスクという組み合わせ。ディンプルが特徴的なエアロボトルと専用のケージはエリート KIT CHRONOで、サプライヤーであるタックスのロゴを貼って使用する。



ボーラ・アルゴン18【アルゴン18 Nitrogen Pro、Gallium Pro、E-118 Next(TTバイク)】

ボーラ・アルゴン18のアルゴン18 Nitrogen Proボーラ・アルゴン18のアルゴン18 Nitrogen Pro photo:Makoto.AYANO
前後共にVタイプのエアロブレーキとしている前後共にVタイプのエアロブレーキとしている photo:Makoto.AYANONitrogen Proのために開発されたステム一体型のエアロハンドルNitrogen Proのために開発されたステム一体型のエアロハンドル photo:Makoto.AYANO


ワイルドカードで出場を果たしたドイツのプロコンチネンタルチーム、ボーラ・アルゴン18。バイクはタイトルスポンサーの1つでもある気鋭のカナディアンブランド「アルゴン18」だ。なお、アルゴン18は今回が初めてのツール・ド・フランスとなる。

今大会にあわせて、新型のエアロロード「Nitrogen Pro」がデビュー。下位グレードの「Nitrogen」とほぼ共通のフォルムながら、カーボン素材の変更などにより軽量化を図り、新開発のステム一体型ハンドルと併せてエアロダイナミクスを追求。オールラウンドモデル「Gallium Pro」との2台体制で、今ツールを戦った。

ポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)のアルゴン18 Gallium Proポール・ヴォス(ドイツ、ボーラ・アルゴン18)のアルゴン18 Gallium Pro photo:Makoto.AYANOタイヤはアメサイドのヴィットリア CORSA SC。幅は25mmだタイヤはアメサイドのヴィットリア CORSA SC。幅は25mmだ photo:Makoto.AYANO

サドルサプライヤーはプロロゴ。表面に滑り止め素材を配したCPCモデルを装着したバイクが多かったサドルサプライヤーはプロロゴ。表面に滑り止め素材を配したCPCモデルを装着したバイクが多かった photo:Makoto.AYANO独特なグラフィックが目をひくFSAのバーテープ独特なグラフィックが目をひくFSAのバーテープ photo:Makoto.AYANO

FSAのブレーキキャリパーを使用するFSAのブレーキキャリパーを使用する photo:Makoto.AYANOクランクはFSA K-FORCE LIGHTクランクはFSA K-FORCE LIGHT photo:Makoto.AYANO


コンポーネントはシマノDURA-ACE Di2がメイン。FSAのサポートを受け、クランクにはK-FORCE LIGHTや、パワーメーターPower2maxのK-FORCE LIGHTモデルを組み合わせている。ホイ―ルはヴィジョンの「METRON」シリーズで、コースプロフィールに応じて40mmと55mmの2種類のハイトを使い分けた。タイヤはヴィットリアで、アメサイドのレーシングモデル「CORSA SC」を選択。幅は25mmである。

ハンドル、ステム、シートポストはNitrogen Proがアルゴン18のオリジナル、Gallium ProがFSAとしている。サドルはプロロゴで、表面にすべり止め素材を配したCPCモデルが多く選択されている様子。その他、ペダルはスピードプレイ、ボトルケージはタックスだ。

ボーラ・アルゴン18のアルゴン18 E-118 Nextボーラ・アルゴン18のアルゴン18 E-118 Next photo:Makoto.AYANO
TTバイクはエアロダイナミクスのあらゆるトレンドを詰め込んだ「E-118 Next」。ヘッドチューブ前方に回り込むフロントフォークの設計や、Vタイプのエアロブレーキ、専用ハンドル、コンパクトなリア三角などにより徹底的に空力性能を追求した1台である。ただ、タイムトライアル専用というわけでは無く、トップチューブにストレージを装着するためのボルトが設けられているなど、トライアスロンにも対応する様だ。

コンパクトなリア三角など、TTバイクに関する多くのトレンドを詰め込んだ1台だコンパクトなリア三角など、TTバイクに関する多くのトレンドを詰め込んだ1台だ photo:Makoto.AYANOアルゴン18のオリジナルハンドルアルゴン18のオリジナルハンドル photo:Makoto.AYANO

斬新なトレッドパターンを採用したヴィットリアのプロトタイプタイヤ斬新なトレッドパターンを採用したヴィットリアのプロトタイプタイヤ photo:Makoto.AYANOクランク式パワーメーターはPower2max。エアロカバーを装着したスピードプレイペダルがアッセンブルされていたクランク式パワーメーターはPower2max。エアロカバーを装着したスピードプレイペダルがアッセンブルされていた photo:Makoto.AYANO


ホイールは前後ともヴィジョンで、フロントがバトンタイプの「METRON 3スポーク」、リアがディープリムにカウルを貼り付けた「METRON Disc」としている。組み合わせるタイヤはヴィットリアのプロトタイプで、センターがスリック、サイドがラインという、これまでに無い斬新なトレッドパターンが特徴的だ。そして、スピードプレイのペダルは、片面にディンプル仕様のエアロカバーをつけたプロトタイプとされていた。




photo:Makoto.AYANO
text:Yuya.Yamamoto
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